雨宿りしていたら暇だったので、君のことを想像してみた
「あーあ、まさか本当に降ってくるなんて……」
肩を落として、私は空を見上げる。
空からは、ザーザーと音を立てて、雨が降りだしていた。
落ちこんでても、しかたない。
傘を持ってこなかった、私が悪いんだから。
それにしても、なんで雨の時だけ当たるのよ!
「いつもは天気予報、外れるくせに……」
私はなんだか恨めしくなり、もう一度空を見上げる。
それでも、雨はやまなかった。
それどころか、強くなってない?
「はぁ……でも、雨宿りできる所があってよかった」
私がいるのは、古本屋さんの前。
今日はちょうど休みみたいで、シャッターがおりていた。
しかも、雨宿りできる屋根まであるなんて、ラッキーだわ!
「それより、暇だわ……雨、いつやむのかしら」
そうだ、いいこと思いついた!
私が思いついたこと。それは……
「下村君のこと、考えようっと!」
下村君は、私のクラスの人気者。
ムードメーカーで、人懐っこいのが可愛いのよ。
そして、私は想像する。
体育の授業で、シュートを決める下村君。
先生に注意されて、少し照れる下村君。
そして、私がノートとかを落とした時、拾ってくれた下村君。
『竹本さん、大丈夫?』
『あっ、えっと……』
『よいしょっと、これで全部かな。じゃぁ、また落とさないように気をつけなよ』
そこで、私の想像は終わる。
「そういえばあの時、びっくりしすぎてて、まだお礼言えていないのよね」
「あれ、竹本さん?」
私が肩を落としていると、ふいに声をかけられた。
顔を上げたら、傘をさしている下村君と目が合った。
「えっ、本物の下村君?!」
「ははっ、俺の偽物がいるの?」
驚いている私を見て、下村君は笑いだした。
うぅ……笑われてしまった。
落ちこむ私をよそに、下村君は傘を閉じて、屋根の中に入ってきた。
「それより、竹本さんはここでなにしているの?」
「えっと、雨宿り……傘、忘れちゃって……」
「あぁ、それなら俺の傘使いなよ」
「えっ、いいの?」
あこがれの下村君の傘だ!
私はうれしくなり、頬がゆるむのがわかった。
だけど、下村君は気づいていないみたい。
下村君は傘を渡すと、カバンを頭の上にもってきた。
「じゃぁ、俺は家近いから、先に帰るね!」
「えっ?」
そう言って、下村君は走って行ってしまった。
「また、お礼言えなかった……」
優しさは、とてもうれしい。だけど……
「相合傘がしたかったのにーっ!」
私の嘆きは、雨の音に消されました。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!




