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盗人の少女

 

 4月24日


 今日もシルフの迷路にやって来た


「1階と2階を往復するの?」


 スモモが聞いてくる


 →『それもある』

『宝探しもしよう』


「それもある」

「それも?」

「魔物の複数召喚を更に向上させたい」


 ウルフとゴブリンの同時召喚

 魔物の同時召喚はこれからの戦いで必ず役に立つ技術だ

 でも、今は本当に相手を倒せるトドメ用の切り札としてしか使えない

 3体4体と同時召喚出来たら、オークも余裕で倒さると思う

 てかオークとも契約したい


「どうやって鍛えるの?」

「魔力が切れるギリギリまで召喚を維持してみる」


 取り敢えずウルフを召喚する

 ウルフに臭いなどで周りを調べてもらう

 周囲の警戒の為にウルフを召喚し、戦闘時に追加でスライムかゴブリンを召喚して戦う

 こうしていって、魔力の調整とかの技術を研いていく

 そして、魔力が切れる直前で撤退する


「バウ!」


 ウルフが吠える

 どうやら近くに魔物が居るようだ


 ーーーーーーーーーー


 ウルフとスライム

 ウルフとゴブリン

 スモモの協力もあり、魔物との戦闘は余裕がある

 自分も剣で魔物を斬る、リュゲイさんの訓練が身についてるのを実感する


 1階と2階と探索してる時に、何度か宝箱を見つけた

 開けてると結構な額のお金が集まった


「お金集まったね」


 →『これが探索クエストのうまみか』

『集まったな』


「これが探索クエストのうまみか」


 総額で8000リッカ

 コロッコで暫くは暮らせる額だな


「魔力も減ってきたし、そろそろ帰るか」

「お腹すいた!」


 スモモがお腹をさする

 ウルフも足下にすり寄ってくる

 皆にも美味しいものをあげなきゃな



 ーーーーーーーーー


 コロッコに戻って、宿屋で夕食を食べる

 スライム達にも、お店で買ってきたそれぞれの好物をあげた

 何が好きかは繋がってるからか、よくわかった


「レイくん、Dランクに上がったそうですね」


 シルクさんが声をかけてくる


『昨日昇格しました』

 →『誰から聞きました?』


「誰から聞きました?」

「アヤメちゃん」


 守秘義務とか無いの?


「シルフの迷路は私もまだ攻略してないから、助っ人が必要なら声を掛けて下さい」

「シルク戦えるの?」


 スモモがリンゴを齧りながら聞く


「これでもそれなりに戦えますよ、魔法も簡単なのなら使えますし」


『報酬とかは?』

 →『タダじゃないよね?』


「タダじゃないよね?」

「そうですね、うーん、収穫の2割くらい貰えれば良いかな。 勿論しっかり仕事はするから任せて」


 シルクは親指を立てる

 ……いつの間にか敬語がなくなってるのは、それだけ親しくなったと考えるべきなのか?

 …………身体の中から力が湧いてくる

 どうやら彼女とも絆を感じたようだ


 シルクが宿屋の仕事が無い日は、一緒にクエストに誘えるようになった



 ーーーーーーーーー


 4月25日


 お金を貯金用の袋に移して、1000リッカだけ持ち歩く

 今日は商店に向かって、魔力を回復する薬を探す事にした

 値段がわからないから、今日買うかは決めてないけど


「魔力薬買ってどうするの?」


『スモモの回復に』

 →『召喚の維持にね』


「召喚の維持にね」


 魔力量がどれくらい増えるかわからないけど

 魔力薬があれば魔力切れでも回復できるから、また召喚して戦える

 何ですぐに思いつかなかったのか


 そんな訳で商店に向かう

 ついでに小さな鍵も探すかな


 そう思いながら街中を歩いてると


 トンッ


「あっ、ごめんなさい」

「こっちこそ、すいません」


 女の子とぶつかった

 女の子は急いでるのか走って行く


「レイ、今の子追いかけて!」

「?」

「財布持ってかれたよ!!」

「!?」


 懐を探る、財布にしてた袋が無い

 女の子を追いかける為に走る

 でも姿を既に見失ってる……

 街中だけど仕方ない!


召喚!(サモン!)ウルフ!」


 ウルフを召喚する

 ウルフが走りながら自分の服を嗅ぐ、服に残ってる女の子の匂いを覚えさせる


「ガウ!」


 ウルフは女の子を見つけたのか速度を上げる

 自分も追い掛ける

 すれ違う人達がウルフを見て驚くが、自分が追い掛けながら必死に


「魔物使いです!」

「うちのコです!」

「人は襲いません!」


 っと必死に叫んだ……

 無駄に勇気と話術が鍛えられた


 そしてウルフが止まる

 ? 路地裏?

 覗き込むと……


「さっさと寄越せ!」

「いや!」


 さっきの女の子が男2人に捕まってた……自分以外の被害者が捕まえたのだろうか?

 ウルフを戻す


「死にたくなかったら全部寄越せ!」

「さっさとしやがれ!!」


 …………言動がとても怪しい

 ここは


『そのまま見守る』

 →『声を掛ける』


 声を掛ける事にした


「すいません、何してるんですか?」

「あぁん!?」

「なんだてめぇ!!」


 男2人が睨んでくる


「その子に財布をスられたので取り返しに来ただけです。 貴方達は?」

「はっ、なんだ財布取られたマヌケか! 俺達はこのガキから金を貰うとこだ! ほら失せろ!」

「……貰う?」


 奪うの間違いでは?


「なにしてんだ? とっとと失せろ!」


 →『断る』

『財布を返してもらったら』


「断る」

「!!」


 男2人が青筋を立てる

 1人がこっちに歩いてくる


「痛い目にあいたいらしいな?」

「……」

「力貸そうか?」

「危なくなったら頼む」


 スモモにそう言って、自分は剣を……いらないか


「このガキが!!」


 男が殴りかかってくるが

 リュゲイさんの剣より全然遅い、余裕で躱せた

 拳を空振った男の脇腹に蹴りを入れる


「ごふっ!」


 よろめく男の、少し下がった顔面に蹴りを入れる


「がっ!?」


 男は気絶した


「なっ! てめぇ!!」


 もう1人の男がこっちに走ってくる

 ちょうどいい、試してみよう


召喚(サモン)スライム」


 スライムが現れて、男に踏まれる


「ぬおっ!?」


 男がバランスを崩して転ぶ


「ゴブリン、ウルフ」


 ゴブリンとウルフ召喚、3体同時召喚だ

 かなりキツイ


「!!」


 ゴブリンが棍棒で起き上がろうとした男を殴る

 男は気絶した


「きゃ!」


 ウルフは逃げようとした女の子の足止めだ

 ゴブリンとスライムを戻す


「財布返してもらおうか」


 ーーーーーーーー


 女の子から財布を取り返し、男2人を自警団に引き渡した

 ついでに女の子がスッてた他の人の財布も、落とし物って事にして預けた


「はい」

「……いいの?」

「いいから」


 女の子に屋台で買ったリンゴをあげる

 そして、人の邪魔にならない道の端で2人でリンゴを食べる

 自分はリンゴを剣で半分に切って、スモモに渡す


 →『なんで盗みを?』

『親は何してる?』


「なんで盗みを?」

「……お金が無くて」

「親は?」

「……死んじゃった」


 孤児か……


「行く宛とか、頼れる人は?」

「…………」


 女の子は首を横に振る


「それでも盗みは、犯罪は駄目だ」

「他に方法なんてわからないよ、子供だからって誰も雇ってくれない……」

「…………」


 働こうとはしたんだ……

 うーん、普段なら何も出来ることは無いからほっとくけど

 ここまで関わったら、ほっとけない


「どうしたものか……」

「あれ? レイくん?」

「アヤメさん?」


 アヤメさんが目の前に立っている

 いつもの受付の姿とは違う、恐らく私服だと思う姿から、今日は休日の様だ


「どうしたんですか? そんな所で……んっ? デート中?」


 アヤメさんは女の子を見てから聞いてくる


 →『違います』

『実はそうなんです』

『どう見える?』


「違います」


 アヤメさんに盗みの事以外を話す


「親を亡くして、仕事も無くて困ってる……それは……うん、危ないですね」


 危ない?


「お嬢ちゃん、自分の年齢はわかります?」

「13……」

「なら、オススメはしませんが、ギルドで冒険者登録できますよ、12歳から登録できますから」

「そうなんですか? 何故12歳?」


 気になったから聞く


「昔の成人年齢が12歳だった名残だそうです」


 確か今の成人年齢は15歳だったな


「命懸けの危険な仕事なので、出来れば成人してから登録するべきなんですが……他に仕事の宛が無いんだったら」

「お金を稼げる?」

「低ランクのうちは少ないですけど……」


 →『宿屋には泊まれる』

『ご飯は食べれる』


「宿屋には泊まれる」

「宿屋、あったかい布団で寝れる?」

「宿によるが、自分が泊まってる今の宿屋は快適だと思うよ」


 風呂無いけど


「……冒険者になる、働きたい」

「なら、明日ギルドに来て下さい、私が受け付けますから」

「明日……」


『アヤメさん、お願いがあります』

 →『うちの宿くる?』


「うちの宿くる?」

「……お金ない」

「1日くらいなら自分が払うよ」

「でも……」

「お嬢ちゃん、ここはお兄さんに甘えるべきですよ」


 アヤメさんがそう言って、自分にウインクする


「……わかった、ありがとう」


 ーーーーーーーー


 アヤメさんと別れて、宿屋に戻る


「んっ? その子は?」

「お客さん」


 店主に女の子を紹介する……


 →『名前聞いてなかった』

『名前は……』


「名前聞いてなかった」

「『マイヤ』……」


 マイヤを店主に紹介して、部屋を借りた

 自分の隣部屋だ


 それぞれの部屋の前


「もう少ししたら夕食だから、一緒に食べよう」

「……うん、あっ、お兄さんの名前知らない」


 →『レイ·アケミツ』

『謎のお兄さん』

『スモモ』


「レイ·アケミツ……レイって呼んでくれ」

「うん、よろしくレイ」


 マイヤと握手する

 もう少し親しくしたら、彼女との仲も深まりそうだ



 その後、夕食を3人でとってから、休んだ

 ……あっ、商店行ってない


 ーーーーーーー


 4月26日


 マイヤと一緒にギルドに行き、アヤメさんにマイヤの冒険者登録を受け付けてもらった


「マイヤちゃん、本当に職業が盗人(シーフ)で良いんですか? 字面が悪いからか、人気ない職業ですよ?」

「それがいいから……」

「わかりました、もし誰かに何か言われたらお姉さんに言ってください、ガツーン!!っと言ってやりますから!」


 その表現を口にする人初めて見た


「それじゃあ早速クエスト受けます? 文字読めます?」

「読める」


 マイヤはそう言って採取クエストを受けた


「行ってきます」


 マイヤはそう言って目的地に向かおうとしたが


『ちょっと待て』

 →『スモモ、頼む』 


「スモモ、頼む」

「だと思った」


 スモモはマイヤの頭上に飛んでいく


「? スモモさん?」

「わたしが色々と教えてあげるから、さっさと行くよ」

「うん!」


 マイヤとスモモを見送る


「レイくんはどうします?」

「商店に用があります」


 2人がクエストに行ってる間に、自分は昨日行けなかった商店に行くことにした


 ーーーーーーーー


 商店で魔力薬の値段を確認して、必要な物を買ってからギルドに戻った

 ちょうどマイヤ達も帰ってきてて、アヤメさんに採取した素材を渡していた


 →『早いな』

『もう終わったの?』


「早いな」

「マイヤ、足が凄く速いよ」


 スモモが飛んできてそう言った


「はい確かに! これでマイヤちゃんもEランクですよ! 討伐クエストが受けれます!」

「受けます!」


 判断が早い


「えっと、疲れてません?」

「大丈夫です、受けれます!」


 やる気が凄い


「じゃあこちらを……」


 アヤメさんがファイルを取り出すと、マイヤはゴブリン討伐を受けた


「行ってきます!」

「行ってらっしゃい…………大丈夫かな?」

「自分も行きます」


 流石に心配だ、荷物をアヤメさんに預けて、マイヤを追いかける

 もうマイヤの姿が見えない

 街の外に出て、ウルフを召喚する

 ウルフが走り出す、自分はウルフを追い掛ける


 ーーーコロッコの森ーーー


 森を奥でマイヤを見つけた


「うっ……」


 2匹のゴブリンに挟みうちにされて、苦戦していた

 大きな怪我は無さそうだが、ピンチなのは見てわかった


「ウルフ!」


 ウルフが近くのゴブリンに噛み付く

 怯んだゴブリンに近づいて斬る


「レイ!」


 →『もう1匹は任せた!』

『背中は守る!』


「もう1匹は任せた!」

「……うん!」


 マイヤはナイフを構える

 そしてゴブリンに駆け寄る


 ゴブリンが棍棒をマイヤに向かって振るが、マイヤは棍棒を避けて、ナイフをゴブリンの喉元に突き刺した


 倒れてもがくゴブリン、少しして消滅した


「これで5匹目」


 マイヤはゴブリンの素材を拾う

 もうそんなに倒してたのか!?


「レイ、助けてくれてありがとう」


 マイヤは自分にお礼を言った


 →『大したことはしてない』 

『助けはいらなかったかもしれないな』


「大したことはしてない」

「ううん、昨日も今日も助けてくれた」


 マイヤはそう言って自分の前に来る


「頑張ってすぐにDランクになるから、そうしたら、次はボクがレイを助けるから」


 マイヤが握手を求める


 →『その時は頼むよ』 

『頼もしいな』


「その時は頼むよ」


 マイヤと握手する

 彼女との間に絆を感じた

 身体の中から力が湧いてくる


 こうして、盗人の少女マイヤと出会ったのだった

名前 明光 零

レベル8


HP 107/107

MP 26/45


勇気 1 臆病者

知識 2 それなり

技術 1 不器用

話術 1 コミュ障

器  1 心狭い


イタズラ妖精 スモモ ランク2

ギルドの受付 アヤメ ランク1

冒険者の剣士 リュゲイ ランク1

宿屋の看板娘 シルク ランク1

盗人の少女  マイヤ ランク1

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