魔法少女に変身なさい
二人は学校から離れ行き、三人目の魔法少女が住む家へと向かっていた。道中、二人は会話をしていた
「ハテ子さん」
「いいわよ、今更。アタシ、堅苦しいのは好きじゃないの」
「畏まりました!」
「それで?」
スルーされた!
「物ってのは……どんなの……なの?」
ハテ子は少し立ち止まった
「人間の成れ果てよ」
その後ろで夢波も立ち止まる
「成れ果てって……どういう……」
「長くなるわ。今は新しい仲間の家に行くわよ」
「……うん」
着くとすぐ、ハテ子はインターホンを押した。門の先に見える家は、見上げれば首の疲れるような豪邸であり、庭も広く、そして、その扉はすぐに開いた。出てきたのは長く桃色の髪をした若い女であり、手には一枚紙を持っていた
「あの子よ」
「すっごい……きれいな子」
夢波は見惚れていた。その女はそれだけ何もかもが美しく、完璧な容姿だった。髪もとろけるような繊細さ。女は門に着くと、門越しに訊いた
「こんにちは。何か用ですか?」
ハテ子はビニール袋からステッキを取り出すと、門の上から投げ入れた。女はそれを容易に受けとると、それを不思議そうに見ていた
「素敵なステッキよ」
「ステッキ……ですか?」
「魔法少女に変身するアイテムよ」
「え……」
その手に持つ紙を落とした。風に流され夢波の前へと落ちると、そこには『魔法少女募集』と大きく銘打たれていた
「な……なんで知ってたのですか?それに、家も教えてないはずで……そもそも、今からそちらに向かおうと」
「B世代は細かいわね。そんなの気にしてたら、人生何周しても足りないわよ?」
「私が……おかしいのですか?」
女は少し自信をなくしていた
「そんなことないよ!ハテ子がおかしい……だけ……ダトオモウ」
「で、ですよね……」
ハテ子は呆れた様子だった
「立ち話は終わりよ。さっさと最初の物を倒しに行くわよ」
「者……?」
「そこからね」
説明をしつつ、公園へと向かった。狭く人のいない静かな公園であり、遊具や草木の手入れは全くされていない。その場所自体も人通りが悪く、家も多くが廃墟だった
「公園……ここに物がくるの?」
「そうね、大物が来るわ」
ハテ子はビニール袋からステッキを取り出した
「貴方たち、魔法少女に変身なさい」
「どうやるの?」
ハテ子は持ち手に備わるボタンを指差した
「これを押すとステッキが衣装を出してくれるわ。トイレで着替えるといいわ」
「へ……着替える?」
言われるまま、二人はトイレで着替えをしていた。二つの個室があり、二人は別々に個室へ入る。夢波が衣装を取り出すと、白シャツ、皮の黒い短パン、腕章、そしてヘアピンが入っていた
げ、なにこの衣装……
夢波がシャツを広げると、そこには大きく『魔法少女』と書かれており、腕章にも同じことが書かれていた
「ダサ……い」
少し気の乗らない中着替えており、その最中に隣の個室にいる女へ声をかけた
「ねえ、なんて言うの?その……名前は」
「私の名前は里奈ですよ。貴方は何と言うお名前で?」
おっとりした気品ある口調で返ってくる
「私は夢波」
「いいお名前ですね」
少し間が開いた
「ねえ、なんで魔法少女になろうと思ったの?」
「──父親から逃げたくて……すみません、そんな暗い話は。私が早く死ぬべき、死ねは全て終わる問題ですよ……けど、怖くて……」
早く死ぬべき……
「きっと変わるよ……」
里奈は手を止めた
「ハテ子といると、なんか大丈夫って気がする……全て見透かされてるみたいで……」
「そう……ですか。いいですね、ハテ子さんは。ハテ子さんって、あの方ですよね?」
「うん、あの方!」




