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まさかの助っ人その2 ※絶望の中に射した希望の光



「ふはははははは!! どうした異世界からの来訪者よ!! お前の力はそんな程度か! 強大な力を使っておきながらその程度かぁ?!」



 辺りは既に火の海、チュー太に乗っていなければ黒野は足から蒸発していただろう。厄災をばら撒く巨大な機構兵は今だ無傷に等しく、対する黒野とチュー太は疲弊していた。



「(これ以上無茶すればおそらく僕の身体が跡形もなく爆散する、そしてチュー太君も疲弊からか動きが鈍くなってきてんな……どうすれば……チッ、八方塞ですってか?!)」


「終わりだ!!」


「しまっ?!」



 黒野の目に映ったのはタロスの巨大な掌だった。巨大な手が黒野を掴み、握りつぶした




はずだった




「ふぅ、何とか間に合ったわね~?」




 ディエン・ラウムーが黒野を小脇に抱えて立っていた。チュー太はすぐそばで倒れている。死んではいないようだ。言ったそばから跳ね起き、辺りをきょろきょろと見回すチュー太。



「お前、コソ泥巨乳か」


「あなた性格変わりすぎじゃないかしら~?」



 黒野自身も気付いていた、この性格の豹変に。おそらく手甲の強大な力が黒野のメンタルにも影響を及ぼしているのだろう。炎のように熱く、激しい性格に変わっている。そして赤く染まった髪の部分が徐々に拡大している。零れた水が徐々に広がっていくように



「自然とこうなるんだ、許せ。そして離せ」


「まぁいいわ~。それよりも私の霊石を返してもらえるかしら~?」


「盗っ人に返してやる盗品はねぇよバカ」


「あらあら~、手厳しいわね~」



 黒野を地面に落とし、読めない表情でにこやかに微笑んでいるディエン。どうにかして取り返そうと画策しているのだろう。と、そこで黒野は妙案を思いついた。黒野の表情もディエンと同じような、何かを企んでいるような表情になる



「返してやらんこともないが……一つ条件がある」



 ニヤリと口角を吊り上げながら立ち上がり、黒野は笑う。その表情に少し怖気を感じるディエン。何を企んでいるのか、背筋が自然と寒くなる



「コイツを退けるのを手伝え、そしたら考えてやるぜ?」


「あら、無理難題をおっしゃるわね~? ちゃんと返してくれるならやぶさかではないけれど、あなたもちゃんと闘うなら共闘という形で戦ってもいいわよ~?」


「ハッ、いいぜ。契約成立だ」



 ディエンが空中に手をかざすと魔方陣が浮かび上がり、そこに手を突っ込む。そして何かを掴み、魔方陣から腕を引き抜く。その細腕に握られていたのはマスケット銃だ。だが普通のマスケット銃ではない。



引き金の上辺りにリボルバー式拳銃のようなリボルバーが付いている。美しい細工が銃身に施されており、思わず見とれてしまうほどの美しさ



「いい銃だな」


呪詛銃スペルリボルバーマスケット、ゲオルグ=ファウスト。私の相棒よ~」


「よし、そんじゃ……行くぜ! チュー太!」



 再びチュー太に跨る黒野。そしてディエンに手を差し伸べる



「私も乗っていいのかしら~?」


「大丈夫だいける! 早く!」




今度こそ救う。その強い意志がより加速する。




呪詛弾スペルバレット・アシッド!」



 ディエンが連続して放った弾丸がタロスの鎧に食い込む。弾丸が着弾した場所に魔法陣が現れ、鎧を溶かす。



「酸?」


「そうよ~、あの程度の金属なら数発で穴をあけられるわね~」


「よし、関節狙って撃て! 僕は防御に徹する!」


「あらあら~、無茶を言うわね~?」



 そう言いつつしっかり肩関節の周辺に弾丸を撃ち込んでいくディエン。のんびりとした口調に似合わず射撃精度がかなり高い。しかも今はチュー太の背中の上、さらにタロスの攻撃を避けつつこの射撃を行っているのだ



「お前、やるな」


「ダテや酔狂でこの銃使ってるわけじゃないわよ~?」



 黒野がタロスの攻撃を読み、チュー太に伝え回避し、カウンターを撃ち込む。ディエンがスキをついてタロスの弱点部に攻撃を撃ち込む。完璧な攻守に徐々にタロスは押され始めた



「なぜだ?! なぜこうもお前たちを叩き潰せない?!」



 タロスの体中に亀裂が入り、動作も遅くなってきている。内部でタロスを動かしているガナルは焦る、今まさに自分が追い込まれていっていることを悟って



「悪いけど、こっちにも取り返したいものがあるからな。譲れねぇんだよ、これだけはな」


「おのれぇぇぇぇぇぇ!!」



 腕は取れ、鎧は抉れ、あちこちからもれ出たエネルギーを噴出させながらもタロスはまだ動く。これ以上はソニアの命が危うい、そう直感した黒野は賭けに出る



「おいディエン」


「なにかしら?」


「今から僕はアイツの懐に飛び込んでソニアを引きずり出す。お前はチュー太に乗って援護しろ」


「あら、どうなっても知らないわよ~?」


「上等だ。行くぞッ!!」



  チュー太から飛び降り、タロスの千切れた部分からはみ出しているコードに糸を絡め、それを思い切り手繰り寄せ急速に接近する。ガナルも黙ってはいない、まだ生き残っている火炎弾発射口から火炎弾を連射しそれ以上近づけさせまいと攻撃する



ガンガンガン!



水撃弾スプレッドバレッド、激流を封じ込めた弾丸……私を忘れてもらっては困るわよ~、ガナルさん?」


「おのれ、貴様のような薄汚い裏切り者にッ!」


「裏切るもなにも、私はあなたに忠誠を誓ったことなんて一度もないし、さらに言うとあなたには嫌悪感しか抱いていないわよ~?」


「よくやったディエン!」



 タロスの胸部の真ん中にある巨大なクリスタルを熱糸で焼き切り、黒野はタロスの心臓部へと侵入した

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