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自由を守るために家出を決意しました

生まれ変わって五年。

私は エレナ・ウィンスフィアとして、風の名門貴族の娘になっていた。


転生した世界は、あの病室とは正反対だ。

空は高いし、風は気持ちいいし、庭は広いし、魔法まである。


とても良い。

これだけでもう優勝。


…の、はずだった。


本来なら“天国のような人生”を満喫しているところなのに、

朝からお父様が、私の心をズタズタにする爆弾を落としてきた。


「エレノア。来年から“名誓の儀”の準備に入る」


私は普通に固まった。


名誓の儀――

十歳になったら一生の進路を家に誓わせられる、

重〜い重〜い伝統行事である。


簡単に言うと、


『一生この家のために働きます契約(魔力付き)』


めちゃくちゃ怖い。


「……え、あの、それって……嫌って言ったら?」


「エレノア。嫌などあろうはずがない。これは義務だ」


(あるよ!? 私はもう二度目の人生なんだけど!?)


私は心の中で大声で叫んだ。


だって私は前世、

病院から一度も出られなかった。


だからこの人生こそ、

自由に風を感じて、外を歩いて、

友達を作って、冒険して――

そんな“普通の幸せ”を掴みたかったのに。


儀式で自由を奪われたくなんて…ない。



その日の夕方。

庭園で魔法の練習をしていた私は、

偶然、お母様と執事さんの会話を聞いてしまった。


「エレノア様は魔力が強すぎます。

 儀式を早めた方が良いかもしれません」


「ええ。あの子は自由にさせると暴走しかねませんしね…」


(暴走……? 私、風属性の小型魔法しか撃てませんけど!?)


でも、分かってしまった。


私は“自由にさせると困る子”らしい。


前世では自由を奪われ、

転生したら「自由にさせると危険」と言われる。


どんだけ自由運がないの、私。


その日の夜。

ベッドの中で、もそもそと布団に潜りながら考えた。


(……儀式なんて受けたら、また檻だ)

(さすがに二回目は無理……!)


私は窓から見える夜空を見つめて、静かに決めた。


家出しよう。


五歳、

人生二度目の決意表明であった。


翌朝。


私はこっそり、

日記に大きく書いた。


【家出計画:開始】


そして横に、五歳児らしい走り書きでこう続く。


・まずは体力つける

・魔力コントロールできるようになる

・お金ためる

・髪色かえれる方法さがす

・家の外の地図を覚える

・大人にばれないルートを作る(超重要)


改めて見返した。


(……結構ハードじゃない?)


でも、やるしかない。


自由を失いたくないから。

二度目の人生を諦めたくないから。


私は小さな拳をぎゅっと握った。


「絶対に、冒険しに行く……!」


庭に吹いた風が、私を応援するように揺れた。


こうして、

エレナ・ウィンスフィアの 五年間にわたる家出準備生活 が始まったのである。


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