太もものことよ
静かな部屋になった。熱いこたつの中、萌歌が目を覚ました。上には夢波がどっしり乗っている
「……って、ちょっと、何これ!ねえ、重いんだけど!」
やば、萌歌が起きた……どうしよ
『いじめられる子は、いじめれそうって思われちゃう子なのよ』
ここで引いたら負ける
「萌歌!どかないから!」
「その声……夢波?!どういうつもり?お前誰に何してるか分かってるの!!」
夢波は萌歌に全身で抱きつき、手足が使えないよう拘束している。萌歌はそれを剥がそうと力を入れるが、全く動けない
「邪魔なんだけど!!」
萌歌は強く肩に噛みついた
「痛っ!逆襲してやる!」
夢波は思い切り顔を殴る
「痛いだろ!お前ほんとに──」
こたつの布団が捲られた
「「……え?」」
礼都が覗いていた
「何か起きそうと跡を追ってきたが、仲良く何してる?それに、ハテ子は何をやらかしたんだ?里奈って女もサツに連れてかれてたし」
「礼都……とりあえず、萌歌には魔法少女になってもらうけど、礼都は知らないよ……」
三人旅じゃなかったの?
「気にするな。俺は厄介事が好きな一般人だ」
「待って、魔法少女って何?」
萌歌は嫌悪感を抱いていた
「萌歌は……って、そうだ」
夢波はシャツをスカートから出し、マニュアルMを取り出した。一枚の紙、それには文が綴られていた
兎に角、文字書く。挨拶よ。萌歌は放置してても魔法少女になるわ。妃揺は優しく撫でて上げなさい、それで落ち着くわ。それと学校には行きなさい。魔法少女の仕事は後回しよ。それではおしまい。黒猫には気をつけなさい(ΦωΦ)
黒猫って……
ってか、萌歌は放置でもいいの?
紙にテープで何かくっつけてあった
これって……まさか!
「萌歌!」
「何、夢波……てか、ほんとに殺すから!」
「萌歌放置でいいんだって!」
夢波は嬉しそうに話す
「放置……え?」
「萌歌、大腿って何?」
「太もものことよ」
夢波は萌歌の太ももを指で突く
「ひぃっ!!」
萌歌はビクッとなり、大きく後ろへ転ぶ
「デットオーバーよ!」
よし、これで萌歌に負けることはない!
「夢波!!!お前ほんとにっ──」
「落ち着け」
礼都がそう流れに釘を打つ
「夢波、魔法少女ってのはなんだ?妃揺も使ってたな……それを教えてくれないか?」
「もちろん。魔法少女について……妃揺が起きたら全て話す。萌歌もそれまで帰らないで。てか、ここが萌歌の家だから」
「は?お前何勝手に」
しばらく経つと四人はこたつを囲む。乗り気でない萌歌と、妃揺はみかんの味を楽しんでいた
「まず、魔法少女……ってハテ子!?」
マニュアルMにテープでくっついていた物を耳につけていた。そこからは、ハテ子の声が聞こえた
「そう、まず魔法少女という物は……」
「おい、静かにしろ!」
「あらあら、独り言よ。別にまだ有罪判決が出たわけでもない。自由は保障されるはずよ?」
ハテ子……声を届けてくれてる
私はハテ子の言った通りに伝えればいい
「魔法少女、それは物と戦う者。物とは人間の成れ果てであり、成仏し切れなかった者のなる姿。物は一つ魔法……実質能力が与えられ、やり残したことを果たせるまで物は死なない。例外として、魔法なら殺せるわよ」
夢波はハテ子のイントネーションまでも真似ていた。その拙い真似に、誰もが頭でも打ったかと疑った
「夢波……貴方変よ?なんか話し方がおかしいし、それに……口調も……」
「あらあらあら、魔法少女名ダークは強がりな子だからね」
「強がりな子!?!?」
萌歌はそれが自分のことだと察した
「この子は魔法少女を拒んじゃうのよ。死の境に立ち、物の住む世界と干渉したら物が見え、女の子は魔法少女になれるのに。ちなみに男子は条件が整ってても使えないのよ、悪いわね、中二病のアークっ!」
「中二病?そう、俺の中には……俺の二つ名を知ってるだと?どういう、なぜ、待て、これは神からのお告げ」
「ちょっと五月蝿いわよ」
「んへへ、夢波ちゃんなんか可愛いね」
妃揺は不気味に笑っていた
「えあ……あ、ありがとう?」
ハテ子って、警察の前でこれ堂々と話してるんだよね?
内容がぶっ飛んでて気づかれてないけど
「そしてそして、世の中紗刻という組織があるわ。そいつらは物を使って、世界征服を目論んでるわ。紗刻のトップはね、神になろうとしてるのよ。つまり、アナタたち魔法少女は、アタシの目的を果たすと同時に物を倒せる、世界を救える唯一の存在とも言えるわ!」
夢波は息を切らしていた。二人はそれに呆れ、妃揺だけが拍手をした
「三人はを助けるのよ。そしてアーク……貴方は一人、アタシの救出をしてもらうわ。兎に角、目立ってちょうだい。アタシの大嫌いな厄介者が見に行ってしまうほど」
「大嫌いな厄介者……警察の目を引けってことか……面白い、この俺を利用するとは。気が乗った」
「なんか……礼都ダサい」
「え……」
その一言が礼都の心に大きな傷をつけた




