第86話光の魔法
ミア、アストレア、イミシェル、バーニスは王城の中庭へ辿り着いた
そこには月の光が差し込み空いている窓からは冷たく肌触りが心地いい風が流れてくる庭園
ここにはベンチや噴水、紅茶や軽食をするテーブルなどが置かれており魔法で草木が満ちていてまるでこの広い一室が一つの森のようだった
「ごめん!体力ないからここぐらいしか上がれなかった!」
荒々しい呼吸をしているイミシェルはバルコニーから開いている窓へゆっくりと着地をしミアとアストレアを床に降ろすと膝を着いて休憩し始めた
ミアはバルコニーから下を見てまだ激しく戦闘を繰り広げているエディを見て助けに行こうか考え始めた
「どうしよう……」
「一度降りてみるか?エディ合わせた5対1ならいくら十騎士だろうとも勝算はあると思う」
「ダメよ、もし私達が下手に行動すればエディの足手まといになる可能性だってある」
「エディ除いた私達が全滅する可能性だってあるのだから今は慎重に選択するべきですわ」
「じゃあエディは1人でアイツを相手しなきゃいけないのかよ?俺達は黙って見とけって?」
「そうよ、私達が今する事はライアード以外の十騎士撃破かあの魔物達の殲滅」
「それでもアストレア!助けに行こうよ!もし負けちゃったら………」
「ミア、感情で動けば身を滅ぼし兼ねませんわよ」
「まあわたくしはアストレアちゃんになにか策があるのならよろしいですけど?」
その言葉を聞いたアストレアは戸惑いながらも目を瞑って集中し近くに魔術師がいないかどうか魔力を探したが炎天下の砂漠に水溜まりがないようにライアードとそこにいる無数の魔物を除けばここには誰もいなかった
安堵の表情をしたアストレアは自然と顔が和らぎミアの顔を見た
「………そうね、運良くここに人はいないみたいだし私を含めた4人を透明魔法で姿を消してライアードに奇襲を仕掛けましょ」
「近距離戦だとミアが最適、だから……いける?」
「任せて!」
「そうとなったらこの残った魔石を使って魔法陣を描くから中に入っといて、3分で終わるからあとはイミシェルの飛行魔術で降りましょ」
「あの布切れ無しでもいけるのか?」
「羽織る物がない代わりに効果は物凄く弱くなってしまいますから5分程度で効果は消えると思っておいてくださいまし」
「わかった」
「おう」
アストレアは腰に下げているバックから白い魔石を取り出しバーニスとイミシェル、ミアと自分、それぞれ4人が入れるサイズの魔方陣を描き始めた
「よおォ、お嬢ちゃん達」
窓付近に立っている4人の前にはテーブルに腰掛け、置かれていたクッキーをかじって食べているライアードの親衛隊の1人コルテーチョがいた
そしてバーニス、アストレア、イミシェル、ミア、この4人が思った事は………
誰?
コルテーチョは学院でもメイデンやジェイクに比べれば本当に一般学院生、同期の友達じゃないと分からないレベルの知名度だった
「アンタ、十騎士じゃないわよね?誰よ」
「うわひっでェー!!俺一様あのライアードの親衛隊なんだけどな………」
この男が言っている事はただの嘘、見栄を張ってるだけ
……でももし、埋もれていた天才だったら?ダメダメ!また私の悪い癖が出てる!
もしそうならあの時の最前線に出してたはずよ
「わたくし達の事は十騎士達から聞いてるでしょう?早く名乗りなさい」
「はいはい言いますよー」
「俺はコルテーチョ、招待されて加入した無名の魔術師だよ」
男がそう言う中、4人は小言で話し始めた
「アストレア、知ってる?」
「知らないからアイツに聞いたのよ」
「じゃあイミシェルは?」
「俺も知らね」
「わたくしもどなたか存じ上げませんわ」
「じゃあなんでアストレアの魔力探知で分からなかったの?今さっきまでいなかっただけ?」
「王城全体を探したのよ?あり得ない」
「それじゃあ見つけ出せなかった原因って……?」
「あの方がアストレアの想像する魔力量を遥かに越えている。本当にライアードの親衛隊ならそうかもしれませんわね」
「さっきからボソボソなに言ってんだよ、陰口か?酷いもんだぜェ」
「まあそれにしてもよく俺がここでサボって1人なのよくわかったなー?お前らァ」
「サボる?あなた十騎士なんでしょ、十騎士の未来がどうなってもいいの?」
「別にィ?正直十騎士なんか差別主義の騎士団だろォ?俺が好き好んで入ったわけじゃないんだぜ」
「じゃあ私達に敵対する意味はないでしょ、さっさと消えて」
「そういうわけにも行かねえよ、だって手柄なにもなかったら怒られて殺されちまうんだもん」
その言葉を聞いてバーニス、アストレアとミア、イミシェルが戦闘体勢に入るとそれと同時にコルテーチョは左腕を突き出し右腕を引いた
その姿はまるで弓を引いているかのようだった
「万象を照らす光の矢、悪の者を射れ」
「光聖矢」
詠唱と共に弓矢が精製されコルテーチョは指先を離すと光の光線を放射し物凄いスピードで迫る光の攻撃をバーニスとアストレアはモロに受けてしまった
「がっ!!!!」
「ごはっ!!!!」
バーニスとアストレアは光の光線と共に吹き飛んでいき一瞬で姿を消してしまった
「アストレア!?」
「バーニスちゃん!?」
二人からすれば瞬きもしていないのにアストレアとバーニスは消え去り後ろから衝突した音だけが聞こえる
そんな状況の中、イミシェルは困惑してミアはコルテーチョに問う
「あなた一体なにしたの!?」
「見えなかったろ?スピード、それが俺の取り柄さ、そしてお前らはこの取り柄に殺される」
「さっさとテメェら殺して手柄を取れりゃあとは動かなくて済むしな」
「イミシェル!!」
ミアはイミシェルと共に動き出しイミシェルは物陰に隠れて姿を消しミアは剣を引き抜いて頭上から剣を振り下ろしコルテーチョに斬りかかる
コルテーチョは素早く躱すとミアはすぐ下から剣を突き上げコルテーチョの顔目掛けて剣を突き出した
「遅ェなー」
コルテーチョが避けようと頭を動かした瞬間ミアは突くと見せかけコルテーチョの背後を回りコルテーチョの背中に斬りかかった
コルテーチョは光の手甲剣を作り頭を動かし背後を見て攻撃を受け止めようと背後に手を回し剣と剣がぶつかり合った
ガギン!!!!
「次はどう仕掛ける?こうして右腕を封じた時にあの男の子が仕掛けてくるのか?」
隙を狙っていたイミシェルはギクッと体が動いたがミアは受け止めた時が本当の狙いで剣を振った勢いを殺さず流れるように再度コルテーチョの目の前に回り込み剣を振るった
バスッ!!!!!
後ろを見て攻撃に集中していたコルテーチョは回り込んだ攻撃には対応できず胸から腹へと深傷を負ってしまった
「女の子なのにスゲェ強いな」
「フェイントしたり工夫したり、かなり剣士の事舐めてたが意外と強いもんなんだな」
「私が特別強いだけよ」
「あの女の子もいずれ意識を取り戻すだろうしここは俺の自慢の魔力量で勝負しますかねェ………」
「耀ける天の律に従い、我が手に集え、清き裁きの剣よ。闇を断ち、罪を償え」
「聖剣」
コルテーチョは一切の躊躇もなくここで全力を出す為に光魔法最強の魔法を発動させた




