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そうねえ……彩夏が殺した

「え……や、夢波……これは死刑でしょ」


あの萌歌が動揺してる?!

さすがマニュアル!


『マニュアルC、クズにはクズをぶつけるのよ』


つまり、私がクズになるってこと


「あんなゴミみたいな鞄、ゴミ箱にポイだわよ」


あれ、ハテ子ってだわよなんて言う?


「それ自分の鞄にも言ってるし……」


「あ……いや……そんなつもり」


萌歌は夢波の胸ぐらを強く掴んだ


「お前なんて、パパに言えば即退学だから!パパはね、国の偉い人。お前を社会的に殺すことなんて簡単だから!」


「わ、私だって同じことできるから!」


「どうやってやるの?無理でしょ?お前なんかが私に何かしようとしても、パパが全て揉み消してくれる」


「そうなの?!」


このステッキにはカメラ機能が搭載されているわ!なんて言いたかったのに……裁判じゃ勝てないの?


夢波はブレザーの下にステッキを仕込んでいた


「てか、もう遅いから。社会的に死ぬのは確定。てか、ネットに卒アルでも晒してあげようか?どんな情報もパパの力ならすぐに拡散される」


「そ、それなら私だって!私はフォロワー五百……五百万人だから!」


「そんな冗談で張り合えるつもり?」


萌歌はその胸ぐらを掴む手を離した瞬間、夢波の顔を思い切り殴り、大きく飛ばした。夢波は横向きに転がり、扉に思い切り背をぶつけた


「いっ……たい……」


……勝てるわけない

やっぱり、萌歌相手に無理だ


「はい、もうボロ雑巾の刑に処すから!」 


彩夏が声を出す


「萌歌ちゃん」


「え、なに?」


「私が受けるから……だから」


「彩夏!そんな必要ないよ。私に任せて桶狭間(おけはざま)!」


夢波は痩せ我慢に笑っていた


「そんな……けど……」


彩夏から見れば、夢波は前より強く成長していた。萌歌は腹を蹴り、夢波を扉へ何度も打ちつける


「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね」


何回も何十回も打ちつけた


「がっ……」


死んじゃう……

でも私には最後のマニュアルがある……


『マニュアルS……』


夢波は目を閉じ、全く動かなくなった


「え……萌歌ちゃん……死んでる……?」


「こんなんで死ぬわけない……でしょ」


萌歌は少し動揺をしていたその後ろで、彩夏は顔を真っ青に、夢波を見下ろしていた


死んだふり!

ハテ子はこうなることまで分かってたんだ

都合よくマニュアルが刺さる!


「そうねえ……彩夏が殺した」


「え……?」


萌歌は彩夏の顎に指を置いた


「彩夏、貴方が殺したのよ?もう遅いから。パパにそうするようお願いするから」


「そんな……私殺しなんて……萌歌ちゃんがやったんじゃん!」


「うるさいなあ!」


萌歌は思い切り、その美しい回し蹴りを顔に入れた。彩夏は口から血を吐き、その場に倒れた


「がっ……」


彩夏は頬を抑えていた


彩夏がまずい……

私は肩を抉られたんだよね……

あれの痛みに比べれば、こんな程度の痛み!


夢波は立ち上がる。萌歌は向こうを、彩夏の方を向いており、背を向けていた


マニュアルB、やり返しなさい!

萌歌は私が確実に許さない!


夢波は机を持ち上げると、強く投げ飛ばした。投げる音で萌歌が振り向くと、その顔は不意を突かれたよう静かだった。何かを悟っていた


「──え……?」


大きな物音と共に、萌歌は倒れた


やりすぎた……?うそ、そんな……


夢波が萌歌に駆け寄ると、血を流し意識を失っていた。そんな中、男の声がした


「さて、修羅場か」


夢波が振り向く。そう教室の中を見ていたのは、秋山礼都(あきやまれいと)だった。背の高い細目のイケメンであり、寝かした首辺りまで覆う黒い髪をしている


「礼都……これは違って……」


「見てたから知ってる。ちなみに、今トドメを刺せば、こいつは永眠することになる。俺は見なかったと言ってやるが、どうする?」 


なんでこんなこと訊くんだろう……

でもそっか、今なら殺せる


彩夏は震えた声で言う


「ダメだよ、始末したら……」


「彩夏、これをする権利をこいつは持ってる。もちろんお前にもある。しかし、止める権利は持ってない。それだけのことをしたお告げの末だ」


「でも……」


こいつを殺せば……こいつを……

ハテ子、殺してもいいの?

私、このままだと殺しちゃう

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