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シルフの迷路のボス

 ボス部屋の前に辿り着く


 早速挑もうと、自分が扉に手をかける

 すると


「ちょっと待って、ボスに挑む前に最終確認」


 シルクさんがそう言って自分の肩を掴んだ


「装備に不備がないか確認して、次に仲間内で情報の共有」


 →『情報の共有?』

『装備、問題なし!』


「情報の共有?」


 ずっと一緒に居たのだから、情報は皆同じ事を知ってる筈


「主に、レイくんの魔物使いとしての情報が私は必要だと思うよ」

「自分の?」

「今、レイくんの何匹の魔物と契約してる? 契約してる魔物で何ができる? 何匹まで召喚できる? そこら辺を詳しく教えてもらっていいかな?」


 自分は近くに落ちてた石を拾い、地面に書きながら説明する


 現在契約してる魔物は

 スライム、ゴブリン、ウルフ、オーク、ドラゴンフライの5人


 スライムは主に物理攻撃を受け止めたり、相手を滑らせたり出来る

 水があればもう少し大きくなって、戦えたり出来るみたい


 ゴブリンは棍棒を使った近接戦闘と弓矢を使った中距離での戦闘が出来る


 ウルフは鼻を使った周囲の警戒、戦闘は素早く動いて噛み付いたり、仲間を乗せてフォローしたり出来る


 オークは力が強いから、重い物を動かしたり、強烈な一撃を放てる……なかなか当たらないけどね


 ドラゴンフライは空中をウルフより素早く動ける

 しかし、攻撃が突進しか無いから、この子もフォローがメインの活躍になりそう


 そして同時召喚は

 2体までは戦闘中でも問題なく召喚出来る

 3体同時はまだキツイから、いざという時の切り札って事で



「こんな感じ」

「なるほどね、だったらこうしましょう」


 シルクさんの提案


 ダンジョンのボスが複数の魔物だった場合

 自分とシルクさんが前衛、マイヤとスモモは後衛

 マイヤは主にスモモの護衛、スモモはマイヤに守られながら、高火力の魔法を撃ちまくる

 状況によって、自分の召喚した魔物で戦況を有利にしていく


 ダンジョンボスが強力な魔物1体なら、シルクさんとマイヤが前衛、自分がスモモと後衛、シルクさん達の様子を見ながら、スモモの魔法と、自分の魔物で援護をしていく


「その時の状況で対応すればよくない?」


 スモモが言うが


「こういうのはちゃんと決めとかないと、最悪死ぬからね?」


『シルクさんの言う通り』

『スモモの意見もわかる』

 →『マイヤはどう思う?』


「マイヤはどう思う?」

「ボク? う〜ん、シルクさんの言う通りかな? 決めといたら不意打ちされても対応できるよね?」

「そういうわけだ、スモモ合わせてくれ」

「わかったよ」


 その後、装備を見直す

 自分の方は特に問題は無かった

 んっ?


 →『スモモ、泥ついてる』

『シルクさん、怪我してる』

『マイヤ、どうした?』


「スモモ、泥ついてる」

「えっ? どこ?」

「背中からお尻に点々と」


 自分は布を取り出して、左手にスモモを乗せて、背中を拭く

 泥はとれた


「ありがとうレイ」


 スモモは綺麗になって嬉しそうだ


 ーーーーーーーー


 シルクさんと一緒に扉に手を掛けて、突入する


 ボス部屋を見渡して、状況を確認する

 魔物は……んっ? 


 →『いない?』

『どこに?』


「いない?」


 そんな事ってある?


「…………」


 シルクさんが前後左右、上と視線を動かす


「レイくん、ウルフとドラゴンフライで周囲を警戒できる?」

「できます」


 ウルフとドラゴンフライを召喚して、周囲を調べる


「もう倒されてて、まだ復活してないとか?」


 スモモが言う


「だったら扉は開かない筈よ」


 シルクさんが警戒しながら答える


「…………」


「マイヤ?」


 マイヤが自分の左手を掴む

 震えている


 →『どうした?』

『怖いのか?』


「どうした?」

「居る……何か居る!!」


 マイヤが1箇所を見ている

 視線の先を見るが、そこには銅像しか無い


「グルルルルル!!」

「シャアアア!!」


 ウルフとドラゴンフライが銅像に向かって威嚇する


「なるほどね、あれが今回のダンジョンボスね!」


 シルクさんが構える


 ゴゴゴゴゴ!


 銅像が動き出した


「うひゃ!?」

「ひっ!!」


 スモモが驚いて、自分の左肩に乗る

 マイヤが自分にしがみつく


『落ち着け』

 →『2人は下がって』

『戦えそう?』


「2人は下がって」

「だ、大丈夫! びっくりしただけだから!」

「ボクも、が、頑張れる!!」


 2人が構える


「私とレイで戦いましょう、スモモちゃんは隙を見て魔法をお願い、マイヤちゃんはスモモちゃんを守って」


 それは複数の魔物用の作戦だったはず……

 いや、マイヤが震えてるから、前衛は難しいって判断したんだな


 →『あれは?』

『魔物の名前は?』 


「あれは?」

「ゴーレム、硬いし力強いけど、動きは鈍い魔物、オークとか相性良いんじゃない?」

「なら、召喚しときます」


 ドラゴンフライを戻してオークを召喚する

 ついでにウルフにマイヤの援護を頼む

 必要ならマイヤを乗せて運ぶ事も伝えておく


「準備はいい?」


 →『いこう!』

『万端!!』


「いこう!」


 ゴーレムとの戦闘が始まった


 ーーーーーーーー


 ゴーレムに近付く、先ずは大きさを確認する

 自分より大きい、2メートルくらいか?


「ゴーレムとしては小さい方ね」


『これで?』

 →『小さい?』


「小さい?」

「大きいのはこれの数倍はあるよ!」


 ゴーレムのパンチを避けながら、シルクさんが答える

 見たことあるんだろうか? 後で聞こう


 ゴーレムが自分に向かって突進してくる

 なるほど、走ってくるけど遅い、まだオークの突進の方が速い


「オーク!」

『任せろ!!』


 オークの声が頭に響く

 オークがゴーレムの突進を受け止める


『うおおおおおお!!』


 そのまま、ゴーレムを横に倒す

 ちゃんと足を引っ掛けてた


「いま!」

「ウインド!!」


 ウルフに乗ったマイヤの頭に乗ったスモモが風魔法をゴーレムに放つ


 ゴーレムの頭部が削れた

 しかし、ゴーレムはまだ動く

 オークに足払いをして起き上がる


『ふん!』


 オークは受け身を取って、ゴーレムから距離をとる


「それ!」


 シルクさんが玉を投げる

 あれなに?


 ボン!


 玉が爆発する


 →『爆弾!?』

『火薬?』


「爆弾!?」

「色々用意してたからね! ゴーレムは魔法か爆破がよく効くの!」


 やっぱり、物理はあまり効かないか……

 魔法、覚えておけばよかった

 しかし、オークが頑張ってくれている

 ゴーレムの動きを、しっかり力尽くで止めてくれる


『うおおおお! 役立たずとは言わせねええええ!!』


 誰も言ってないが……


「スモモ! 大技いけそうか?!」

「詠唱に時間かかる! シルクも一緒に!」

「わかった! レイくん! オークと一緒に時間稼ぎお願い!」


 →『任せて!』

『余裕!』

『できるだけはやく!!』


「任せて!」


 オークがゴーレムと腕を掴み合って、動きを止める

 オークとゴーレムの足下の地面が抉れていく


 自分も援護する、剣に風の型で属性付与し、斬りかかる

 ゴーレムの左脚が少し斬れる


『うおおおおお!!』


 バランスを崩したゴーレムを、オークが押し倒した

 このまま押さえていったら、数分は余裕で稼げそうだ

 オークがゴーレムの顔を何発も殴る

 オークに魔力を送りながら、その様子を眺める


 ……自分、役に立ってるんだろうか?


「準備できたよ!」

「レイくん! オークと一緒に離れて!」


 その声を聞き、ゴーレムから距離をとる

 オークも戻す、離れるのを待つよりこっちの方が早い


「いくよシルク!」

「合わせるよスモモちゃん!」


 スモモがマイヤの頭から降りて、マイヤの前で飛び魔法を放つ


「コール·ウインド!」


 コールは中級魔法だった筈


「コール·フレイヤ!」


 シルクさんは火の魔法を放つ


 2人の魔法が立ち上がるゴーレムの目の前でぶつかる

 その瞬間、巨大な爆炎が広がり、ゴーレムを包んだ

 離れた自分にも伝わる熱さ、ゴーレムは相当な火力で燃えてるんだろう


「………………!!」


 暴れるゴーレム

 通常よりも速く動いてるのは、削れて軽くなったからか、火事場の馬鹿力か


 そして、徐々に動きが鈍くなり、止まった

 崩れていくゴーレム、完全にバラバラになり、消滅した


「やった?」


 スモモが自分の方に飛んできた


『多分』

 →『消滅した』


「消滅した」

「じゃあ、勝ったんだ!」


 シルクさんとマイヤも側に来て、皆で勝利を喜んだ

 仲間との協力で、ダンジョンをクリアできた

 勇気が高まった! 勇気が『なくはない』になった


 ーーーーーーーー


 ゴーレムの素材を回収して、更に奥に行く


「魔法陣?」


 スモモが奥にあった魔法陣を見る


「それ多分転移魔法だね、1階に戻れるんだよ」

「近くの宝箱は?」


 マイヤがシルクさんに聞く


「ダンジョン攻略の報酬って感じかな? どのダンジョンでもこんな感じで宝箱があるらしいから」

「開けてみていい?」


 →『一緒に開けよう』

『任せていい?』


「一緒に開けよう」

「うん!!」


 皆で手分けして宝箱を開ける

 装備品やアイテムは話し合って分け合い

 お金は均等に4等分で分けようとしたが


「わたしお金使わないし、3人で分けたら?」

 っとスモモが言い、それならと、自分が少し多めになる形で3人で分けた

 多めにもらった分はスモモの為に使う……主に食費かな?


 ーーーーーーーーー


 ギルドに戻って、報告する


「皆おめでとう!」


 アヤメさんが祝ってくれる


「んっ? シルフの迷路を踏破してきたか?」


 リュゲイさんがやって来た


 →『皆のお蔭です』

『頑張りました!』


「皆のお蔭です」

「レイくんも頑張ってたよね〜」

「楽しかった」


 シルクさんとマイヤもそれぞれの感想を言う

 取り敢えず、シルクさんは後ろから抱き締めてくるのはやめてほしい

 当たってる


「んっ? 君は確かモーリンが担当した子か?」


 リュゲイさんがマイヤを見る


「はい、モーリンさんには色々教わりました」


 どうやら、マイヤの昇格クエストはモーリンさんが担当した様だ


「昇格したばかりなのにダンジョン踏破とは、恐れ入る、レイも早い方だが」


『そうです?』

 →『遅いとどれくらい?』


「遅いとどれくらい?」

「ん〜最長は6年くらいだったか? 僕の知る限りだけど」


 そんな風に話していたら


「そうだ、レイ、明日予定空いてるか?」


 →『予定はないです』

『空いてます』


「予定はないです」

「だったら一緒に王都に行ってみないか? 色々あるから、装備を整えたり、珍しい物が買えたりするぞ」

「王都に……どれくらいかかります?」

「馬車で丸一日だ」

「馬車…………」


 馬車って車だよな……


「レイ? どうした? 顔色悪いぞ?」


 リュゲイさんが自分の顔を覗き込む


「レイ?」


 マイヤが自分の右手を握る


 馬車……車……駄目だ、怖い


 勇気が足りない、勇気が『一歩踏み出す』くらい無いと……このトラウマは乗り越えられない


「すいません、今回は遠慮しておきます」

「そうだな、顔色も悪いし、疲れてるんだろう……僕は定期的に行ってるから、行けそうな時に声を掛けてくれたら、予定合わせるから」


 リュゲイさんからの気遣いを感じる



 ーーーーーーーーーー


 その後、解散して、4人で宿屋に戻った


「レイくん、今日はゆっくり休んで、明日の朝食は豪華なの用意するから!」

「お祝い?」

「そうお祝い! 母さんにも伝えておくから任せて!」

「やった!」


 そんな訳で、明日の朝食は皆で食べる事になった



 部屋に戻った


 スモモがベッドの枕元に座る


「あ〜疲れた! 今日はしっかり休もう!」


『そうだな』

 →『身体を洗ってからな』


「身体を洗ってからな」

「一緒に水浴びする?」

「…………」


 スモモの問題なのか妖精だからなのか、恥じらいって無いのかな?

 ……自分が意識されてないだけか?















名前 明光 零

レベル15


HP 62/198

MP 32/90


勇気 2 なくはない

知識 2 それなり

技術 1 不器用

話術 1 コミュ障

器  1 心狭い


イタズラ妖精 スモモ ランク3

ギルドの受付 アヤメ ランク1

冒険者の剣士 リュゲイ ランク2

宿屋の看板娘 シルク ランク2

盗人の少女  マイヤ ランク2

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