違い
私は皆と街中を歩いている。人とすれ違う度に二度見される。それもそうだ、こんなにイケメンの人たちが団体で歩いていたら二度見も三度見もしそうなのだから。それにひきかえ、さえない私はというと……気まずい。一緒に歩くのが。こういうところに来ると、自分と皆が違っているということを痛感させられる。地位も、そして住む世界も……
「姫華、どうかしたのか?」
「城之崎さん、いえ……」
城之崎さんは心配そうに私の顔を覗きこむ。気づかれないように無理矢理に笑顔をつくる。
「ちょっと人によっただけです」
「ならいい、休みたくなったら言えよ」
「はい、ありがとうございます」
うまくごまかせた。この世界へ来てたった二日しか経っていないのに自分の中で皆の存在が大きくなっている。大きくなりすぎた。皆が私に優しくしてくれるのは皆が優しい人たちだから。私のことを思ってのことじゃない。そうだ、所詮は他人。何でもない私に優しくしてくれるのは変だ。どうして気づかなかったんだろう。本当は迷惑に思ってるんじゃ……
「姫ちゃん、姫ちゃん!」
「! はい、あのどうかしましたか?」
「はぁ、本当は疲れがとれていないんじゃないの?」
「そんなことはありませんよ。元気です」
私の言葉には覇気がなかった。それがさらに玲音さんを心配させてしまう。
「皆、どこかのお店に入りましょ」
「そうだね、僕も歩き疲れたし」
私たちは近くのファミレスに入った。私は、気まずくて皆の会話に入ることができなかった。話そうとするとさっきの考えがうかんできて、うまく話せない。
「姫華、どうかしたのか?」
「一之瀬さん……皆さんも、私は大丈夫ですよ」
皆、真剣な眼差しで私を見ていた。気まずくてうつむく。この空気は苦手だ。学校にいるみたいで落ち着かない。
「姫華さん、今日はもう帰りますか?」
「え、本当に大丈夫ですよ。皆さん、どうしたんですか?」
「お前がどうしたんだよ。元気ないし話もしない、心配なんだよ。無理させているんじゃないかって」
やっぱり、皆は優しい。嬉しいけど今はその優しさが辛い。お願いだから優しくしないで……