冒険者ギルドへ
4月2日
食堂に向かい、店主に指定された席に座る
スモモは机の上に座る
「それで? これからどうするの?」
『情報を集めよう』
→『お金を稼ごう』
『鍛えていこう』
「お金を稼ごう」
「あっ、そうだよね〜人間は生きるのにお金が必要だもんね」
実際、持ってるお金から計算しても数日分の生活費しかない
それに装備も整えないといけない
いつまでも学生服もいい感じの棒で戦うなんて無謀だ
「それでどうやってお金稼ぐの? 仕事でもさがすの?」
「…………」
どうしよう
どこかで雇ってもらおうにも、自分はこの世界の文字が読めないし書けない
そんなのすぐにクビになる
…………文字を覚えないとな
「仕事を探してるんですか?」
「!?」
声をかけられて、スモモから視線を移す
エプロンを着た女性が立っていた
『誰?』
『貴女は?』
→『おはようございます』
「おはようございます」
「おはようございます、母から聞いてます、夜中にいらっしゃったお客様ですよね」
女性は手に持ってたお盆から、机に料理を並べる
サンドイッチとスープとサラダだ
豪華だな
「夕食が無かった分のサービスです」
女性がそう言って微笑む
「あんた誰?」
スモモが女性に聞く
「あっ、可愛い妖精さんですね! 私は『シルク』と言います。 よろしくね」
→『よろしく』
『零です』
『スモモです』
「よろしく」
「お二人のお名前を聞いても?」
「零です」
「スモモ」
「レイくんとスモモちゃんね、それで話を戻しますけど、仕事を探してるんですよね?」
「なにか心当たりあるの?」
スモモがシルクさんに聞く
「レイくんは何か出来ることってあります? 算術とか大工とか」
『二次関数もいける』
『日曜大工なら』
→『どう思う?』
「どう思う?」
「お話するのは楽しそうだね」
シルクさんは笑う
「何か手に職ってのが無いのなら、冒険者ギルドがオススメですよ」
「冒険者ギルド?」
『採取とか?』
→『討伐とか?』
『探索とか?』
「討伐とか?」
「そうそう、他に採取やダンジョン探索とか、色々な仕事が出来るから、自分が出来そうな仕事をやればいいですし、身分証とか楽に作れますよ、私も登録してます」
シルクはそう言って、ポケットからカードを出して見せてきた
……文字が読めない
→『読めません』
『Dランク?』
『意外と高い?』
「読めません」
「あっ、読めなかった? Dランクなんですよ」
「それって高いの?」
「下から3番目です」
「…………」
凄いのか凄くないのかわからない
「てかレイは読み書き出来ないなら登録出来ないんじゃないの?」
「そこらへんは受付の人が対応してくれますよ」
「シルク!! 喋ってないで働きな!!」
「あっ、母さんが怒ってるからこれで!」
シルクは裏に戻っていった
「……どうする?」
……他に行く宛もない
仕事も出来るし、身分証は欲しい
冒険者ギルドに行くことにした
ーーーーーーー
水浴びをして、身体を洗ってから
店主に冒険者ギルドの場所を聞いた
宿を出る前に、今夜も泊まることを伝えて、代金を先に払っておいた
「うわ、人多い」
宿から出て、表通りに出ると
街中を大勢の人が歩き回っていた
活気がある街だ
店主に聞いた道を進み、冒険者ギルドに向かう
周りの人が冒険者ですって人達になってきた
冒険者ギルドに辿り着く
「おお、でっかい」
→『デカい』
『小さいぞ?』
「デカい」
予想よりも大きな建物だ
3階建てかな?
中に入る
ーーーーーーー
ギルドの中は色んな人が居る
剣士って人や魔法使い、僧侶って人も居る
あっ、犬みたいな人も居る、獣人とかそんな感じだろうか?
「レイ、ぼーとしてないで登録しなよ」
「あっ、そうだ」
スモモに言われて受付を探す
奥の方がそれっぽい
受付に向かうと、ちょうど人が退いて空いた受付に行く
「おはようございます! 今日はどの様なご要件ですか?」
受付の人は笑顔で聞いてくる
→『登録をお願いします』
『仕事を探しています』
『お姉さん綺麗ですね』
「登録をお願いします」
「あっ、冒険者登録ですね! それではこちらに記入をお願いします」
受付の人が書類を取り出す
「この人読み書き出来ないの、代わりに書いてもらっていい?」
スモモがポケットから顔を出して言う
「あっそうなんですね、でしたら代筆しますよ! 希望があれば文字を教える講習をしてますから、不便だと思ったら受講してみて下さい! 有料ですけど」
受付の人は明るく伝えてくれる
「それではお名前から」
自分は受付の人に自分の情報を伝えていく
ーーーーーーーーーー
名前 レイ·アケミツ (珍しい名前ですね)
性別 男
年齢 15 (若いですね〜)
職業 魔物使い (珍しいですね! あっ、だから妖精を連れてるんですね!)
特技 不明 (そのうちわかりますよ)
使える魔法 無し (これも講習ありますよ〜)
前科 無し (ですよね!)
ーーーーーーーーーー
「はい! 基本的な事は書き終わりました! あとは魔力量ですね! この道具に触れてください!」
受付の人は水晶玉を目の前に置いた
言われた通りに触れる
…………微妙に光った
「魔力量は20くらいですね、まあ人によっては増えていきますし! これからですよ!」
励まされた……
「はい、それでは以上で登録作業は終わりです! 30分ほどでカードが出来ますので、あちらでお待ち下さい」
受付の人に指定された所で待つ
「暇!」
スモモが自分の頭の上に乗る
自分は冒険者の人を見てるから、楽しいんだけど
重装備の人とか頼もしい
フルフェイスの兜はロマンだと思う
あの人はアーチャーだろうか?
獣人の人も獣よりの人は人間よりの人も居るみたいだ
「レイくん、お待たせしました!」
受付の人がカードを持って来てくれた
→『ありがとうございます』
『呼んでくれたら良かったのに』
「ありがとうございます」
「いえ、これも仕事ですから!」
受付の人からカードを受け取る
「レイくんはFランクからのスタートです、採取クエストしかまだ受けれませんが、3つほどクエストをこなせばすぐにEランクに上がりますからね!」
受付の人はガッツポーズを取る
……この人リアクション大きいなぁ
「今から受注しますか? すぐに紹介できますよ!」
そう言って受付の人は大きなファイルを取り出した
→『受けます』
『また後で』
「受けます」
ーーーーーーーー
コロッコの森
自分がスモモと出会った森だ
今回は薬草の採取と山菜の採取、果実の採取を受けた
「これは薬草、これは毒草」
この森に住んでたからか、スモモが色々と教えてくれた
知識が高まる
ある程度採取し、暗くなる前に街に戻ろうと森を出ようとした時
ースライムがあらわれた!ー
一匹のスライムが襲ってきた
「わたしの力いる?」
『取り敢えず1人で』
→『試したい事がある』
「試したい事がある」
「じゃあ、見とくね」
スモモは飛んで、見物を始める
自分は棒を構える
襲ってくるスライムを棒で叩く
叩く
叩く
叩く
スライムがグッタリしている
今なら……
…………どうやればいいんだ?
「っ!」
頭に声が響く
『右手を相手に向けて、契約の詠唱をするんだよ、詠唱は〜』
「"わが名はレイ 我 力を求める者なり 契約を求める"」
右手から青い光がスライムに向かって飛んでいった
スライムが少し戸惑った後に……
『認める』
そんな声が聞こえたと思ったら、スライムが消えた
「スライム消えたけど、倒したの?」
スモモが聞いてくる
『契約は出来たみたい』
→『何か身体の中から力が……』
「何か身体の中から力が……」
また頭に声が響く
『意識を集中して、魔物の名前を呼んでごらん』
「……スライム!」
右手から青い光が飛んで、スライムが出てきた
「あっ! 出てきた!」
「!!!!」
スライムがうねうねしてる
「何うねってんの!」
スモモがスライムに触れる
「うわっ! ベタベタする!」
スモモはすぐに離れて、自分の制服で身体を拭く
『拭くなよ』
『やめろよ』
→『大丈夫?』
「大丈夫?」
「身体洗いたい……もう戻してよ!」
スライムに右手を向けると、スライムは青い光になって、右手に入った
これが契約の力……
スライムを手に入れた!
これからの戦いではスライムを召喚して戦える様だ
「レイ! 早く帰らないと暗くなるよ!」
急いでコロッコに向かう
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冒険者ギルド
「はい! 確かに指定量を確認しました! これで一気に3つのクエストを完了しましたので、レイくんはEランクです!」
これで討伐クエストも受けれる様だ
報酬を受け取る
もう少し稼いだら、装備を整えよう
「それにしても1日で一気に3つもこなすなんて、レイくんは期待の新人くんですね!」
受付の人が微笑む
あっそういえば
『名前聞いてない』
→『お名前は?』
「お名前は?」
「あっ、そう言えば名乗ってませんでしたね! 私は『アヤメ』と言います! これからよろしくねレイくん!」
受付の人、アヤメさんは楽しそうだ
彼女との絆を感じた
あっ、また何か力が身体の中から感じる
どうやら、ある程度親しくなったら、自分への力になるみたいだ
これからはそういう出会いや交流も大事にした方が良いかもしれない
今日は帰ることにした
名前 明光 零
レベル3
HP 50/50
MP 20/20
勇気 1 臆病者
知識 1 世間知らず
技術 1 不器用
話術 1 コミュ障
器 1 心狭い
絆
イタズラ妖精 スモモ ランク1
ギルドの受付 アヤメ ランク1