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やりきれない事、だがやるべき事※お金があったら遊んで暮らすタイプではありません



「……………」



時刻は深夜。少女とソニアは別室で二人仲良く並んで布団 (たまたま残っていた、害がないかはチェック済み)にくるまっている


ルラトは充電室という部屋で文字通り充電している。黒野はというと拠点の機械室に残っていたまだ使える機械をいじり、ルラト製の辞書片手にこの世界の情報を吸収し続けていた。


ルラトのエネルギー供給用の機械が生きており、それに隣接する機械が数種類まだ使えたのが幸運だった。この世界が闇の世界といわれる由縁ゆえんを、この世界の歴史を垣間見ていくうち悟りだす黒野。


 文明と呼ばれるものが発達する以前からこの世界は争いごとを繰り返しており、平和だった時代はほとんどない。どの時代もパッと見ただけで血と泥、生き物の焼ける臭い、死体の腐臭が漂ってきそうなほどおぞましいものばかりだった



「何故ここまで闘いたかったんだろう………」



 誰もいない機械室で黒野は一人ごちる。もし戦いの真っ只中だったら少女やソニアを守りきれなかっただろう。火の世界で高レベルな戦闘技術を見せた黒野だが、さすがにここまで危険な戦いが横行する世界では生き残れないかもしれない


 記録資料を見ていると自分の過去を思い出しそうで黒野は気分が悪くなり、機械の画面に表示されたブラウザを閉じて外に出た






 空気は澄んでいる訳ではないが、夜空だけはよく見えた。都会のように高層ビル等の障害物や明るすぎる電灯がないせいだろう。墨汁をぶちまけたような真っ暗な空だが、そのおかげか小さな星までよく見える。


 この世界の軋みの原因、それはおそらく人間だ。この世界が人間という存在を拒絶しようとしたのだろうか。箱舟の人間が帰ってきて再び文明を築き始めれば、確実にこの世界は滅びる。それが嫌で嫌でしょうがなくて、時空を歪ませ僕たちに助けを求めたのだろうか。破界者バランサーである自分に


タバコチョコを一本取り出し、口に咥える。



「いつの時代も、どこの世界でも。ニンゲンってのは罪深いねぇ……なぁ、じいちゃん……」



 ここにも、あちらにもいない、かつての恩人に向かって黒野は一人愚痴った。タバコチョコを二口で口の中へと放り込み、黒野は常闇の世界へ一人繰り出す。彼の好物を探すためだ。




▼=▼=▼

  行間

▲=▲=▲





 次の日、黒野は携帯の目覚ましのアラームで目を覚ました。無表情のまま体から毛布を取り去り、ベッドにしていたソファから立ち上がる。窓の外を見ると昨日と変わらない、昼も夜もなくただただ鬱蒼と暗い空が広がっている。


 そういえばこの世界は昼夜の変化が全くない。この星を照らしている恒星は休暇中なのかな、と寝ぼけた脳でボーッと考えつつ、顔と口をゆすぎに水道をある場所へ歩き始めた




「今日もいい天気……とは言いがたいけど、まぁ皆よく眠れたようだね。おはよう」


「おはよー!」


「おふぁおう……ふぁぁ……ございましゅ…」



 パッチリと目を開け完全に覚醒しているソニアとは対照的に少女はまだ半分夢の中のようだ。早いところ朝食をちらつかせて起きてもらわねば。と、後ろから女の子の声



「ウ、ウクク……オハヨウ……」


「おはよう、ルラトさん。充電はいいの?」



 少女とソニアが出てきた扉とは別の扉が開きルラトが出てきた。部屋の扉の上にはこの世界の文字で『充電室』と書かれている。充電室の中には巨大なルラト専用の充電器が置いてある。彼女の充電行為は人間で言うところの睡眠行動という事だ。



「お、終わったよ……ウ、キヒヒヒ……な、なんかヘンな感じ……」



 挨拶を交わしただけなのに心底愉快そうに笑うルラト。そういえばルラトの表情が昨日に比べて柔らかくなったような気がする。自己進化でもしているのだろうか。素人が見ても表情は変わらず無表情にしか見えないが



「さて、朝食だ。腹が減っては戦はできぬってね」



 ゴソゴソと懐を探る黒野。そして次の瞬間黒野の手には大き目の袋に入った朝食シリアルが握られていた。一応言っておくが黒野の懐はそんな大きな体積のものは入れておくことは出来ない。目を点にして黒野に問いかける少女



「あの、クロノさん?」


「なんだい?」


「どんな圧縮率でそれがそ」



 そこにはいっていたんですか、と聞こうとしたところ少女は黒野の空いている手の人差し指で唇を押さえられる



「大丈夫、皆まで言わなくていいよ。昨日、拠点ココを探ったら皿じゃないけど皿の代用品になるものは見つけたから。浄水器がかろうじて生きてたから、何とか修理して使えるようにして、今じゃ水も飲めるよ。」



 ニッコリと笑顔を浮かべて少女の唇から人差し指を離し、そのまま頭を撫でる。黒野に優しく頭を撫でられ一瞬ご満悦だったが、はっと我に返る



「あ、いえ、そうじゃなくてですね…」


「食後にはデザートも用意してあるよ、ちょっとだけだけどね。楽しみにしてて、それじゃお皿とってくるよ」



 そのまま別室へと歩き去ってしまった黒野。少女は遅ればせながら悟った、これは黒野にまつわるあまり知ってはならないことのひとつなのだと






▼=▼=▼

  行間

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「簡素だけど、何も食べないよりはマシだからね」



 今日の朝食は栄養バランスバツグンという謳い文句で販売されている朝食用シリアルと水、そしてデザートは小さな赤い身が数個だ。荒れ放題のこの世界では贅沢な朝食である。ソニアが赤い実をスプーンでつつきながら黒野に問う



「なんなんだこの赤い実?」


「いいところに気がついたね。なんだとおもう?」


「わかんねぇ!」



 とてもいい笑顔で即答するソニア。コンマで即答してきたので黒野はイスからコケかけた。何事もなかったかのように椅子に座りなおし、笑顔で答え合わせする



「それ、実はコーヒーノキの実なんだ」


「えぇ?! コレコーヒーの実だったんですか?!」


「うん。中に種あるでしょ? それを乾燥させて炒って焙煎ローストしたりすると、いつものコーヒーのコナが出来るんだよ。僕らの世界でコーヒーノキがこっちの樹木と入れ替わったから、もしかしてって思って昨日の夜のうちに探してみたんだ」



 小さめのさくらんぼのような実を食べると、甘酸っぱくて小さいながらも美味しい。元の世界へ帰ったらまた食べたいな、と少女とソニアは思いつつ朝食を楽しんだ



▼=▼=▼

  行間

▲=▲=▲



 朝食を終え、黒野はこれからどうすべきかを考えていた。この世界が望んでいるのはこの世界の人間の全滅だ。だが部外者である自分が一つの種を滅ぼしていいのだろうか。魔物が1匹とは限らない、まさか一つの種そのものが魔物だとは考えた事もなかった。


 箱舟の連中が帰ってきたとき、自分は何をすべきなのか。その気になれば万人を殺せる力を使う権利を自分は持っている。ソニアだ。


 僕が僕の手で人を殺すのはかまわないが、少女やソニアまで巻き込んでしまうのは違う。不思議な力を持っているとはいえ彼女たちはまだ幼い女の子なのだ。命を殺めるための武器じゃない



「ガナルのときとは訳が違うもんなぁ……ま、いいか。準備しとこう。色々と使えるものはあるしね」


「どうしたんだクロノ?」



 ソニアが不思議そうな表情をしながら顔を覗き込んでくる。もうこれ以上彼女の手は借りるまい。笑いながら自分の顎下をさする



「ん? なんでもないよ。そろそろヒゲ剃らなきゃ、って考えてただけ」


「ん~、このジョリジョリクセになるからあんま剃らないでほしいんだけどなー。この微妙に残った感じがいいんだけど」



 見た目十代前半の少女に若白髪のオッサン(?)が顎下を撫でられている奇妙な図が出来上がった。やわらかく小さな指先が黒野の顎下を撫ぜる。可愛がられている猫の気分はこういうものなのだろうか


 と、カタン、と何かが地面に落ちる音。少女が棒立ちしながら、僕がソニアに顎下を撫でられている光景を見ている。



「クロノさん、ちょっといいですか」


「キミも触る? 今なら結構いい感じのジョリジョリ具合らしいよ?」


「ホントですか! では失礼して             ってコラァァァァァァ!!」



「ちょっとルラトと話してくるぜー」



 結局少女が音速の勢いでツッコミを入れている間もソニアは黒野の顎下を撫で続け、満足したソニアはトタトタと外へ出る。瞬間少女はジト目で黒野を睨む。当の黒野は相変わらず涼しい顔を保っていたが




「なにしてるんですか本当に。いたいけな少女に顎下撫ぜさせるとか」


「ありのままいうと気がついたらこうなってたんだ、やらせたわけじゃないよ。どうしたの?」


「ルラトさんが空見上げて『そろそろ……くるかな……』って呟いてたんでもしかしてと思って」


「箱舟の連中がもうすぐ帰ってくるってことか……どうしたもんかなぁ……」


「どうかなされたんですか?」


「あー……話すよ。後でそこの倉庫に来て」




▼=▼=▼

  行間

▲=▲=▲




 ソニアがルラトと仲良く遊んでいるのを見計らって少女は過去、武器庫として使われていた倉庫へと向かった。重い扉を必死で開けると、言いようのない鉄臭さが少女の鼻をついた。



「あの~……黒野さん?」


「あぁ、来たね。ちょっと臭うかもしれないけど、我慢してくれるかな」



 黒野はというと、簡易デスクの上で何か小さな機械をいじっているようだった。片目に拡大レンズをつけ、片方の手にはドライバーなどが指の間に挟まれている。ドライバーでネジの一本を入れ終わると黒野は少女のほうへ顔を向けた



「何してるんですか?」


「あぁ、魔物殺しの準備だよ。その事について話したいことがあってね」



 片目の拡大レンズを外し、道具をデスクの上に無造作に転がすと黒野は少女のほうへ向き直る。そしてその辺にあった小さな丸イスを机の横から少女の前へと蹴ってよこす。イスは綺麗に少女の前で停止し、少女はそれに腰掛けた




「話をする前にいくつか質問してもいいかな?」


「はい、いいですよ」


「うむキミが世界間を移動するときに呼び出した扉は常時ほかの場所には繋がるのかな? 例えば、僕が居た世界から火と闇の世界以外の世界へ行けたりするの?」


「いえ、行ったことがある世界以外はいけませんよ。私たちなら黒野さんが居た世界と、ソニアさんの居た火の世界とを行き来は出来ます。今は闇の世界に居ますが、この世界の歪みの原因が無くならない限り私たちは元の世界へ戻れません


 歪みが矯正され、二つの世界の位置が正常位置に戻ったとき、黒野さんの世界、火の世界、闇の世界と行く先は増えますが」


「なるほど。ところで、あの妙な羅針盤はあの扉とどういう関係になるんのかな?」


「刻の羅針盤は危機に陥っている世界への道を示す道標ミチシルベです。羅針盤と次元の扉はリンクしていて、羅針盤が捕らえた世界の位置情報が扉へと自動転送されその世界へ繋がるんですよ。もちろん、設定次第で一度行ったところなら移動は可能です」


「なるほど。改めて考えるとスゴいね。もう一つ、魔物の定理ってなんなのかな」


「魔物は基本的にその世界を滅びへと導く、いわば悪玉菌ですね。魔物は決まったものじゃなくて、世界によって様々なものに姿を変えて存在しています」


「例えば、人間とか?」


「場合によってはそれもありますね。火の世界ではガナルがそうでしたね」


「一つの種族全部が魔物ってことはあるのかい?」


「正直なところ、わかりません。私、あまり経験を詰んでいませんので……大まかな事しかわからないんです」


「ふむ。そうかそうか……うん、ちょっと仮説を立ててみたんだけど、聞いてみてくれるかな?」


「私でよければ」



 ドライバーを手で弄びながら黒野は語りだす。



「おそらくこの世界の魔物は人間だ。それも火の世界のときみたいに一人じゃなくて、1種族全て。すなわちこの世界を救う方法は、この世界の人類滅亡だ」



 黒野の推理を少女は真剣な表情をしながら黙って聞いている。懐からタバコチョコを取り出し、机に置きながら黒野は話を続ける



「この世界の歴史、それは戦いの歴史だった。チラッと歴史のアーカイブを見たけど、血が流れなかった時代なんてまずなかった。戦いが起こるたびに人類は発達しすぎた科学力を振り回し、この星の資源を湯水のごとく使っていった。


 結果、大気は猛毒の化学物質が立ち込め、土壌は草木一本生えない不毛の大地となったわけだ。


 住めなくなった人間は箱舟に乗って地球を棄て、脱出。そのスキにこの星は僅かに残った浄化能力で少しずつ環境を改善していった。だが、人間はおそらくそれを見越してる。環境が改善されたらまた戻ってきて争いを始め、ついにはこの星は滅ぶだろうね」



 ふぅ、と息をつきながら置いてあったコップから水を飲む黒野。この世界でのやるべき事が人類根絶、やりきれない話になんとも複雑な表情を浮かべて黒野はタバコチョコを齧った



「なるほど……」


「僕、つまり破界者が動くのは世界が融合し始めて、そのとき発生した時空間の歪みが僕たちの世界に影響を及ぼしてきたときだったね」


「はい、そうですね」


「これも仮定の話なんだけど、おそらく世界は自分の身を守るために時空を歪ませ、僕のような破界者を呼び寄せてるんじゃないかって思うんだ。アピールの仕方はもう少し考えて欲しいけどね」


「世界は無数にあります、それくらいしないと気付いてもらえないのかも知れませんね……」


「事前に歪みを探知できれば御の字なんだけれどね……ところで」



 唐突に黒野が懐に手を入れ、遊鉄スライドを引いた銃を取り出し視線は正面のまま自分の背後へ銃口を向けた。と、倉庫の奥のほうの暗がりからすらりと長い銃身が姿を現し、黒野の向けている銃口にマスケット銃の銃口が当てられた




「ご機嫌麗しゅう、コソ泥さん。人の家に入るときは玄関から、チャイムを鳴らして家主の許可を取って入るって知らなかったのかな?」


「私にとっての玄関は窓か煙突よ~? あとお客様に対して銃を向けるのもどうなのかしら~、あとちゃんと名前で呼んでくれないかしら~?」



 暗がりからスゥ、と現れたのは狭間の盗人、ディエン・ラウムーだった。金髪、巨乳、眼鏡という少々欲張りすぎな泥棒。以前の世界で黒野と一時共闘したが、目的である霊石が砕けたのを知って泣きながら消えた泥棒である



「何事も慎重にいかなければね。あと一般的には窓か煙突は入り口じゃないからね、ディエン・ラウムーさん」


「私のほうに常識があわせてくれないのが悪いのよ~?」


「ジャイアニズム極まっているね、一週まわってカッコいいよ」


「あら、褒められて悪い気はしないわねぇ~」


「褒めてないですよ!! 二人とも銃をおろして下さい!! なんで二人とも互いに嫌悪感丸出しなんですか?」



 少女があまりの剣幕なので二人はすごすごと銃を下ろし、戦闘態勢は解除する。黒野はクルクルと銃を回し懐にしまいこみ、ディエンは魔法陣の中へリボルバーマスケットをしまった



 子どもに諭され、少々不機嫌な雰囲気を出すディエンと相変わらずの笑みを浮かべたままの黒野。何故こうも噛み合わないのかこの二人は。少女の質問に対して二人は



「僕は別にディエンさんを嫌ってはいないよ? 暗がりから出てきたときには既に僕らに銃を向けてきてたしね、こちらも拮抗状態にしなきゃ」


「それで、ディエンさんは?」


「余裕綽々って雰囲気が苦手なのよね~。常に優位に立っていますって雰囲気が苦手だわ~」


「否定できないけど悔しさはないね、常にそういう風に見えるように振舞ってるから。それなりに認めてくれてるのは嬉しいな」


「そ、そういうつもりじゃないんだけど~……」



 優しい笑みを浮かべてディエンを見やる黒野。予想外の反応に少々戸惑っているディエン。と、黒野がポケットをゴソゴソしだす



「あ、そうそう。コレ、渡しておくよ」


「何かしら~?」



 黒野がディエンに何か包みを渡した。ディエンが包みを開封して中身を見ると驚いた表情を浮かべた。訳がわからないといった様子で黒野と包みの中身を交互に見ている



「こ、これって……」


「そ、火の世界で砕けた霊石をちょちょっと加工したものだよ。手伝ってくれた御礼だ、遠慮なく受け取ってくれ」



 ディエンが包みから取り出したのは銀色の腕輪だ。ところどころに大粒のルビーが埋め込まれ、輪の部分には繊細な模様が掘り込まれている。



「火の世界の終盤で背後から銃口を向けてきたときに、話も聞かずどっかいっちゃったから渡し損ねてたんだよね。まぁどうせならってことでプロに加工してもらって、邪魔になりづらそうな腕輪にしてもらった」



 腕輪を付けてみると、ディエンの腕にぴったりだ。色白なディエンの肌に赤いルビーが映える



「ホントピッタリ……い、いつ測ったの?」


「ん~~~…カンかな。チュー太君乗っけたとき手握ったでしょ、あれで大体こんなんかなって。霊石としての力はもうないけど、あの時は本当に助かったんだ。遠慮なく受け取って欲しいな」



 ニコリと黒野が微笑むと、ちょっと顔を赤くして視線をそらし腕輪のほうへ向けるディエン。このとき黒野はディエンの口角がちょっとあがっていたのを見逃すはずなかった



「なら、受けとっておこうかしら~」


「うん。ところで、今回は何を求めてココに来たのかな?」


「フフ、それを知ってどうするのかしら?」



 微笑みながら唇に人差し指を這わせるディエン。火の世界の書庫では微塵も見せなかった大人の色気がかもし出されている。部屋が薄暗いのでかなり雰囲気がなんというか、アダルティーだ。少女はひたすらに気まずそうだが



「簡単なハナシだよ。以前のように一時的に業務提携しないかという事さ」


「あら、ずいぶんとおもしろい事いうのね~?」


「所詮この世は持ちつ持たれつ、Give and take。君が狙っているものを探すのに僕も手伝う、代わりに僕たちの目的にも一枚かんでくれると嬉しいってことさ」


「魅力的なお誘いだけど、遠慮しておくわ~。だって」



 そういうとディエンは踵を返し、ヒラヒラと手を振りながら暗闇へと歩いていく。



「そういうのは自分の力でやってこそ。あの時はやむを得ずだったけど今回は違う。あなたの意思関係なく私はこの世界で動く、それをあなたたちは邪魔しなければいいだけのこと。じゃあね~」



 そう言ってディエンは魔法陣の中へ消えていった。彼女が消えた後を愉快そうに眺め、クスクスと笑いを漏らす黒野



「どうしたんです?」


「フフ、いいやなんでも。彼女と敵対しないように祈らなきゃね」




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