コロッコでの数日
4月9日
ギルドに登録してから1週間が経った
ギルドで仕事を受ける→仕事をこなして報酬を貰う→目的の為にお金を使う
そんな繰り返しだった
それで成果がこれだ
冒険者の装備(軽装)
鉄の剣 (2本)
文字の練習用の紙 (講習で貰った)
スモモが雷系の魔法を習得した (レベルが上がったのか?)
特にスモモの雷魔法には驚いた
なんとスマホのワイヤレス充電が反応したのだ
スモモに頼んで数分間帯電してもらい、スマホを近くに出すと充電した
これはとても助かった
主に自分の精神的に……
電波が無いから、ネットを使ったり、誰かに連絡したりは出来ない
現在の主なスマホの使用目的は……
日付と時間の確認 (元の世界基準)
暗い道を照らすライト
両親の写真を眺める (精神ケア)
である
充電を気にせずに済むようになったのは本当にありがたい
それと驚いた事もある
初めてのギルドの仕事を終えた帰り道
空を見上げると、月が3個あったのだ
黄色い月、青い月、赤い月
この世界が異世界だと思い知らされた
……太陽は1つみたいなんだが
「あっ、終わった?」
スモモが自分の手元を確認する
今、自分は文字の練習を終えた所だ
文字の講習の最後の課題を終わらせたのだ
知識が高まる、知識が『それなり』になった
これでこの世界の簡単な文字なら読めるし書けるようになった
「今日はどうするの? また仕事?」
そうだな……今日は……うーん、1週間ずっと働いてたし
「今日は休もう」
流石に身体に疲労感があるし、たまには休もう
「じゃあさ、行きたいところあるんだけど……」
これは、遊びに誘われてるのか?
→『一緒に行く?』
『行ってくれば?』
「一緒に行く?」
「うん!」
スモモは嬉しそうだ
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コロッコの森
スモモの案内で森の奥に辿り着いた
「綺麗でしょ!」
目の前には大きな湖がひろがっている
湖は太陽の光を反射して、キラキラしている
『眩しい』
→『綺麗だな』
『スモモがな』
「綺麗だな」
「でしょー!」
スモモは笑う
湖に触れてみる
水着があったら入ってみるんだけどね
「もう少し暑くなったら、ここで涼んだりするんだよ」
スモモが自分の頭の上に乗る
「気持ちよさそうだ」
「気持ちいいよ!」
→『どうしてここに?』
『自分に教えて良いのか?』
「どうしてここに?」
「わたしの好きな場所を、レイにも教えてあげたくなったの!」
スモモが自分の目の前に飛ぶ
「レイ、あの時助けてくれてありがとう! お礼言ってなかったよね?」
『言ってないな』
『言ったよ』
→『助けられたのは自分だ』
「助けられたのは自分だ」
「じゃあお互いさまだ!」
スモモは笑う
彼女からの信頼を感じる
「あのさ、これから魔物と契約する時、わたしも手伝ってあげる!」
スモモの協力で、魔物との契約の成功率が上がりそうだ
スモモと楽しい時間を過ごした
ーーーーーーー
4月10日
今日はギルドに向かう
スモモが自分の左肩に乗る
ギルドに入り、依頼書が貼ってる掲示板に向かう
『討、伐……』
『採取……』
→『探索……』
「探索……」
ダンジョン探索の依頼書を取ろうとしたが、よく見たらDランク以上と書いてある
「討伐しかないね」
「だね」
ウルフ討伐の依頼書を取る
そして受付に向かうと
「レイく〜ん、空いてますよ〜」
アヤメさんが手招きしてる
アヤメさんの窓口に依頼書を持って行く
「ウルフ討伐、お願いします」
「レイくん、文字読めるようになったんですね!」
『お蔭さまで』
→『まだ簡単な文字だけ』
「まだ簡単な文字だけ」
「それでも成長ですよ、よしよし」
頭を撫でられた……
「ウルフ討伐ですね、討伐の手順は覚えてますか?」
「大丈夫です」
魔物は死んだら消滅する
しかし、たまにお金以外に素材を落とす
その素材を指定された量、持ち込めば良いのだ
……運が良いとすぐ終わるけど、運が悪いととても時間がかかる
まぁ、その分採取クエストより報酬はかなり多い
「はい受け付けました! 行ってらっしゃい!」
→『行ってきます!』
「行ってきます!」
ーーーーーーーー
ザシュ!
6体目のウルフを倒す、そして牙を拾う
これで素材が集まった
「やっぱり棒より効率いいね」
スモモが自分の鉄の剣を見る
やはり戦闘用に作られた武器だから、威力が違う
因みに、いい感じの棒は、宿屋の自室に置いている
捨てる気にはなれなかった
『二刀流もあり?』
→『でも問題もある』
「でも問題もある」
「問題?」
「自分が素人だってことだ」
魔物と戦えてるが、剣を使ってるというより、振り回してるだけだ
誰かに剣を教わるべきかな……
最悪基礎だけでも……
ーーーーーーーー
「教えてる人知ってますよ」
ウルフ討伐の報告をするついでに聞いてみたら、アヤメさんはそう答えた
「誰?」
スモモが聞く
「えっと、『リュゲイ』さんですね、Cランクの冒険者です……先程戻られたのですが…………いたいた、リュゲイさ〜ん!!」
呼ばれた人が窓口にやって来る
自分より少し年上だろうか?
男性だ
「アヤメちゃん、そうやって呼ぶの止めたほうが良いよ」
「何故です?」
「あ〜揺れるから」
「? 窓口の机は固定してますよ?」
「…………」
→『揺れる……』
『あの……』
「揺れる……」
確かに、揺れてた
「おや? 君は?」
「レイです、剣を教えてる人を探してます」
「あぁなるほどね、僕に剣を教えてほしいわけね」
リュゲイさんは自分を見ると、呼ばれた理由を理解したようだ
「教えてもいいけど、仕事だから報酬を貰うよ? 1回2000リッカ」
「たかっ!? 宿屋に6回は泊まれるよ!?」
スモモが驚く
「嫌なら自力で何とかするんだね」
技術は安くはないっか
「わかりました、お金を用意できたら、その時はお願いします」
「話が早くて助かるよ、僕は基本毎日この時間にギルドに居るから」
「はい」
冒険者リュゲイと知り合った
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4月14日
あれから依頼をこなして、2000リッカを用意した
「じゃあ、教えようか」
リュゲイさんに案内されて、ギルド内の訓練所に入る
「僕はちゃんとギルド公認で剣を教えてるから、報酬を貰った以上、君に必ず剣術を覚えてもらうよ」
『お手やわらかに』
→『よろしくお願いします!』
「よろしくお願いします!」
「元気がいいなぁ」
リュゲイさんに剣術を教わった
ボコボコにされた
しかし、何かを掴めた気がする
「よし、今回はここまで、まあこれで剣を使えるようにはなったろう」
「ありがとう、ございました」
リュゲイさんの手を借りて立ち上がる
彼から、ある程度の絆を感じる
もう一回訓練を受けたら、彼の事がもっとわかるかもしれない
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4月16日
昨日は身体中が痛かったから、流石に休んだ
今日は回復したから、ギルドで再びウルフ討伐を受けた
ウルフを倒しながら、自分の成長を実感する
リュゲイさんの教えのおかげで、ある程度の加減が出来るようになった
そのおかげで、ウルフの一匹と契約する事が出来た
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4月20日
2000リッカを支払い、再びリュゲイさんの訓練を受ける
今回は技の習得だ
「腰をもっと落として! 足首ももっと意識しろ!」
リュゲイさんの訓練は厳しい
しかし、そのおかげか、技を習得出来た
『スラッシュ』を習得した
「よし、今回はここまで! それにしても、レイは覚えが良いな」
→『リュゲイさんの教え方がいいんですよ』
『才能です』
「リュゲイさんの教え方がいいんですよ」
「そうか? 初めて言われた」
リュゲイさんの手を借りて立ち上がる
「若い冒険者は自信があるからか無茶をして、死ぬ事が多い……レイはそうならないでくれよ?」
リュゲイさんは若い冒険者の事を想ってくれてるようだ
リュゲイさんの事がわかってきた気がする
彼との間に絆を感じる
「次回は、技を利用した実戦での戦い方を教えてやるよ」
リュゲイさんとの訓練のおかげで、剣での攻撃力が増した気がする
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4月23日
今日もギルドに行くと、アヤメさんに呼ばれた
「レイくん、最近の仕事ぶりが評価されて、Dランクへの昇格クエストが受けれる様になりましたよ!」
「昇格クエスト?」
スモモが聞き返す
「Dランクからは昇格するには昇格クエストっていうクエストを受けなきゃいけないんです、指定した魔物を討伐するんです」
「魔物の討伐? それなら素材を持って帰らなきゃいけないよね?」
「いえ、昇格クエストは素材は必要ありませんよ、そのかわり試験官が着いてきますよ」
つまり、試験官の前で魔物を討伐しろって事か
→『討伐対象は?』
『試験官は?』
「討伐対象は?」
「えっと、オークですね、脂肪と筋肉で物理攻撃が効きにくい魔物です」
「試験官は?」
スモモが聞く
「僕だよ」
リュゲイさんがやって来た
「君が危なくなったら助けてあげるから、安心して挑みなよ」
そう言ってリュゲイさんは離れていった
「ああ言ってますけど、レイくんの試験官をやらせてくれって、ギルドマスターに頼み込んでたんですよ」
アヤメさんが教えてくれた
リュゲイさん……良い人だ
「昇格クエスト、受けます」
こうして、Dランクへの昇格クエストが始まった
名前 明光 零
レベル5
HP 32/72
MP 25/25
勇気 1 臆病者
知識 2 それなり
技術 1 不器用
話術 1 コミュ障
器 1 心狭い
絆
イタズラ妖精 スモモ ランク2
ギルドの受付 アヤメ ランク1
冒険者の剣士 リュゲイ ランク1