第96話火花と水滴
バストラーゼは迫り来る神を迎え撃つ為、両刃剣を振るい地面を削り振り上げる
神は武器で立ち塞がるバストラーゼに従って武器で迎えバストラーゼの斬撃を躱すと即座に剣を振り下ろし刃から氷の斬撃を放った
氷の斬撃はバストラーゼの頬を掠り顔の一部を凍らせ凍傷させる
「はあっ!!!!」
バストラーゼは次々に連続で攻撃をし始め止まらず躱すのにも精一杯の攻撃を繰り出した
両刃剣が通り過ぎたと思えばもう1本の刃が隙を与えず迫り来る
神は一度大きく後退し様子を伺おうとした瞬間、バストラーゼは姿勢を低くし一気に神に近づいた
両刃剣を振り上げるの共に宙を回転しながら攻撃を加え神は手を使って剣を受け手の平半分が切り裂かれ垂れ下がる
その時、神は再度認識した
治癒魔法が通常よりかなり遅い事に、そこらの魔術師が使う治癒魔法よりはかなり早いが以前と比べれば差は目前だった
「時間稼ぎは終わり、後ろに気をつけて?」
神が振り返ろうとすると首や腹に鎖が巻き付けられ一時的な身動きと呼吸ができなくなった
「ッ!!!」
神が生まれ変わり初めての焦り
魔法の使い方を知る脳が水魔法によって蝕まれ使い方があやふやになりそれに加えて身動きと呼吸が封じられた
「ジミー!!!」
ジェイクがそう大声を出すと神は何事かとジェイクを目で追った瞬間首に短剣を二刀刺されていた
「ぶった切っても死なないのは見てた。だがこれはどうだろうな?」
ジミーは短剣を抜き取り神が抵抗できないように腕を切り落とし魔法を最低限唱えられれないように下顎を切り裂き口内から脳へ短剣を突き刺した
神は鼻で笑いジミーは巻き添えを喰らわないようにすぐ後ろへ引く
「ライアード!!」
その名前を聞き神はその名を否定しながらも振り返った
「ボレアスバレス!」
炎魔法を手に宿らせたボレアスバレスは縛られ拘束されている神に向かって右、左、拳を顔へと振るいその度に肉や神経が焼かれ耐え難い苦痛が神を襲った
「あがぁぁあああ!!!!」
そして神が声を上げた後、目を開けると血が宙を舞っていた
一見自分の血かと思ったがそれは違う
「血の魔法……」
メイデンが放つ血魔法は神の体内の中に入り肉体を蝕み神の肌は急激に変化し青白く病的となった
「ごばっ!!!!」
神は口から大量に吐血し呼吸も乱れ力も出ない
そしてジミーが下がった先にはカストルフォスがいて拳の大砲は青白く光っていた
「もうこれ撃ったら二度は撃てないからね!!」
カストルフォスは拳の大砲から魔力の奔流を放ち奔流は神の心臓と頭全体を焼却した
焼き焦げた嫌な匂いが立ち込める中、数秒間沈黙に包まれた
神の頭は再生しそれと同時に以前のように腕や心臓を瞬く間に再生
「どうやら脳味噌をリセットしてくれたおかげで魔法を上手く使えれるようになったみたいだ」
「頭と心臓を潰せば倒せれると思うその頭に本当に感謝しかない。礼を言うよ」
「テメェ一体どうなってんだ」
策が尽き全員がどうしようかと考えを巡らせていた時、ジェイクが突如神に問いた
端から見ればただの時間稼ぎだが神はどうせこいつらは自分に勝てないと思い余裕に浸りながら答えた
「私は世界と繋がった、この自由と同化したのだ」
「つまりこの全て、世界を無くさない限り私は滅びないと言うこと」
「君達も万策尽きたろう?終わりにしようではないか………」
神が動き出そうとした時、ジェイクは目でアストレアを見た
アストレアが魔女の力を使いジェイクと脳を通して会話を開始するとジェイクはある策を出した
(俺がどれだけ奴を斬ったか数えてるか?)
(なにか策があるのかと思えば……なに?それを聞いてどうしたの?)
(俺が数えた限り20程は斬った、俺の電気が十分あいつの体内にあるはずだ。それに加えてチャカスの呪いやメイデンの血魔法がまだ身体を蝕んでる)
(そうだけど……それに電気が流れ込んでる?どういうこと?教えて?)
(奴は進化を続けてきた、だから脳がリセットされた今、あいつはもしかして思考を読んでくるかもしれねえ)
(俺が言える事は一つ、俺があいつを何度も斬る事だ。その隙を作れるように皆に伝達してくれ)
そうしてジェイクは真正面にいる神に向かって走り出した
一向にその頃、ミア、トマソン、バーニスはエディの全身から出る冷や汗を拭き治癒魔法で様子を見ていた
「エディ大丈夫だよね、きっと目を覚ますよね?」
不安がるミアにトマソンは側に寄る
「エディは強い」
「私達が出来ることをして、あとは信じて彼を待とう」
「焦りは禁物ですわ、ミアちゃんが知っているエディはそう弱くはないでしょう?」
「そうよね、エディは目を覚ますもんね……」
ミアはまだ不安が残りながらも2人がそう言うのを聞いて自分で言い聞かせ落ち着こうとしていた
そしてエディは今、悪夢を見ていた
重たい闇に押し潰され身体は眠り心だけは逃げられない
叫んでも言葉は出ず走っても走っても足がすくんで走れない
背後から追いかけてくるのは今まで殺してきた人達
逃げ続けボロボロの手が俺の足を掴んだ
血みどろの泥沼に引きずり込まれ掴まれた足元を見る
そこには生首のない父親と腹を切り裂かれた母親が今にも握れそうな腕で俺を引っ張っていた
「エディ」
そう呼ばれ俺は2人を蹴り飛ばし声のする方向へと走り出す
男の声で何度も呼ばれどれほどの時間を掛けてそこへ走ったかわからない
ただ物凄い時間が経ったことだけがわかり走っていたせいか力尽き跪いた
激しく呼吸を繰り返し顔を上げる
そこには獣のように毛が生え、まるで人狼のようなデットがおり俺に手を差し伸べ俺はデットの手を掴み引き上げてもらった
「俺はテメェの中から今すぐにでも出たい」
「でもよ、お前と俺は一緒に居すぎた」
「もうお前から離れることもできねえ」
「だから俺はこの中にいる間、考えたんだ」
「お前に俺の全てを託す。必ず"アイツ"に一泡吹かせてやれ」
デットは霧のように消えていきその瞬間俺は目を覚ました
薄暗い照明が照らすがずっと閉じていた目を開けたからだろう
次第に照明は強くなり辺りが見えるほどになった
「バーニス!エディが目を覚ました!」
そうトマソンの声でバーニスはすぐ駆けつけた
そして目の前にはミアがいた
「ミア……?ライアードの奴はどうなった?」
「やっと目を覚ました……!!」
「ライアードの奴は?」
「え?あ、うん、ライアードは今、皆んなで戦ってる。どうなってるか知らないけど……」
「わかった。傷は俺が寝てる間に治してくれたんだろ?」
「うん、アストレアとバーニスがね」
「それじゃあ俺は今からライアードの所へ向かう」
「わかった」
俺は少しの重たい体を起き上がらせ立ち上がり壁に立て掛けられている大剣を掴み背中に携えた
「エディ」
呼び掛けるバーニスに対して振り返る
「傷は完治しましたわ、わたくし達も一緒に同行しても?」
「準備は出来ているのか?」
3人は顔を見合わせ頷いた
そうして向かおうとした時、突如視界が真っ暗になった
これは………?
「バーニス!一体なにを……!」
そうしてエディは意識を失い倒れる所をトマソンが捕まえゆっくりと地面に寝かせた
「バーニス本当にやるの?」
ミアの問いにバーニスは頷く
「アストレアが言っていた竜人化、それを使わないとわたくし達は勝てませんわ」
そうしてバーニスは倒れているエディに手をかざした




