第95話ヒーローの一撃
神を地面に叩きのめしたイミシェルは空に浮かび上から神の首を締めつけ体重を掛けた
「この化け物が!」
「君は何者だ?見たことがない。それにこんな魔法を使う者は300年程前に蹂躙しこの魔法も禁じたはずだ」
「まさかだとは思うが竜人族か?」
神はイミシェルの肘を掴むと自分の胸へと引っ張りイミシェルの左腕の関節をありえない方向へと曲げた
「があぁぁあ!!!!」
イミシェルが怯んだその隙に神は反撃に出ようとしたがイミシェルは突如額を使って頭を振り下ろし神に向かって頭突きを繰り出した
「俺は正真正銘!!」
「"人間だ"!!」
頭突きを繰り出すイミシェルに神は拳を振るいイミシェルに隙ができた瞬間、神は雷魔法を使うと快晴だった空にどす黒い雨雲が出現し舞い落ちる落雷がイミシェルに直撃した
「かはッ………!!!」
神は馬乗りになっているイミシェルの顎を殴り上空へ吹き飛ばすと神は地面を蹴り上げ飛び上がりイミシェルの腹に風魔法を放った
その風は螺旋状の槍のように物体を貫きいくら身体能力強化の魔法を使っているイミシェルとはいえ、イミシェルの腹は抉られ内蔵は宙に放り出された
「頭を使えば多少は足掻けたかもな」
地面に舞い降りた神はそのまま抉られたイミシェルの腹に手を突っ込み体内に残った肉と内蔵を鷲掴みにして風魔法を地面へ放つと地面は爆発したように散乱し周囲の豪邸は消し飛んだ
そしてその爆風の勢いでアストレアがいるあの城の頂上へと向かっていった
一方、アストレア達は自爆をする魔法を使い空から落ちて倒れている意識不明のチャカスの状態を見ていた
アストレアは目を瞑り動かないチャカスに治癒魔法を与え続けるが一向に傷が治る事はなかった
そして時は訪れた
チャカスの体は塵のようにボロボロと崩れ始める
「ああ……ダメダメ!しっかりして!」
「アストレア、もうやめろ」
ジェイクはアストレアに言いアストレアはチャカスから離れ最後まで見届けることに決めた
一緒にいた時間は短いがそれでも生死の橋を渡り共に歩んできた仲間であった
そしてチャカスが完全に消えた後、バストラーゼは長年付き添っていたチャカスが身に付けていたピアスを手に取り大事にしまった
「予想外の事だけど今はイミシェルが時間を稼いでる、その間に体制を立て直しましょ」
全員が返事をしバストラーゼは目に見えない所に土魔法の鉄槍を仕込みアストレアは魔女の力を使って透明魔法で隠れているカストルフォス、ジミー、ボレアスバレスに話しかけていた
(カストルフォス、聞こえてる?)
「うわっ!」
(きゅ、急に話しかけないでよ!それでどうしたの?)
(あなたは引き続きライアードに隙ができるまで待機しておいて)
(ジミー?)
(指令をどうぞ、キャプテン)
(………カストルフォスが話してた魔法を十分発揮できるぐらいの時間を稼いで、特に隙が生まれた時に)
(わかった)
(ボレアスバレスも炎魔法を私達に影響が出ない程度に抑えてジミーと同じように戦って)
(了解)
瓦礫の下に隠れている3人に作戦をもう一度確認しあとは戦っているイミシェルに連絡をした
(イミシェル、聞こえてる?念話で話しかけてるんだけど……聞こえてるよね?)
(戻ってくるぞ!!!)
イミシェルの大声にアストレアは驚き咄嗟に神が吹き飛ばされていった方向へ顔を向けた
「バストラーゼ!ジェイク!」
アストレアが連絡をした時には既に遅く床は砕け少しの土埃が立ちその中には瀕死のイミシェルと立ち尽くす神がいた
「バストラーゼ!隙ィ作るから俺のサポートしろ!!」
「任せろ!」
ジェイクは剣を振り下ろすと神は身体を傾けて避けジェイクは剣が地面に着きそうになるのと同時に膝を着き体勢を変えて横にいる神に向かって剣を振るった
今までで何度もライアードを斬ってきたこの剣は姿を変えた今の神にさえも通用する
剣先が神の胸を切りつけ本来なら小型ナイフ程度の切り傷のはずがバックリとまるで猛獣に噛みつかれたような深刻な傷となった
だが神にとって傷は無傷と同じ、また瞬時に回復し膝を着いてすぐには動けないジェイクを殺そうと水魔法を放とうとした
しかし治癒魔法は発動しなかった
チャカス!貴様……!!
チャカスが放った水魔法は神の傷を悪化させ更に魔力量をも蝕み身体を喰らう
神は堕落しかけていた
治癒ができないことに驚き反応が遅れた神はまだ避けれる状態ではないだろうジェイクに向かって何でもいいから攻撃を仕掛けようと動き出した
ザグッザグッ!!!!!!
その時にバストラーゼが事前に仕込んだ鉄槍が神に突き刺さりその後に唱えた地面にでてくる土魔法が棘のように形を変え腰の高さを越える程の棘は神の下半身を深く刺し動けなくした
そしてジェイクが振るった剣が神の首を斬った
「どうせこれで終わりじゃねえんだろ、化け物」
「化け物?神と呼びたまえ」
神は首の断面から触手を生やし瞬く間に治癒、胸の傷も同様時間を少しの得て回復した
しかし土魔法の棘は抜けず神が選んだ手段はチャカスと同じ、自分を犠牲にして放つ魔法だった
治癒魔法で臓器の形状を変え生んだ空間に魔法が集中できるように小さな両手を生やし魔法を唱える
「天空を駆ける風よ、輪となり我を守りて全てを薙ぎ払え」
「風輪断」
目の前にいたジェイクを風魔法で吹き飛ばしジェイクが瞬時に神と間合いを詰めれるようアストレアが魔女の力を使い神を抑え込みながら魔法を唱え接近する
「ジェイク!大丈夫!?」
「なんとかな!」
ジェイクは崖ギリギリにまで吹き飛ばされていて柱を掴んで耐えるのに精一杯だった
そして神が放った風魔法は次第に竜巻のように激しい風のなりアストレアは集中ができず魔女の力が外れてしまい神は土魔法を解いて動き出す
「ジェイク!!」
アストレアが呼び掛ける先にいるジェイクは暴風で柱がボロボロになっており今にも崩れて空へ放り出されそうになっていた
「アイツはまだ俺の剣が通じる!だからあともう少し待っとけ!!」
ジェイクは柱が崩れる瞬間鉄魔法を唱える
「鉄の掟!集結せよ!」
ジェイクが手を伸ばした先に手から伸びた鎖が地面に突き刺さりジェイクを吹き飛ばされないようにしっかりと固定されジェイクは鎖を引っ張り地面に着地した
「服がはだけちまう……!!!」
そうして最後にジェイクが体勢を立て直す為の時間稼ぎ要員としてバストラーゼが神の前に立ち塞がり激しい暴風に屈することなくバストラーゼは手元に土魔法の両刃剣を作り出した
「参れ!ライアード!」
「相変わらず口減らずの女だ」
神は腕を振るのと同時に氷の剣を作り出し両刃剣を構えて受けて立つバストラーゼに向かって走り出した




