歓迎会
「姫華さん、歓迎会の続きをしましょう。料理が冷めてしまいますよ」
雪川さんは作った料理を指差しながら言う。私は気持ちが落ち着き、お腹が空いていることの気づく。すると
「!?」
お腹が凄まじい音をたてる。一斉に注目される。恥ずかしい通り越して今すぐ消えてしまいたい。それか時間を戻したい。
「姫華さん、食べましょう」
「は、はい……」
どうしよう、気まずい。皆、気にしない素振りを見せてくれている。でも、女の私はすごく気にする。
「食べないとまたお腹なっちゃうよ」
「シンさん、その事は忘れてください!」
「シン、女の子にそんなことを言っちゃダメよ。皆、あえてふれていないんだから」
あえて……やっぱり今すぐに消えてしまいたい。これじゃあ、フォローになっていないですよ、玲音さん。でも、楽しかった。皆が笑っていて、家族だなって思う。こんな人たちの家族は毎日が飽きないだろう。人付き合いが苦手な私なのに皆となら普通に会話できる。初めて来たときは、心を許していなかったのに、たった二、三日でこんなにも心が変わるなんて。ゲームの世界だから? 答えはもちろんない。でも答えを出してみたい、そう思った。
「姫華、ちゃんと食ってるのか? 箸が進んでない」
「食べてますよ。ただ……」
言葉を止める。この言葉の先を言うのは恥ずかしい。この言葉は大切な"その時"までとっておこう。
「何でもないです。私のためにありがとうございます、城之崎さん」
「別に、お前のためじゃ……いいか! お前が主役だから楽しめよ」
そう言って私から離れていった。今、城之崎さんの顔が赤かったような……気のせい? そういえば、城之崎さんはツンデレキャラだった気が。そう思うと笑みが零れた。皆のこと全部わかっていないけど少しは知っている私は優越感に浸る。こんなこと言えるはずないけど。
「姫ちゃん、楽しんでる?」
「はい、すごく楽しいです」
「良かったわ。姫ちゃんは笑っている方が可愛いんだから、私の前ではずっと笑っていて」
「可愛いなんて、そんなことは。でも、ありがとうございます」
皆にとって女の子は皆、可愛いのだろう。私なんかを可愛いとお世辞でも言ってもらえると悪い気はしない。わたしにかぎらずだろうけど。こんな、イケメンたちに言われたらなおさら。そう考えると私は贅沢だと思う。
そのあとも私は一人一人と話をした。楽しい歓迎会はあっという間に過ぎた。もっとやりたかったけど時間には逆らえない。いい思い出になった。ここ三日、ここに来てから波瀾万丈な毎日が続いたこともあり、ぐっすり眠れる。明日からは家事を手伝うと皆に伝え、ますます家族らしくなった。その事に大満足し、その日は眠りについた。




