スマイル
外に出ると凛がちょうど着いたのか自転車を降りるところだった。「凛おはよ!」「おはよ昨日はその…」「全然大丈夫だよ!そんなことより早く行こ!」私は昨日のことなんてちっともなんとも思っていない。凛は少し元気がない。「どうしたの?いつもの凛らしくないよ?」「だって昨日あんなこと」凛はこういう時1人で抱え込む。親友である私のことだと尚更。「凛!こっちみて!ほーら」私は凛のほっぺたをむにむにして「わーらーうーのー」凛は恥ずかしながらもニコッと笑った。「そうそう凛は笑ってないと!ほら!早く行くよ!」凛と遥は学校へと自転車を漕いで行った。
「あれって、中村くんじゃない?」車通りが多い交差点その先には中村くんがいた。何かから逃げてるようなでも何か探しているように周りを見回している。「ほんとねあいつなにしてるの?学校と逆方向行ってるじゃない」凛が呆れてるように言う。
どうしたんだろう。中村くんにゲームについて聞いてみたい。どうやったらお兄ちゃんに会えるのか。どうすれば連れて帰って来れるのか。どうすれば一緒に家族で過ごせるのか。早くゲームをやりたい。信号が変わり中村くんの姿は見えなくなってしまった。
「今日は中村くん来なかったね」「そうねあのバカなにしてんのよ」心配だ。中村くんに何があったのか何を探していたのか。「あんなやつのこといいから早く帰るわよ」凛は椅子から立ち上がり遥を置いて教室を出ようとしていた。「まってよーまだノートの片付け終わってないのにー!」遥も机を片付け急いで凛の後を追った。「今日はどこか寄っていく?私行きたい店あるんだけど…」「えーっと今日はごめんちょっと外せない予定があって」凛にはごめんだけど今日はダメなの。あのゲームをしなくちゃ行けないから。「そうなの?何?予定って」ギクッ、私はこういう時嘘をつくのが苦手。すぐに顔に出てしまう。凛は鈍感だけど勘が鋭いから…。「えーっとあのー」「ん?なに?どうしたの?」私はあたふたしていると「わかったわまた学校で会えるしまた今度行きましょ」凛は何か察したかのようにわかってくれた。
「それじゃあまた月曜日」「うんまたね!」
家の前まで着き、凛と別れた。
家に入りリビングに行かずにそのまま自分の部屋に移動した。制服から着替えていよいよゲームとご対面。
「このゲーム本当にお兄ちゃんはいるのかな」ふと言葉が出た。もしいなかったらどうしよ。やるだけ無駄なんじゃないのか。そんなこと言っても意味ないやっと私は思い、ゲームの箱を手に持った。箱を開け、頑丈に梱包されている。ゲーム機本体は中村くんが持っていたようなゲームパッドは付いていなく、タブレットのゲーム画面だけだった。「え?これだけでいいの?」と私も不思議に思うぐらいコンパクトなゲーム機だ。タブレットの側面に小さい凹凸のボタンがある。これがゲーム起動ボタンみたい。
「よし。ふぅーどんな感じなのか分からないけど所詮ゲームでしょ?怖くない」と言っているけどめちゃくちゃ怖い。足もガクガク震えている。落ち着け、私、深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。「私がお兄ちゃんを助けるんだ!」側面にあるゲームボタンを押して画面の電源がついた。心地がいいメロディと共に画面が真っ白になった。
すると私の視界全体が白く染まっていく。手足の触覚、聴覚、嗅覚、全てが失っていく。怖いなにこれ。どうなっちゃうの。そう思っていくうちに気を失ってしまった。
第1章 ~完~
次回からゲームの世界へ突入していきます。
ここから遥はどうなっていくのかご期待ください