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幸福

「玲音さん、すみませんでした。あと、ありがとうございます」

「? うん、いいわよ。それより、そろそろ皆のところへいきましょう!」

私はその言葉にドキッとする。でも、いつまでもこうしているわけにはいかない。意を決して皆の元へ行くことにする。いつの間にか外は闇に包まれ、お月さまが闇を照らしていた。そんなに時間が経った気はしなかったが、思っていたよりも時が経つのは早いようだ。皆のいる場所に近づくにつれ、心臓が活発に活動し始める。落ち着こうとしてもそう簡単にはいかず、ついにそのときが来た。

「皆、姫ちゃん連れてきたわよ!」

部屋は真っ暗で何も見えなかった。気づけば隣にいたはずの玲音さんがいなくなっている。その事にただただ焦る。すると

「せーの」

「?」

「私たちの家へようこそ!」

「きゃあ!」

急に明かりがつき、と同時に近くで破裂音が聞こえた。目の前にはクラッカーを持った皆がいて……

「……」

私は口をあんぐりと開け、立ち尽くすことしかできなかった。そんな私を見て、皆が笑いだす。事情を理解するのにはあまりに短い出来事で。

「今日は姫華さんの歓迎会です」

「まだ、してなかったからな」

「私の、歓迎会……」

私にはまだ状況が理解できない。

「ったく、物分かり悪いな」

「城之崎さん、でもいきなりすぎて何が何だか」

「姫華さんがここへ来て歓迎会してなかったから」

ただ、呆然としていた私に佐々木さんは短く説明する。やっとのことで話の意図がつかめた。でも、疑問が頭をよぎる。さっきあんなことがあったのに今この状況。切り替えるにしては早いというか、なぜ?

「このサプライズのために出掛けたんだけど、姫ちゃんの様子がおかしくて計画変更になったの。まさかあんな風になるとはさすがに思わなかったけどね」

皆はそんなことを考えてくれたんだ。私のために。それなのに、あんな酷いことを、優しさにケチつけて、私って最低だ。自分ばっかり被害者ぶって、優しさを否定するようなことを。大変なのは皆も同じなのに。

「ごめんなさい!」

「!?」

「酷いこと言ってすみませんでした! 私、何もわかってなくて、周りが何も見えてなくて、挙げ句、酷いことを言ってしまって」

私は九十度、いやそれ以上に深く頭を下げる。本当はこんなものじゃ足りないと思う。すると、佐々木さんが声を発する。

「謝らなくていい、玲音にそう言われなかった?」

「言われ、ました」

「だろう。いいんだよ、思ったことを口にすれば。君はもう僕たちの家族だ。それには代わりない」

「はい、ありがとう、ございます」

目からは涙が溢れてくる。止めようとは思わなかった。これ以上ないくらい幸福者だと思う。こんなに優しい、私のことを思ってくれる人に出会えたこと、そしてその人たちと家族になれたことは。こんなにも幸せでいいのだろうかと思うほどに。

「改めてようこそ! これからよろしくね姫華さん」

「はい、こちらこそよろしくお願いします!」

ずっとこのときが続くといいな。ずっと、この人たちと一緒にいたい。ずっと、この世界に……

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