第83話魔国五百年決戦その2
「これで本当にバレないのか?」
「ええ、多分ね」
馬を出揃え隠密作戦を開始したエルドリア軍はアストレアとバーニスが独自に作り出した結界魔術の上で戦える者を集めそれを覆う程の超大規模な結界魔術の上で皆は馬に乗り待機していた
そもそも結界魔法とは遠距離からの魔法や武器の攻撃に対しての守りに使ったり結界を工夫すれば他の魔法を組み合わせ範囲攻撃も出来る優れもの
そしてこの2人が編み出した物は透明魔術と呼ばれる魔女が扱う魔術を結界に闇魔術で扱う移したものでこの結界に入り2人が任意で発動させれば範囲内に入っている者は透明になり魔力探知でも発見できない程姿を消す魔法
「思ったんだけどこの魔法に掛かった者同士ってお互い認識出来るのかよ」
そう小声で独り言を言っていると後ろからニョッと擬音を立てそうなぐらい不気味に近づいてきたアストレアが説明してくれた
「私がこの結界内を通して人の手にフード付きのマントを渡すからそれを着て、そしたら複雑な魔法を使わなくてもその布を通して着ている同士だけが見えるようになるの」
「結界魔法って便利なもんだな、こんな使い方出来るんだったらエレーミア神聖国全土を覆って炎の魔法で全員焼き殺したりしたらいいのによ」
「そこまでの規模を作るってなったら数十年掛けないと」
「この広さの結界なら1日で出来ちまったんだろ?なんだか意味わかんねえな」
「私、アンタが羨ましいわ」
「ん?なんで」
「裏切り者が出ちゃった今、他にもいるって事でしょ?皆んなピリピリしてるしそんな中で呑気に私の説明聞いてるからさ」
「なんかうぜーおまえ」
「まあ楽にしとけって、こん中じゃ俺が一番強いんだぜ?」
「はいはい」
そうしてアストレアとバーニスの準備が整い2人が同時に詠唱して結界魔法を発動させると説明通り手元に布が召喚された
『では皆さん、その布を着てください』
魔法を使って上からスピーカーのような感じで話しかけられアストレアの指示通り皆んなが布を着ると全員着たのを確認したのか地面に描かれている魔法陣が光りだしその光は俺達を包んだ
数秒後、何事もなく光りは収まり自分の腕や脚を見るが普通にある
本当に消えてんのかよ
そう思いながらも横に連れて行っている馬に乗り出し最前線のバストラーゼを先頭に皆馬を走らせた
風を切り進み作戦ではこの作戦で終止符を打つ
それにしても戦争ってもんはもう少し時間をかけるもんなんじゃないか?いや、実際戦争初めて2年掛かってる事なんだしそうでもないか
そうして馬を走らせているとハッキリと壁外が見え始め恐ろしい事に空には数体の群れを作っているハエのような魔物がいた
無数の目玉で下を監視しており多分全員見つからないかとヒヤヒヤしていたが無事にハエの目からは逃れ進む事が出来た
どうせアイツらの事だ
あの雑魚そうなハエでも魔術師ぐらいなら簡単に殺せるように改造されているはず
それからは何事もなく壁へと辿り着いた
バストラーゼ率いる軍はバストラーゼの土魔法で壁に大きく風穴を開けて侵入する予定で俺達七新星は完全に別行動、俺達が裏門へとバレないよう移動して指定された座標に辿り着くとイミシェルが1人ずつ壁内へと運び集中している前方を利用して裏から王城を攻め7対1でライアードを倒す
「私達が馬鹿みたいに爆音立てて侵入するから多分戦力は私達の方に向く、7人はそのうちに王城に侵入してライアードを倒す」
バストラーゼ達との作戦会議で話し合いをし俺がもしもの話でバストラーゼに聞いた時だった
「もし作戦が失敗したら?」
「ライアードの戦闘力は不明だ、どれくらい強いかわからない。だから失敗する可能性もある」
「だからもし失敗したらその時は死ぬと思っておいた方がいい」
少し前の会話を思い出しながら俺達は裏へとやって行き向こう側から騒がしい音が離れているここまでハッキリと聞こえてきた
「イミシェル頼むぞ」
「任せて」
イミシェルはアストレアから軽い順に運んで行き最後の自分を壁内に全員侵入し周囲を警戒する
「いないみたいだな、住民もいないみたいだし安全に戦える」
「そうね……あ、そういえば言い忘れてたけど透明化は誰か1人でも装備を外したら魔法が解けるから私達に残されてる時間はあと5分くらい」
「それ先に言えよ」
アストレアとバーニスはイミシェルに掴まって空を飛んで行きメイデンとジミーとミアは俺と一緒に王城まで走って向かう
その間向こうは騒がしく爆発音や建物が崩れていく音が絶え間なく続いていた
「バストラーゼの大槍、まだ残ってるんだな」
「そりゃもう武器として作られたんだから消えるわけないでしょ?」
イミシェルに掴まれ楽々と移動しているアストレアが下にいる俺に言う
「なんかお前うざ」
「なにがよ」
透明魔術も消え王城まであともう少し
その時だった
ズドォォォン!!!!!!
突如上から降り落ちて来たのは見た目は同じだが髪色が正反対で俺からすれば既視感がある男、十騎士の1人マリアだった
「お前、名前なんだっけか」
土埃から出て来たのは年齢に合わず少し老けた青年で青い炎を生み出し質問に答える事もなく攻撃を仕掛けて来た
弓形に青い炎を前方向に飛ばし俺は飛び越え男を無視して先に進んだ
「逃すか!」
するとそこにジミーの双剣が走り避けられるが俺が背後から攻撃される事はなくなった
「邪魔だ、退け!!」
マリアは手の平から青い炎を生み出しジミーの手首を掴んで離さずその炎を顔に放射しようとした瞬間物凄いスピードで飛ばされた血がマリアの手を覆い血は変形して炸裂しマリアの体中に突き刺さった
「己ッ……!!!!」
そこにジミーは剣でマリアの首目掛けて攻撃するが避けられマリアは治癒魔法で体を治すと体勢を整えた
「メイデン気を付けろ、お前と同じ無詠唱魔術師だ」
「それと多分私より使いこなしてる、かなり手強い相手ね」
その間俺は王城へと辿り着き王城の扉を開けるとそこには数百、数千のここの国民が避難していた
「え!?なにこれ!?」
「国外に逃げてたんじゃねえのかよ、アストレアこんな状況じゃ上に行けそうにねえぞ!」
「私の魔女の力で少し上まで引っ張るから外に出て!」
「ああ!」
「ミアもエディを運んだら同じことするから外で待機してて!」
「わかった!」
「待って!ちょっと待って!!」
俺とミアが王城から出ようとした瞬間
アストレアが叫び俺とミアの背後に途轍もない殺気を感じ振り向いた
民衆を見下ろせる階段の上の先にライアードがおり何か魔法を発動させていた
「久しぶりだな、エディ」
「ライアード!!!」
避難していた人間はブクブクと腫れ上がり魔物が腹を切り裂き性別によっては口と腹から出てくる魔物もいた
「皆んな誕生日おめでとう!」
ライアードの指示により数千にも及ぶ人型の魔物がヨタヨタと歩きながら向かって来た




