夜のコロッコ
5月2日
朝、目を覚まして服を着替える
まだ眠そうなスモモを胸ポケットに入れって、水場に向かう
部屋を出ると、眠そうに目を擦っているマイヤと会った
→『おはよう』
『まだ眠い?』
『服はだけてるよ』
「おはよう」
「おはようレイ、ふぁ〜」
「ほら、顔洗いに行くよ」
ふらふらしてるマイヤの手を引いて水場に向かう
顔を洗って、スモモの顔も洗って、顔を洗ったマイヤに布を渡す
顔を拭いて、片付けて、食堂に向かうと
「うわ、凄いのがある」
「うわぁ」
『凄い量だな』
→『豪華だな』
「豪華だな」
「皆おはよう」
シルクさんが店主と一緒に料理を運んできた
「まだ追加あるの!?」
スモモが驚く
「お祝いだから一杯食べなきゃ!」
「シルクから聞いたよ、遠慮なく食べな!」
椅子に座らされる
シルクさんも座って、マイヤとスモモも座る
「それじゃあ、シルフの迷路踏破を記念して、かんぱーい!!」
→『かんぱーい!』
『か、かんぱーい』
「かんぱーい!」
4人で並べられた食事を食べていく
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なんとか食べ切ると、スモモとマイヤはふらつきながら部屋に戻っていった
スモモはお腹が凄く膨らんでいた、かなり無理したのだろう
「しっかり食べ切って、皆若いなぁ」
シルクさんが笑う
貴女も若いでしょ……
「んっ? レイくんは休まないの」
「腹ごなしに散歩してきます」
このまま横になったりしたら吐きそうだ
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街中を歩き回った、夕方になってきたから、宿屋に戻る
部屋に戻ると、スモモがまだ倒れていた
お腹はまだ大きい
「夕食食べれそうか?」
「むり、もう何もはいらない……」
そっとしておこう
一応マイヤの部屋も訪ねたが
「全然お腹減らないの……」
「だろうな……」
マイヤもかなりキツそうだ
自分は歩き回ったから、軽くなら食べれそうだ
シルクさんに言って、軽く夕食を済ませて部屋に戻った
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夜
外は暗くなっている
今までは、慣れない異世界への不信感から夜は外に出なかったが
今の勇気なら夜も外に出れそうだ
少し出かけることにしよう
「スモモも来る?」
「むり」
スモモは臨月の妊婦の様なお腹を擦っている
苦しそうだ……明日には戻ってるのだろうか?
そっとしておこう
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夜の街は昼と違って、静かだった
たまに酔ってる人とか見かけるが、昼の街よりは人は少ない
「?」
ギルドの前を通ると、ギルドに明かりが点いてるのが見えた
「まだ誰か居るのか?」
夜も大分遅いのに……
ギルドに入ってみる
ギルドの中は暗い、ランプの光が少しある程度だ
この光が外に漏れてたのか
んっ?
「…………」
受付にアヤメさんが居た、黙々と書類を書いている
『…………』
→『アヤメさん』
「アヤメさん」
「ひゃ!? あっ、レイくん……どうしたんですか? こんな遅くに」
「明かりが見えて気になって」
「あぁ、外まで漏れてました?」
「それで、ここで何を?」
「書類を纏めてたんですよ、今日は私が当番なので 」
→『当番?』
『残業?』
「当番?」
「冒険者の人は深夜に戻る事もありますから、誰かが受付に居ないと処理できないでしょ? だから交代で残ってるんです」
「大変ですね、そのまま次の日も仕事なんですか?」
「流石にお休みですよ」
アヤメさんが苦笑する
「レイくん、時間は大丈夫ですか? 1人ですし話し相手が欲しかったんですよ」
アヤメさんが誘ってくる
彼女と暫く過ごそうか?
→『過ごす』
『やめとく』
「わかりました」
「ありがとうございます! あっ、お茶飲みます?」
アヤメさんが紅茶を淹れてくれた
「今は何の書類を書いてるんです?」
「明後日クエストボードに貼る依頼書ですよ」
あれ受付の人が書いてたのか……
「そうだ、レイくんこのクエスト受けます?」
アヤメさんが1枚の依頼書を見せてくる
報酬が普通の依頼よりも高額だ
→『どうしたんですこれ?』
『いいんですか?』
「どうしたんですこれ?」
「通常よりも少し危険度が高いクエストです。でも、レイくんなら対処できると思います」
アヤメさんからの信頼を感じる
彼女との絆が深まるのを感じる
これからたまに、アヤメさんから割の良い仕事を紹介してもらえそうだ
「受けます……んっ? 夜?」
「はい、夜の街中での依頼です……墓場でスケルトンが現れたそうです」
スケルトン……
「わかりました、今から行って……」
「それは止めますよ? 準備して明日以降に受けて下さいね?」
「はい」
その後もアヤメさんと雑談してから別れた
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5月3日
「復活!」
朝、スモモが復活した
お腹もスッキリだ
それじゃあ、早速朝食を食べてギルドに行こうと思ったが……
「あっ、アヤメさん今日休みか」
昨日言ってたしな
それなら例のクエストは明日からじゃないと受けれないか
それならどうするか……
「レイ、魔法覚えたいとか言ってなかった?」
「それだ」
モーリンさんに会いに行こう
「良いよ、今からやる?」
ギルドに行くとモーリンさんが居た
魔法の講習をお願いしたら、引き受けてくれた
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「うん、レイは魔力の使い方はある程度はわかってるね、魔物使いの力を使う時に魔力を使ってるからかな? それなら、少し応用すれば初級の魔法は使えるかも……流石に全部は危ないから、2つくらいに絞るけど……どの属性を覚えたい?」
自分はスモモを見てから
「火と水でお願いします」
「了解」
「あっ、わたしが使えない属性か」
やっぱり戦闘では様々な属性を使えた方が良いからね
モーリンさんからしっかりと魔法を教わる
ついでに魔法の危険性も教えてくれた
火の初級魔法『フレイヤ』と水の初級魔法『アクイア』を覚えた
かなり魔力を消耗した
「今日はここまでにしようか、次はまた2つの属性魔法を覚えるのと、魔力の調整を教えてあげる」
「ありがとうございました!」
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夜
スモモは留守番するって事で、自分1人での散歩だ
「あっ、レイくん」
「アヤメさん」
私服姿のアヤメさんと会った
「散歩?」
「はい、そちらは?」
「少し飲みに行こうと思ってね……レイくんも良ければ一緒に来る?」
どうしようか
→『お願いします』
『遠慮します』
「お願いします」
「じゃあ行きましょう!」
アヤメさんに手を引かれる
そして酒場に辿り着いた
「ここ、色んな料理とお酒があってオススメなんですよ!」
アヤメさんのテンションが高い
店に入って、カウンターに座る
酒場だが、静かだ……ガハハと騒いで飲んでる人は居ない
「私はエールを、レイくんは何を飲む?」
『水で』
『ジュースあります?』
→『彼女と同じ物を』
「彼女と同じ物を」
「へぇ、レイくん飲めるんだ」
アヤメさんは楽しそうだ
運ばれたエールをそれぞれ持つ
「乾杯!」
「乾杯」
運ばれたエールを飲む…………苦い
場の雰囲気に合わせたが、背伸びしすぎたな、次は水かジュースにしよう
アヤメさんと暫く飲む
「りゃかりゃ〜わたしゅは〜」
『飲み過ぎ』
→『水飲んで』
「水飲んで」
「や〜りゃ〜」
完全に出来上がっている……
「それ本当か?」
「本当だ、俺も見た」
近くの席から話し声が聞こえる
「本当に何も無かったのか?」
「ああ、人も食料も建物も、村が完全に無くなってたんだ……最初から村なんて無かったみたいにな」
「恐ろしいな……そこには俺も行ったことあるんだけど、その時は普通に村があったぞ」
村が無くなる?
どういうことだ?
「レイきゅ〜ん? きいてましゅか〜?」
「帰りましょう、マスター、会計お願いします」
代金を支払って、酒場に出る
「さて……アヤメさんの家どこだ?」
「あははははは!」
この酔っ払いに聞くのは無理そうだ
仕方ない
「アヤメさん、行きますよ」
「おっひめしゃま〜!」
アヤメさんを抱えて、宿屋に向かう
宿屋に着くと、シルクさんに見つかる
「あれ? アヤメお持ち帰り?」
「違います」
シルクさんに事情を話す
「あらら、生憎今日は他の部屋空いてなくて……」
「……食堂は使えますか?」
「料理は出せないけど?」
「椅子だけ使わせてもらえれば、取り敢えずアヤメさんを寝かせてきます」
「ああ、なるほどね、布団運んどくよ」
「ありがとうございます」
自室にアヤメさんを運び、スモモに説明して、アヤメさんをベッドに寝かせる
アヤメさんは完全に寝てる
「じゃあ自分は食堂で寝るから、任せた」
「任された」
食堂に行くと、シルクさんが布団を持って待っててくれた
「はい布団、アヤメがあそこまで酔うなんて、よっぽど楽しかったんだね」
「みたいですね」
「それで? どうなの? 胸くらい揉んだ?」
→『怒りますよ?』
『どう思う?』
『凄く柔らかったです』
「怒りますよ?」
「あら怖い」
お休みと挨拶して食堂の椅子を並べて、簡易的なベッドを作って横になった
……痛い
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5月4日
朝、アヤメさんが凄く謝ってきた
「本当にご迷惑をかけて……」
「大丈夫ですから、二日酔いとかしてません?」
「それは大丈夫です……」
「ほら、2人とも朝食食べて、アヤメは急がないと遅刻するよ」
「あっ、うん、急がないと!」
アヤメさんはサンドイッチを2つ手に取ると
「じゃあレイくん、また後で! 本当にごめんね! それとありがとう!」
そう言って走って宿屋を出て行った
自分もご飯を食べて、少し寝直そう……




