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プロローグ

病室の窓から、夕焼けが見えた。

私はベッドの上で、小さな息をひとつ吐く。


外の世界は、今日も眩しい。


道路を走る車も、

遠くに見える公園も、

風に揺れる木々も。


全部、私とは無縁のままだった。


生まれてからずっと病院で、

一度も外に出られなかった私は、

気がつけばベッドの上で十数年を過ごしていた。


(一度でいいから、歩いてみたかったな)


昔、私は外に出ようと病院から逃げ出したことがある。

もちろん見つかり病室の中に戻されたが。


親の顔は数年間見ていない。

好きなものは要望を出せばすぐに届けられるが、そこに愛情は存在しないと理解していた。


(最近看護師さんが出入りしないなぁ。多分もう生きる見込みがないからだろうけど。)


難病で、治す薬は存在しない。緩和するしかできないのだ。


そんなことを考えていると、いつのまにかいつもとは違う種類の眠りが襲ってきた。

何もかも包むような、安堵して体を預けてしまいそうな眠りだった。


(あ、これ…)


視界がゆっくり暗くなり、

音が遠ざかっていき、

温度も消えていくのがわかった。


(神様、もし見てるなら…)


もし、自分のことを憐れに思ってくれるなら。


(次はもっとちゃんと生きられる…人に…生まれ変わりたい…)


だって私は、何もできなかったから。


自由に友達を作って、自由に遊んで…そんな未来も許されなかったから。


(お願い…)


そして私、尼川恵里の意識はここで途切れた。


その意識は、二度と目覚めることはなかった。



そして、私は生まれ変わった。

本でよく見た異世界に。

そしてここから私の冒険は始まっていくのである。

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