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「小説家になろうラジオ大賞」シリーズ

雨宿りしていたら暇だったので、君のことを想像してみた

作者: しゅうらい
掲載日:2025/12/07

「あーあ、まさか本当に降ってくるなんて……」

 肩を落として、私は空を見上げる。

 空からは、ザーザーと音を立てて、雨が降りだしていた。

 落ちこんでても、しかたない。

 傘を持ってこなかった、私が悪いんだから。

 それにしても、なんで雨の時だけ当たるのよ!

「いつもは天気予報、外れるくせに……」

 私はなんだか恨めしくなり、もう一度空を見上げる。

 それでも、雨はやまなかった。

 それどころか、強くなってない?

「はぁ……でも、雨宿りできる所があってよかった」

 私がいるのは、古本屋さんの前。

 今日はちょうど休みみたいで、シャッターがおりていた。

 しかも、雨宿りできる屋根まであるなんて、ラッキーだわ!

「それより、暇だわ……雨、いつやむのかしら」

 そうだ、いいこと思いついた!

 私が思いついたこと。それは……

「下村君のこと、考えようっと!」

 下村君は、私のクラスの人気者。

 ムードメーカーで、人懐っこいのが可愛いのよ。

 そして、私は想像する。

 体育の授業で、シュートを決める下村君。

 先生に注意されて、少し照れる下村君。

 そして、私がノートとかを落とした時、拾ってくれた下村君。

『竹本さん、大丈夫?』

『あっ、えっと……』

『よいしょっと、これで全部かな。じゃぁ、また落とさないように気をつけなよ』

 そこで、私の想像は終わる。

「そういえばあの時、びっくりしすぎてて、まだお礼言えていないのよね」

「あれ、竹本さん?」

 私が肩を落としていると、ふいに声をかけられた。

 顔を上げたら、傘をさしている下村君と目が合った。

「えっ、本物の下村君?!」

「ははっ、俺の偽物がいるの?」

 驚いている私を見て、下村君は笑いだした。

 うぅ……笑われてしまった。

 落ちこむ私をよそに、下村君は傘を閉じて、屋根の中に入ってきた。

「それより、竹本さんはここでなにしているの?」

「えっと、雨宿り……傘、忘れちゃって……」

「あぁ、それなら俺の傘使いなよ」

「えっ、いいの?」

 あこがれの下村君の傘だ!

 私はうれしくなり、頬がゆるむのがわかった。

 だけど、下村君は気づいていないみたい。

 下村君は傘を渡すと、カバンを頭の上にもってきた。

「じゃぁ、俺は家近いから、先に帰るね!」

「えっ?」

 そう言って、下村君は走って行ってしまった。

「また、お礼言えなかった……」

 優しさは、とてもうれしい。だけど……

「相合傘がしたかったのにーっ!」

 私の嘆きは、雨の音に消されました。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
いつ止むか分からない雨を待っている間は手持無沙汰ですので、意中の相手の事を考えるのは確かに精神衛生的に良い試みですね。 そうして想像していた相手が本当に現れるのは、「本人登場」的な感じがして確かに驚く…
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