これは残酷なゲームよ
こたつを囲んで三人は座っていた。妃揺と萌歌はまだ眠っており、上には布団を掛けてある
「それでハテ子……なんで萌歌まで?魔法少女なら私と里奈がいれば大丈夫だし、妃揺も味方か分からないじゃん」
不安そうな夢波はそう言う
「主要の面面が集ってきたわ」
ハテ子はオレンジジュースを口にした
「唐突の告白。アタシはね、簡単に言うとゲームをしてるのよ。何度も何度も同じ箇所を繰り返して、失敗したらコンテニューをしてね……」
「どゆこと?同じ……?繰り返してる?」
「それって、ほんとですか?ほんとならば、ほんとにゲームみたいですね……でもそんなことが……」
ハテ子の目には蝶が見えた。そんな気がした
「鵜呑みにしなさい。これは残酷なゲームよ。そして、クリアには多くの戦力が必要……アタシはアタシの目的の為に、アナタたち魔法少女を利用するつもりよ」
ハテ子は立ち上がる。それと同時に、手に持つみかん剥くと、それを一粒口にした
「公園の物との戦い……アタシは大きいミスをしたわ。それにより、アタシの知ってる流れとは変わってきたのよ。夢波が萌歌を倒した。その変化が、きっと大きな分岐点になるわ」
「分岐点……」
「萌歌には夢波に負けたという記憶が残り、夢波は倒したという記憶が残る。それにより考えや認識も変わり、少しずつ本来の世界と異なっていくのよ。バタフライエフェクト……これの崩壊により、この世界線は、もうアタシの知らない域に入りかけている」
「ハテ子……ごめん、難しくて理解できない」
「あらあら……」
里奈も立ち上がる
「私たちにそれを話して良かったのですか?ここでその話をするのは前例のないはずです」
「ええ、前例がないわ。アタシも何回もコンテニューできるわけじゃないの。この執念が少しでも疲れを見せたら、もう戻れなくなるわ。これは賭けなのよ。知らない世界になるのなら、多くの情報をアナタたちに託す……そう言った意味では、アナタたちを深く頼ってる……言い換えれば利用してることになるわ」
夢波も勢いよく立ち上がる
「なんか複雑な話は分からないけど、私を利用してよ!ご利用のお客様には特別にサービスだってするから!」
「あら、夢波……」
「私もです。ハテ子さんに利用されるのは嫌ではありませんし、私は……帰る場所もありません。結論私にはハテ子さんしかいません!」
「帰る場所……そうよね。なら一つ、紗刻という組織があるわ。裏社会の組織だけれど……里奈は知ってるわね」
「里奈が?」
ノックが掛かる
「このイベントね……」
「イベントってそんなゲームみたいな……」
ハテ子は里奈の胸元に手を置いた
「ひっ!なん……ですか?その……ハテ子さん……えっと、そんな急に……」
里奈の服の中に小さな包みを落とした
「ひっ!なんか変な……」
「服の中に入れておくタイプのプレゼント。出したら福が逃げるわよ……服だけに」
ハテ子は手をどける。ハテ子の表情からは少し余裕が消えており、余裕の表情を作っているようだった
「この後、アタシは警察に逮捕され、里奈はコールドスリープさせられるわ。つまり、夢波と妃揺、そして萌歌との、ちょっと不安な三人旅になる」
「待って、ハテ子が逮捕されるって?それに里奈がコールドスリープ?全く話が見えない……それに、ハテ子がいなくなったら、私何をすればいいのか……」
「話を見せてないのよ。このイベントはアタシの手が無くとも上手くいくわ。蝶がしっかり飛んでくれればね。ヒントを出すのなら、妃揺より萌歌を信じなさい。萌歌の脆弱な箇所は大腿よ」
「大腿……?」
再びノックが鳴る
「警察だ。永久乃果子、いることは分かってる!出てこい!!」
変わった名前ぇ……
「夢波のすることは簡単。こたつの中に萌歌と妃揺を隠した後、警察が去るまで自分もこたつに隠れておく。アタシと里奈さえ見つかれば、奴らはすぐに去ってくわ」
ここから先は……ハテ子なしで、それも萌歌とやってくの?やっていけるの?
「でもハテ子……なんで警察に逮捕されるの?もし冤罪なら警察に説明すればいいし……」
「話して解決する冤罪でないわ」
「そう……なんだ……」
少し間が開く
「時間は余ってないわ。夢波、早く隠れなさい。それと、里奈は何も反抗せず、素直に捕まりなさい。必ず助けに行くわ」
「は……はい」
夢波は二人と共にこたつへと隠れた
「夢波にもプレゼントよ」
こたつから顔を出す夢波の背中と服の間に一枚の紙を入れた
「冷た!」
「シャツ着てる癖に大袈裟よ」
「いや、シャツの下に入れてるから!」
ハテ子は夢波の頭に手を置いた
「それはマニュアルMよ。ここから先は少し大変だけど頑張るのよ。アナタはね、萌歌にも負けないくらいの自信を持ちなさい。いじめられる子は、いじめれそうって思われちゃう子なのよ」
そう言い、こたつの布団を閉じた
「里奈、アナタが開くのよ、その扉を。まるでハテ子という誘拐犯に捕虜られてた可哀想なアシカの子のように」
「いえす!ハテ子さんの指示なら、全て鵜呑みにします」
里奈は扉を開いた
「開いたぞ……って、里奈ちゃんだ……それに……後ろにいるのは、永久乃果子か!」
「おっと、サツは困るわよ」
ハテ子は窓を開き、外へと逃げる
「逃げたぞ!」
「俺は奴を追う!お前は里奈ちゃんを」
「はい!」




