表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/128

違い

私は皆と街中を歩いている。人とすれ違う度に二度見される。それもそうだ、こんなにイケメンの人たちが団体で歩いていたら二度見も三度見もしそうなのだから。それにひきかえ、さえない私はというと……気まずい。一緒に歩くのが。こういうところに来ると、自分と皆が違っているということを痛感させられる。地位も、そして住む世界も……

「姫華、どうかしたのか?」

「城之崎さん、いえ……」

城之崎さんは心配そうに私の顔を覗きこむ。気づかれないように無理矢理に笑顔をつくる。

「ちょっと人によっただけです」

「ならいい、休みたくなったら言えよ」

「はい、ありがとうございます」

うまくごまかせた。この世界へ来てたった二日しか経っていないのに自分の中で皆の存在が大きくなっている。大きくなりすぎた。皆が私に優しくしてくれるのは皆が優しい人たちだから。私のことを思ってのことじゃない。そうだ、所詮は他人。何でもない私に優しくしてくれるのは変だ。どうして気づかなかったんだろう。本当は迷惑に思ってるんじゃ……

「姫ちゃん、姫ちゃん!」

「! はい、あのどうかしましたか?」

「はぁ、本当は疲れがとれていないんじゃないの?」

「そんなことはありませんよ。元気です」

私の言葉には覇気がなかった。それがさらに玲音さんを心配させてしまう。

「皆、どこかのお店に入りましょ」

「そうだね、僕も歩き疲れたし」

私たちは近くのファミレスに入った。私は、気まずくて皆の会話に入ることができなかった。話そうとするとさっきの考えがうかんできて、うまく話せない。

「姫華、どうかしたのか?」

「一之瀬さん……皆さんも、私は大丈夫ですよ」

皆、真剣な眼差しで私を見ていた。気まずくてうつむく。この空気は苦手だ。学校にいるみたいで落ち着かない。

「姫華さん、今日はもう帰りますか?」

「え、本当に大丈夫ですよ。皆さん、どうしたんですか?」

「お前がどうしたんだよ。元気ないし話もしない、心配なんだよ。無理させているんじゃないかって」

やっぱり、皆は優しい。嬉しいけど今はその優しさが辛い。お願いだから優しくしないで……



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ