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加重するラブレター

 松浦が死んだという訃報は朝のホームルームで、担任から聞かされた。


 その日の授業は平常通り行われるそうだが、英語の授業だけは自習になるらしい。


 松浦が死んだことは確かにショックだったが、それ以上にもう一つショックなことがあった。


 また下駄箱にラブレターが入っていた。次は八枚だった。


 倍になっている。


 最初は一枚。次が二枚。その次が四枚で、今日で八枚。


 このペースだと、明日は十六枚になる。


 十六人もの女子が、僕のことを突然好きになっているということか?


 どうして?なんで?意味がわからない。


 モテる理由なんてないはずなのに。今まで一度もモテたことなんてないのに。ラブレターをもらったことすらない僕が、どうして突然こんなに沢山?


「なあ。あれってやっぱりさ」


 昼休み。僕は突然現れた八人の女子からもらった弁当を木下と一緒に教室で食べていた。


「お前のせいじゃねえの?」

「カズくん、それは何の話?」

 夏希は眉根を寄せて、木下を睨んだ。


「松浦のことだよ。警察は自殺って発表してるけど、なんで自殺するんだよ。遺書だって見つかってないらしいぞ」

「それは……わからないけど。でも、真くんは関係ないでしょ?」

「あるよ。だって俺、見たんだ」

「見たって、何をだよ」


 嫌な汗が流れた。


「昨日、英語の授業中にさ、いただろ?」

「誰が?」

 それ以上言うな。

 僕は強く願った。その思いが通じたのか、それとも夏希に配慮してなのか、「いや、やっぱりいい。俺の思い過ごしだ」と木下は言った。


◇◆◇◆◇◆


 尾けられている。その疑問が確信に変わったのは、帰宅時間のときだった。

 教室を出て廊下を曲がるたびに、女子にぶつかっていれば、いい加減誰だっておかしいと思う。


 極めつけは正門前にいた女子の群れだった。正門前にはバス停があるので、帰宅するときはいつもあのバス停に乗る。


 進学組の僕らは基本的に他の学生と比べて帰宅時間が早いため、バスに乗車するときはいつもバス停前の人影は少ない。


 だが、今日に限って女子が沢山いるのだ。


 ……いや、もしかしたらもっと前からいたのかもしれない。ただ人数が少なかったから気づかなったかもしれない。


 人数が増えたのだ。だから、気づけるようになったのだ。


「西門から帰ろう」

 僕は木下に言う。

 西門に行こうとしたが、木下は動かなかった。

「どうしたんだよ?」

「俺、夏希に告白するよ」

「はあ?」


 何を言っているんだ、こいつ。突然のことで頭がおかしくなりそうだった。


「俺、昔からあいつのことが好きだった。でも、諦めてたんだ。お前がいるからさ。でも、今のお前、ちょっと危ないよ」

「危ないって、何がだよ」

「お前の周りだよ。なんか変なことばかり起きてるし。お前に夏希を任せたくない」

「木下……」

「俺はバスで帰るよ」


 夕日のせいで身長の倍以上に伸びる木下の影法師は、今日はやけに黒く見えた。


◆◇◆◇◆


 翌日。木下は学校に来なかった。昨日から家に帰っていないらしい。


 木下は行方不明になってしまった。


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