ボスを探せ!
ギルドに辿り着く
ギルドは冒険者達が集まっていた
いつもより人が多い、これだけの人が一緒に戦ってくれるのは心強い
「おー! 来たかレイ!」
エルメンさんが自分を呼ぶ
『集まってますね』
→『準備できてます?』
「準備できてます?」
「なんだ? 心配してるのか?」
エルメンさんはそう言うと、荷物を入れてる袋の中身を見せてきた
見ただけで、高そうな回復薬が大量に見えた
「そろそろ良いか?」
アヤメさんやリュゲイさんと話していたギルドマスターが周りを見渡して言う
「もう動かないと遅れるんじゃないか? まだ来てない奴への説明は他の奴に任せようぜ」
エルメンさんが答える
「そうだな……だが、その前に……」
ギルドマスターが自分の前に立ち、両肩を掴んでくる
「エルメンから聞いたが……大丈夫か? アイツに無理矢理言わされてないか?」
ギルドマスターから心配そうに言われた
→『まあ、急ではありました』
『無理矢理ではないです』
「まあ、急ではありました」
「それなら!」
「でも、自分が役に立てるなら、一緒に行きます、自分の全力を尽くします」
「……そうか、なら止めるのは野暮だな」
ギルドマスターは微笑むと、自分の頭を撫でてから離れた
「全員注目!!」
ギルドマスターの大声に視線が集まる
「よく聞け!! これよりカヴァレッタ討伐作戦を始める! 昨日から外壁に見張りをつけている! カヴァレッタが現れたら合図があるから、合図と同時にエルメルが街全体に結界を張る!!」
「アタシの結界は外側の侵入を防ぐけど、内側からはすり抜けていく、結界にぶつかって動きを止めてるカヴァレッタ達を、内側から魔法や遠距離攻撃、届くなら剣や槍での近接攻撃で倒していく」
「しかし、それでは倒しきれない、カヴァレッタの群れは通常で数万……今回の規模は10倍ほどあると考えろ!」
数十万……うわ、見たくない
「カヴァレッタの群れを蹴散らすには、群れのボスを倒す必要があります」
ヒュームさんが言う
「結界に張り付いたボスを探すのか?」
冒険者の1人が聞く
「いいえ、ボスは群れの後方に居ます、通常の群れの話ですけどね……ですから、ボスを探しに結界の外に出ないと行けません」
ヒュームさんがそう言うと、エルメンさんがヒュームさんの側に歩き、リュゲイさんが自分の手を引いて、ヒュームさんの側に行く
「そのボスを探すのはこの4人で挑む! 炎の剣士エルメン様と!」
「『氷結』のヒューム」
「Cランクのリュゲイだ」
3人が自分を見る
→『Dランクのレイです』
『魔物使いのレイです』
「Dランクのレイです」
「Dランク? 足手まといじゃないのか?」
「大丈夫なのか?」
ざわざわと騒ぐ冒険者
マイヤが殴りかかりそうなのをモーリンさんが止めてる
「Dランクで驚いたかもしれないが、コイツは必ず活躍する、俺様はそう思ったから誘った! お前達は大量のカヴァレッタの群れに突っ込めるか? コイツは突っ込めるぞ!」
流石に、虫の群れに突っ込むのは気分的には嫌だけど……
「全員黙ったなら、決まりだな!」
「じゃあ、話を続けるけど、私達でボスを仕留める、その間、皆は街を守ってほしい、エルメルの結界も万能じゃない、ずっと攻められたら綻びが生じる」
「そこに、カヴァレッタが一気に侵入しようとするから、綻ぶ前にアタシが指示した場所にBランクとCランクの人で集まって、侵入するカヴァレッタを倒してほしいの、アタシも急いで結界を修復するから」
「魔力薬を大量に用意したが、結界の維持は最大で10時間程度だ!」
つまりそれまでにボスを討伐しないといけない
「俺様達冒険者の実力を! 虫どもに思い知らせてやるぞ!!」
『うおおおおおおおお!!』
皆、やる気が凄いな
ドーン!!っと花火の様な音が聞こえた
「姉貴!」
「もうやってる!!」
エルメルさんが杖を構えて、何かした……
外に出てみる
「これが、結界」
街を包むように、六角形の壁が密集していた
「カヴァレッタは! 合図はどこから!」
リュゲイさんが周囲を見渡すと、西の方から走ってくる人が居た
「リュゲイ! 出てきた! 西から! やつらが!」
「エルメン! ヒューム!」
「おう! 行くぞ!」
「エルメン! まだ私達の結界貼ってないから! 戻れ馬鹿!!」
「ドラゴンフライ!!」
ドラゴンフライを召喚して、エルメンさんの目の前まで飛ばす
「っと!」
足が止まったエルメンさん
ドラゴンフライを戻す
「戦う前から消耗させるな!」
リュゲイさんがそう言いながら、エルメンさんを連れ戻した
改めて結界を自分達に張ってもらう
六角形の壁が、1人1人を覆うように現れた
「リュゲイ、レイ、この結界は1時間しか保たないから、1時間経ちそうになるなら戻ってきて、張り直すから」
「魔力は持つのか?」
「持たせるわ」
「レイ……」
マイヤが心配そうにしてる
『行ってくる』
→『必ず帰ってくる』
『害虫駆除だ』
「必ず帰ってくる」
「うん!」
「わたしも居るんだから!」
スモモが自分の頭に乗って言う
4人で西門に向かう
西門に辿り着いた時には、結界の外は凄いことになっていた
カヴァレッタ……バッタだなこれ
カヴァレッタが結界にギッチリと隙間なく張り付いていた
窓の外側に、虫がウジャウジャ張り付いてるのを内側から見ている様な光景だ
正直気持ち悪い
「よし、行くぞ!」
「待ちなさいエルメン」
「なんだヒューム! まだ止めるか!」
「何もせずに出たら、視界がカヴァレッタで埋まって何も見えなくなる」
ヒュームさんが詠唱する
自分達の結界に何か付与された
「何付けた?」
リュゲイさんが聞く
「絶対零度、結界に張り付いたカヴァレッタを凍らせて落とす、外側にだけ付与したから、内側の私達には影響ないし、内側からの攻撃に影響ないようにしたから」
「相変わらずとんでもない事を簡単にやるな……」
前から思ってたが
『付き合い長いんですか?』
→『仲良いですね』
「仲良いですね」
「ああ、まあ付き合い長いからな」
「同期だからな」
エルメンさんが笑いながら話に加わる
「コイツ、この街に拘っているからな、王都に拠点を移せば、Aランクになれるってのに」
「ボクはこの街が好きなんだよ」
そう言うと、エルメンさんもリュゲイさんも剣を抜いた
自分も剣を抜く
「カヴァレッタのボスは赤く変色してる……赤い個体を探しましょう」
こんな黒いバッタの中から?
自分達は外に出た
ーーーーーーーーーーー
視界が闇に染まる
黒い黒い黒い黒い黒い
所々に緑がある
黒い黒い黒い黒い黒い黒い黒い黒い
羽音や鳴き声、カシャカシャと口を動かす音
黒い黒い黒い黒い黒い黒い黒い黒い黒い黒い黒い黒い
これ全部がカヴァレッタ
これ全部がバッタ
これ全部が虫
「っ!!!!」
キッツ!!
見渡して虫!
前後左右虫!
上も虫! 地面にも虫!
ボトリボトリと、結界に触れて凍ったカヴァレッタが地面に落ちる
落ちたカヴァレッタを他のカヴァレッタが食べる
目の前で次々起きる共食い
気持ち悪い
「レイ、リュゲイ、近くに居る?」
ヒュームさんの超え
「ヒューム、お前の左に僕が居る、レイも僕の後ろだ」
リュゲイさんの声が前から聞こえた
「なら、俺様の前には誰も居ないな! 1回ぶっ放すぞ!」
エルメンさんの声が更に前から聞こえた
「『炎舞·狐火』!!」
エルメンさんの声の後、視界が赤に染まった
そして、響く爆音
一瞬で視界がひらけた
自分の目の前にリュゲイさんが居た、その右にヒュームさん
そして更に前にエルメンさん
そこから少し離れて……自分達の周りを飛び回る黒い影
ていうか壁?
視界に入る、黒いの、これ全てがカヴァレッタ
→『多すぎる!?』
『気持ち悪い!!』
「多すぎる!?」
「数十万……これ数百万だろ」
リュゲイさんが呟く
「ヒューム!」
「わかってる! 『オルド·フローズン』!」
ヒュームさんが魔法を放つと、強烈な吹雪が吹き荒れて、多くのカヴァレッタを消滅させた
「これだけ蹴散らしても、数秒視界が解放されるだけ……」
「こんな規模は予想外だな!」
「悠長にしてる場合か! 一歩も進めてないぞ!」
「折角の付与も、こんな大軍じゃ意味無い……無駄だった」
ヒュームさんが残念そうだ
またカヴァレッタが纏わりついてきた
「…………」
ポケットから、リンゴを取り出して、投げてみる
カヴァレッタの群れに一瞬でリンゴが食べられた
ウルフとかゴブリンと出しても、一瞬で食べられそうだ
何か、方法はないのか?
「ゴーストは? アイツ実体ないよね?」
「それだ!」
スモモに言われて、自分はゴーストを召喚する
結界の外に出してみる……平気だ、すり抜けていく
「ゴースト! カヴァレッタだけを燃やしてくれ!」
「!」
ゴーストが火の魔法で自分達の周囲を焼き払う
「おっ、俺様の炎を吸い込んだ奴か」
ゴーストに魔法の維持を頼む
「視界の確保は出来たか」
「早速活躍したじゃないか!」
リュゲイさんとエルメンさんに褒められる
「先に進みましょう」
ヒュームさんがそう言って歩き出す
自分達もカヴァレッタの群れの中を進むのだった
名前 明光 零
レベル18
HP 235/235
MP 110/110
勇気 2 なくはない
知識 2 それなり
技術 1 不器用
話術 2 つたない
器 1 心狭い
絆
イタズラ妖精 スモモ ランク3
ギルドの受付 アヤメ ランク2
冒険者の剣士 リュゲイ ランク2
宿屋の看板娘 シルク ランク3
盗人の少女 マイヤ ランク3
共に戦う仲間達 ランク1




