第90話惜別
イミシェルはコルテーチョを肩に担ぎゆっくりと地面に向かって降りコルテーチョを地面へ降ろした
「なんでェだ……?どうして、俺を生かす……?」
「悪いやつじゃないから。ただそれだけ」
「意味わかんねェな……お前………」
コルテーチョの顔はイミシェルの拳によって瞼や唇、額が酷く腫れていて時々咳き込めば少量の血を吐いていた
「医療班の所まで飛んでいってやるから、まあいっても助けるのは命だけでしっかり罪は償ってもらうからな」
「アホがよォ………」
コルテーチョは意識が遠退き始めたイミシェルは持つ体勢を変え再び空へコルテーチョを助ける為に医療班がいる所へ向かった
一向その頃、アストレア達はジェイクの治療を終わらせた後、王城を下りエディが戦っていたであろう跡地に辿り着いた
「一体何処行っちゃったんだろう……」
ミアは周りを見渡しわかるのは壁が壊されているのとブーツの4分の1程度が埋まる程の池のような魔物の血
そして所々壁や柱に大きな切り傷が残っていて大剣が振り回されていたであろう痕跡が見つかった
「アストレアちゃん、なにかわかった?」
ミアは顎に手を当てて考えているアストレアに聞きアストレアはミアの方へ向いた
「エディは魔力がない。それなのにここにはライアード以外の魔力がある」
「それ、俺の勘違いかと思ったら合ってたんだな」
「わたくしもそれ思いましたわ、それにこの魔力……なんだか不気味で……」
「ねえ、それ一体どんな感じなの?」
ミアが顔をしかめているバーニスに聞くと隣にいたアストレアが答えてくれた
「塩と砂糖が混ざった謎の調味料を口いっぱい入れた時の味……って言ったらわかりやすい?」
「えー、なにそれキモ」
「一旦話しは終わりだ、とりあえずその魔力の跡を追うぞ」
「そうね、じゃあ私先頭行くわ」
そうして4人は破壊され大穴が空いている壁を通り抜けた
そして現在エディは王城の頂上付近、城から大きく広く高い空と海を見渡せるほどの絶景のここは辺りが広く夜の風が終始激しく流れる程の高さと寒さ
ここまでライアードを追い詰めた竜人化をしたエディは追い詰めた全身に掠り傷がついたライアードを前にして突如として変身が解け跪いていた
「がはっ!がはっ!!」
口から血を吐きライアードは手から風の剣を作り出した
身動きが……取れねえ!!!
その風の剣はほぼ透明で風で生じる歪みぐらいしか形を認識できない
「この500年の間で5本指に入る程良い戦いだった。お前は人間だが強くそして奥の手を隠し全て発揮して私と戦った」
「もう十分だろう?……そうだ、最後に君が一番聞きたいことについて答えてあげよう」
荒々しく咳をして痛む肋の痛みに耐えながらゆっくりと立ち上がった
「なぜ、俺の村を襲った……」
「私は竜人族を研究したくてね、襲った理由はそれで村には噂を聞いて来たのさ」
ミアの妹や見せしめとしての残酷な光景が濃く頭に滲み出る
「研究……?それだけの理由でか?小さい女の子をあんな……惨い事をしたのはなんでだよ?」
「私は君の両親、いや、父親にしか手を掛けていない。強姦されようが私の知ったことじゃない」
「テメェ!!一体なんなんだよ!俺がなにかしたってのかよ!!」
「"あの時"できなかった竜人族の研究をしたかっただけ、私はただ知識を得たかった」
「ただ黙ってミミズのように地を這いつくばっておけばいいものを、どうして鷹に歯向かう?どうして上を向く?そこには現実しかない」
「君がもし王になったとして魔術師を全員殺害するのかい?」
「いいや、他のやつらと同じ扱いにするだけさ。お前らを除いてな」
「つくづく面白くない答えだ」
地面に転がって足元にある大剣を掴みライアードに向かって突き出した
「わざわざ回復する時間くれるなんて呑気な奴だな」
「大丈夫さ、ただ死ぬ時間が少し長くなっただけ。その時間で君の仲間が助けに来たとしても私一人でも十分に勝てる」
「そうやって余裕かましてるうち大口叩いとけ」
ライアードは右へと走り出すと指を自分の口の中に入れなにか吐こうと喉奥をかき回した
声を出しながら口からなにか吐くとライアードの手の中には物凄いシワシワで灰色の人参みたいな人形の物を5体取り出した
「これは……"実験1"か」
怪しげな単語を言いライアードは俺に向かって得たいの知れない"それ"を投げつけてきた
それは俺に近づくと共に形を変形させブクブクと大きく膨れ上がり成人を大きく越える巨体を持つ生物となった
その見た目は人間のようだが両手に剣が生えて歯が剥き出しの個体や拳が周りの奴らの人一倍大きい個体もおりそれは想像上の化け物だった
「この城の下で見せたあのなり損ないの魔物とは違う。この魔物達は私がこの目で貴重な素材を慎重に見極め育て上げた人間さ」
「人並み以上の剣術、魔術、武術、頭脳、技術、それぞれ全てを兼ね備えた選別された5体」
「あらゆる攻撃に耐性がありそこらの魔術師や人間では太刀打ちできない……」
ライアードは興奮しているのか深呼吸をすると声を荒々しくあげ怒るように言った
「お前は私にとってとてつもなく良い研究材料だ!その力!その進化の先にある全てを!」
「私に見せてくれ!!」
俺は両手に剣が生え周りの奴らより先に襲いにかかってきた魔物に向けて大剣を引き腰を捻って大きく一歩を踏み出し大剣を薙ぎ払うと左手でガード、右手で剣を振り下ろす魔物の胴体をガードしている剣ごと斬り魔物の上半身は城の外へと吹き飛ばされていった
「鋼鉄を軽く引きちぎる程の強度を持つ肉体が……こうも簡単に斬られるだなんて………」
「私は更に君について興味が湧いてきたよ……」
魔法を使う魔物は自分の腕から杖を分裂させその杖を手に持ち俺に向ける
「~~~~~、~~~、~~~~」
「~~~~」
生前逃げ出そうと魔法を唱える口を壊したせいなのか魔物はとても小さな声で魔法を唱え並みの魔術師を遥かに凌駕する程の強力な魔法を打ち放った
その魔法で出来た雷の塊はビリビリと紫の電撃を走らせながら自分の方へと迫ってくる
躱すのは無理だ!!
紫に光る電撃を剣で受け止め電撃は剣を通じて俺の肉体にダメージを与える
神経が焼かれる痛みが襲いかかり物凄い苦痛が長い時間と感じる程続いた
「あぁぁあああ!!!!!」
体からは湯気が出始め所々皮膚が赤く火傷をし始めた
そしてようやくあの電撃を打ち落とすと俺は前へと走り出し魔法の魔物に向かって大剣を振り下ろすが手の大きい武術の魔物が俺の大剣を掴み俺を大剣ごと吹き飛ばした
ズドッ!!!!
柱にぶつかり背中を強打してしまうと衝撃と痛みで動けずそれに加えて例の竜人化での体力の大幅な消費
だがエディはライアードを前にして倒されるわけにはいかなかった
この痛みと絶望を終わらせる敵を目の前にして死ぬわけにはいかなかった
大剣を掴み片膝を着くのと同時に地面を斬りつけながら大剣を振り上げ拳を振り下ろそうとしていた武術の魔物の首を斬り落とした
「俺に殺されるのをそこで待っとけ……!」
「ライアード………!!!」
俺は立ち上がり大剣を構え深呼吸をして心を落ち着かせた




