昔話
玲音さんは出会ったときのことを話す。どこか懐かしそうな顔をしている。
「私たちが出会ったのは十年前。シンなんかまだ十歳にもなっていなかったわ」
そこからぼんやりと遠くを見るように話始める。私は興味深く話を聞く。
「私たちは財閥の生まれでね、財閥が集まるパーティーで出会ったの。皆、大人ぶっていてやっぱり違うなって思って、私も大人ぶっていた。」
気を遣うパーティーに疲れた玲音さんは裏庭で時間を潰していたら皆が同じことを考えていたらしく今のメンバーが揃っていたらしい。そこで意気投合した六人は仲良くなった。
「それが出会ったきっかけ。そこから二年して色々あって財閥が消えたの。それであのパーティーの時のメンバーで集まって話し合いをしてある目的を立てて一緒に過ごすことにした。そのために今の会社をつくった」
玲音さんいわく一緒に過ごす方が仕事の効率が良いらしい。後はこのメンバーだと楽しいから。それは分かる。私も皆といるときはとても楽しい。
「話はおしまい。姫ちゃんは何か話ある?」
じゃあ、と私は今の話で疑問に思ったことを聞く。
「目的って何ですか? 少し気になって」
すると玲音さんはうつむく。まずいことを聞いただろうか。佐々木さん言われた通り、私には関係ないことだったのかもしれない。
「うーん、この事は絶対に秘密よ。財閥が消えたって言ったでしょ。正確に言うと"消された"の」
「え、消された……」
「うん、彼らを見つけるって言うのが目的。会議、あったでしょ。あれはそれに関わることかもしれないから。だから誠一郎が言った通り関わらない方がいい」
玲音さんの話を聞いて思う。佐々木さんは私のためを思って、危険にさらしたくなくてわざとあんなことを言ったのだろうか。そう思うと嬉しいようなさみしいようなよくわからない気持ちになる。嬉しいのは確かだが、やっぱり壁があるような気がしてさみしい。
「姫ちゃん?」
「私って邪魔なんでしょうか? 皆さんの迷惑になっているのかなって思って……」
「そんなことはないけど、どうしたの? 誰かに何か言われた?」
言い当てられてドキッとする。こんなことを言ってもいいのか、正直、迷うところがある。だから名前は伏せて言うことにする。
「実はある人に私には関係ないって言われて、それで迷惑になっているのかなって」
すると玲音さんはため息をつく。やっぱり言わない方がよかったのかも。
「誠一郎ね。全く、普段は大人なのにそういうときは子供みたいになるんだから。」
「え、どうして」
言い当てられたことに驚く。玲音さんは何でもわかっているように見えた。
「そういう言い方するのは誠一郎だから。ずっと一緒にいるんだから分かるわよ。まあ、姫ちゃんを危険にさらしたくないから関わらない方がね。分かった?」
私はうなずく。私のことを思ってのことだって分かったから素直に納得する。
「何か仕事で大変なことがあったら、お庭の花のお手入れとか私に任せてください。皆が私を大切に思ってくれているように私も皆が大切ですから」
「ありがとう。さあ、そう思うならもう眠りなさい。元気になってまた頑張ってね」
私はうなずいて再び眠りについた。




