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第3話 水面を割る影

三郎「……さて」

 焚き火の跡を軽く片付けながら、海を見る。

 昨日の感覚は、まだ手に残っている。

 釣れる。食える。金になる。

三郎「悪くない世界だな」

 小さく笑う。

 だが——

三郎「……竹竿は、そろそろ限界か」

 岩場。

 浅場。

 狙える範囲はどうしても狭い。

三郎「もっと遠く、探りたいな」

 意識を向ける。

 “あの画面”が浮かぶ。

三郎「……ルアーロッド、あるよな」

 スクロールする。

三郎「……あった」

 安価なロッドとリールのセット。

 それに、ライン。

三郎「まぁ最初はこれでいいか」

『1500円を消費しました』

 手の中に現れる。

 軽いロッド。

 小型のリール。

三郎「……ダイソーでも十分だな」

 続けて、ラインとルアーを見る。

三郎「……ミノーでいいか」

『500円を消費しました』

 細長いルアーが現れる。

三郎「よし」

 ラインを通す。

 結ぶ。

 軽く引いて確認。

三郎「……いけるな」

 岩場の先へ立つ。

 海は穏やかだ。

三郎「……投げるか」

 振りかぶる。

 シュッ——

 ルアーが飛ぶ。

 着水。

 リールを巻く。

 ゆっくりと。

 三郎「……やっぱこれだな」

 竿先に伝わる感覚。

 水の抵抗。

 三郎は少し笑う。

 そのとき——

 影が走る。

三郎「……来たか?」

 次の瞬間、水面が割れる。

 バシャッ!!

三郎「うおっ!?」

 ロッドに衝撃が走る。

 三郎「でかいな……!」

 引く。

 明らかに昨日とは違う重さ。

 三郎「走るな……!」

 ドラグが鳴る。

 ラインが出る。

 三郎はロッドを立てる。

三郎「……いい引きだ」

 数分。

 やり取りが続く。

 やがて——

 三郎は魚を引き寄せる。

三郎「……クロダイか」

 黒い体。

 厚みのある魚体。

 三郎は目を細める。

三郎「……でかくないか?」

 どう見ても——

 六十センチはある。

三郎「……こんなの見たことねぇぞ」

 思わず笑う。

三郎「まぁ、異世界だしな」

 次の瞬間、魚が消える。

『3000円を獲得しました』

三郎「……マジかよ」

 思わず声が出る。

三郎「一匹でこれか」

 少し考える。

三郎「……やべぇな」

 海を見る。

三郎「釣り放題じゃねぇか」

 しばらく黙る。

三郎「……ん?」

 ふと、顔を上げる。

三郎「そういや……」

 周囲を見渡す。

 人の気配はない。

 建物もない。

三郎「……ここ、どこなんだよ」

 今さらだった。

三郎「釣りに夢中で忘れてたな」

 小さく笑う。

三郎「……まぁいいか」

 とりあえず、生きてはいける。

三郎「でも、そのうち動くか」

 海から目を離す。

 陸の方へ視線を向ける。

三郎「人もいるはずだしな」

 風が吹く。

 三郎はロッドを肩にかける。

三郎「……もう一匹だけやるか」

 そう言って、再びルアーを投げた

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