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男友達だと思ってたやつがなんかおかしい  作者: Саша


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6話

ヒロインはいっぱいいた方が嬉しい

僕より先に、東海林君が寝てしまった。


規則正しい寝息。

もしかして疲れてたのかな。

それとも、いつもこの時間に寝る人なのかな。


……今なら。


そっと、後ろから抱きついても気づかないよね。

バレたら、寝ぼけてたって言えばいい。

それくらいの言い訳なら、きっと通じる。


東海林君は、どうして僕に優しいんだろう。


一度、刺したのに。


あの日

中学の体育館裏。


僕は、いじめてきた奴らを刺そうとしていた。


止めに入ったのが、東海林君だった。


訳が分からなくなって、

気づいたらナイフは東海林君の腹に刺さっていた。


血が出ているのに。


僕の方を見て、

怖がるでもなく、怒るでもなく、

ただ撫でてくれた。


「大丈夫」


そう言って。その瞬間、僕は怖くなった。


どうしてそんなことができるのか分からなかった。理解できなかった。


だから咄嗟に嘘をついた。


「僕、男だから」


意味も分からない嘘だった。

もしあの時、嘘をつかなかったら。


女の子だって言えていたら。

今頃、彼女になれていたのかな。

でも、今さら言えない。


女だって言ったら、

東海林君が離れていきそうで。


……だから今は。


寝てる間だけでいい。

そっと、抱きつく。

体温が、あたたかい。


「……好き」


小さく呟いても、返事はない。

そのまま僕は目を閉じた。




朝、目を開けると――


秋山が、だっこちゃん人形みたいに抱きついていた。


……動けない。


なんでこんなにがっちりホールドしてるんだ。


幸せそうな顔してるし、起こすのも若干申し訳ない。


こいつ抱き枕ないと寝れないタイプか?


「秋山、起きて」


軽く揺らす。


「……東海林君、おはよう」


「おはよう。朝ごはん食べる?」


「僕はどっちでもいいよ。東海林君は?」


「食べない」


「じゃあ僕も大丈夫」


合理的すぎるだろ。


「……抱きつくのやめない?」


「ならやめる」


素直か。


ベッドから出て着替えようとしたところで気づく。


「秋山、服どうする?」


「あ……貸してくれない?」


「タンスの中、好きなの取っていい」


「やった」


嬉しそうに服を選ぶ秋山。


……細いな。


入院して二週間。

病院着が一番楽だと分かった。


私服って、こんなに窮屈だったか?


準備は財布、携帯、鍵だけ。

教科書?知らない。


「秋山、準備ある?」


「ないよ」


「じゃあ八時に出るか」


玄関には靴が少ない。


この家に住んでいるのは俺一人。

両親は数ヶ月後に戻るらしい。


子供が入院しても帰らない親ってどうなんだろうな。


「東海林、行けるよ」


「よし」


鍵を閉めて、外へ出る。


ふとポケットの中の予備鍵に触れた。


「秋山、予備の鍵いる?」


「……いいの?」


「秋山なら信用できる」


「ありがとう」


嬉しそうに握りしめる。


満員電車に揺られながら、俺は思う。


文明って、本当に便利か?



秋山と一緒に登校して席に着くと、東さんが本を読んでいた。


隣だし、挨拶はするか。


「おはよう、東さん」


「……おはよう」


「何読んでるの?」


無言で表紙を見せてくる。


『簡単!皇帝へのなり方』


……話しかける相手を間違えたかもしれない。


「なんでそれ読んでるの?」


「……あったから」


理由が雑すぎる。


でも秋山みたいに授業中ずっと話しかけてくるタイプじゃなさそうだ。


「……見てるけど?読みたいの?」


「いや。中学の時の隣よりまともそうだなって思って」


チャイムが鳴る。


教師が入ってくる。


あと何時間、これ続くんだ。


もう学生やめたい。


後書きをちゃんと書いてる人ってえらくないか?

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