第81話赤黒く光る炎
「おじちゃん!倒れないでよ!!」
ナトルカは爆発的なスピードでまたリュークの前に現れリュークの顔に向けて拳を振るいリュークはその攻撃を受け流していく
まだ小童、そう思っていたリュークは突如嫌な感が働きガードを固めナトルカの重く速い拳の一撃を腕で受け止めた
「どうしてわかったの?凄いじゃん」
ナトルカの雷の拳はリュークの皮膚を切り裂き肉を抉っていた
もしあのまま受け流していたら腕の半分が手で強引に千切ったパンのように裂けていたであろう
急にテンポを早め俺の行動をズラそうとするのではなく殺傷能力を急激に高めるとは……なんと恐ろしい小娘じゃ
「おじいちゃん、あまり私を舐めないでよね?」
ナトルカの拳は更にリュークの腕にめり込みリュークの肉を抉りそこらにミンチのような肉を撒き散らしながらリュークを吹き飛ばした
ズドンッ!!!
地面に転がり体制を立て直すとリュークをナトルカの様子を見ながら治癒魔法を使う
「天の清き祈りよ、我が声に答え傷を癒やしたまえ」
「スピリトヒーリング」
「うわぁ!治癒魔法も扱いちゃうんだー、魔力の扱い方上手ー!」
「早くおじいちゃんの技を見せてよ」
ナトルカが再度雷を纏い瞬時にリュークの前に現れるとリュークのガード越しから殴って上空へと吹き飛ばし足に雷を集中させ体を覆っていた全ての雷を足へと移動させると雷は自然とナトルカの本能に従うように刃がジグザグの斧となり雷へと形を変えた
「雷神豪斬!!」
その攻撃は降り落ちたきたリュークに直撃し無防備だったリュークの胸に深く突き刺さると雷を解除しリュークを蹴り飛ばした
地面にはリュークの大量の失血がありナトルカはそれを見て嫌悪感を抱いた
「汚ーい!私、おじいちゃんのドロドロの血液なんか見たくないわー!」
そして吹き飛ばされたリュークはゆっくりと立ち上がると全く引き抜いていなかった刀を抜いた
「自分の魔力量が多いと過信するな」
「え!?」
ナトルカが鼻下を指で擦ると鼻血が出ており明らかに魔法の使いすぎで脳にダメージを負っていた
精々あと7分……その時はバシャバシャ血ィ出てると思うけどこのおじいちゃんに勝てるならどうってことない
「ナトルカ、リュークという老人を倒してくれるかい?」
「はい!ライアード様!」
私はこいつに勝つ!!!
ナトルカはライアードとの会話を思い出し再度体に雷を覆わせた
「天の慈悲、地の温もりよ、傷つきし者を癒せ」
「ヒーリングブリーズ」
胸の深い傷は多少治りはしたが激しく動けば傷が開く
そうしない為にもリュークは渾身の一撃を放つつもりだった
「やはり治癒魔法は魔力を大幅に喰らうのう……」
今更刀を抜いて一体何する気?
「地獄の如く赤く燃え、死人であろうとも塵と化す」
「赤黒一太刀」
なに……その魔法!!!?
「誰も扱えずに忘れ去られた魔法じゃ、知らんじゃろ」
リュークが刀を一太刀振るった瞬間赤黒く燃え盛る終わりのない炎が刀から放出されナトルカはその斬撃を喰らい痛みもなく塵紙が風に当たり空へ消えていくように塵となり姿を消した
「か、カストル……フォス……」
リュークは赤黒一太刀で魔力を消費しすぎたのか老いた体に疲れ果て意識を失い地面へ躊躇なくぶっ倒れてしまった
しばらくしてバストラーゼが発見し救出、一旦拠点へ運ばれ戦場ではバストラーゼの土魔法の功績が大きいのか五分五分で十騎士を着実に倒していっているおかげでエレーミアの兵士を追い詰めていきあとは前線に出ている2人の十騎士を倒すだけだった
「チャカス、いけるか?」
擦り傷だらけのチャカスにブルセンバルグは言いチャカスは煽られたのかと思ったのか怒りながら言った
「まだ戦えるわアホ!お前もぶっ殺すぞ!」
「元気そうでなによりだ、強めにいくぞ」
ブルセンバルグは幻術を扱いキャサリンに幻をかけチュチュカッチョイを3人目の敵として認識させた
キャサリンは土魔法を使い槍を精製すると背を向けているチュチュカッチョイに投げ槍はチュチュカッチョイの背中に向かって突き進んで行った
「え!?ちょっとなにしてんの………!!」
チュチュカッチョイは槍と共に吹き飛んで行きブルセンバルグが幻術を解除するとチャカスは水魔法を唱えた
「大海の怒りよ、今ここに顕現し敵を貫け」
「蒼龍槍!!」
水のように青く龍の如く渦巻くその槍のように突き進む水の大群は地面を削りながらキャサリンへ近づいて行きキャサリンは土魔法で槍を作り出しブンブンと振り回して襲い掛かる水魔法を消し飛ばした
「上位魔法やぞ?やっぱ穴埋め十騎士っていってもおかしいもんやな………」
「チャカス!一気に畳み掛けるぞ!!」
「風よ、押し上げ、敵を吹き飛ばせ!」
「疾風烈!」
ブルセンバルグが風魔法を唱えると通常は敵に向けて放ち後退させる魔法を応用しブルセンバルグは自分の下に放ち大きく飛び上がるとまた発動させて頭上に放ち上からキャサリン攻めようと接近しチャカスは真正面からキャサリンに接近した
「すまないな、チャカス」
チャカスの目の前は突如歪みまともに歩けないぐらい時空が歪み
「ど、どうなっとんのや……ブルセンバルグ!!」
「全てを断ち切り破壊する風の斬撃よ、死の獄門を開け」
「風神断嵐」
どんな防御魔法も、どんな結界魔法も、どんな身体強化魔術も全てを粉砕し障害物を盾としても必ず喰らう魔法
嵐のような斬撃は敵の肉を抉り切り裂く治療が困難な魔法の一つであり戦場で喰らえば奇跡が起きない限り生きて帰ってくるのは不可能
グシャッ!!!!!!!
「ごばっ!!!!!!!」
右肩から左太腿にかけて切り裂かれ内臓は傷つき血は肺を侵入し呼吸を困難にさせる
「ブルセンバルグッ………!!!!」
ブルセンバルグが指をパチンと鳴らすとキャサリンは消え去りチュチュカッチョイはニヤリと笑ってブルセンバルグの元に戻って来た
「私が十騎士の1人、ブルセンバルグ」
「キャサリンという女は私が見せた幻だ」
「この……クソ、野郎がッ……俺があの日、お前と剣の修行をしてたのも、あれも嘘なんか……?」
「昔のやつか、そうだ、私が記憶の中に入れ込んだ幻さ」
「時間はかかるがどうってこともない」
「チュチュカッチョイ、始末を、私はライアード様に会いに行く」
「はーい!ブルセンバルグちゃん」
跪いているチャカスにチュチュカッチョイは拳を握り締めチャカスの顔目掛けて振り下ろした
「よく気づかなかったわよね、ほんと……」
ガンッ!!!!!
「!?」
「な、なんでおんのや……?作戦じゃ俺らが奴らを後退させ壁外を安全にしてからやろ……」
「エディ……!」
大剣でチュチュカッチョイの拳を防ぎ弾き返すとチュチュカッチョイに隙が出来た
「腹が丸見えだ」
大剣を薙ぎ払いチュチュカッチョイの腹を切り裂くとチュチュカッチョイをライアードの元まで歩いて向かっていたブルセンバルグに向かって蹴り飛ばした
ブルセンバルグは振り返りチュチュカッチョイを受け止めることなく避けて俺の方へ向かってくる
「よお、ブルセンバルグ」
「なぜここに?」
「単純な話だ、お前らが必死こいて戦ってんのに俺が指しゃぶって待てるわけがねぇだろ」
「それにこうして裏切り者まで処理できるんだ。今までは来ても敵はいねぇし報告じゃ前線にいる十騎士はほぼ全滅……だが来てよかったぜ」
「くだらん理由で犠牲を増やすか、さっさと終わりにしよう」
ブルセンバルグは俺に幻術をかけ一秒程遅く感じるようにさせた
それに加えて視界の歪み、砂漠の地帯なのに草木が生え始め今じゃ森の中で戦っていた
「私が何処にいるかわからないだろう」
スピーカーで頭の上から喋りかけられているみたいな声をしているブルセンバルグは森の木に隠れ俺の隙を見ていた
「エディ……後ろや、はよ気付け……!」
チャカスの声は幻術で聞こえず背後にいるブルセンバルグに気付かなかった
私の幻術に適応する者はいない!
ブルセンバルグは俺の心臓部分を突き刺そうとするが俺は振り向き突き出ている剣をしっかり握り締めると後ろにいるブルセンバルグの顔に向けて拳を振るった
「ぐふっ!!!!」
ブルセンバルグが戸惑っている隙を見て小回りの効く刀を抜きブルセンバルグの腹を切り裂いた
「な、なぜ私が見えた……」
「お前馬鹿だな、俺がどんだけお前の幻術にかかったと思ってんだよ」
「それともなんだ?お前が警戒してた俺が嫌ってた魔法の技でも使うとでも思ってたのか?」
「な、なに…!?」
「こそこそ木の裏に隠れてんのバレバレなんだよ」
ブルセンバルグの肩を掴み腕を思いっきり引っ張ると皮膚が裂け肉をブチブチと嫌な音をたてながらブルセンバルグの右腕を引きちぎった
「ぐがぁぁぁああ!!!!!!!」
次第に幻術は解け始めブルセンバルグの腕を捨てる
「俺は竜人族だ。これを受け止めるのが俺の最大の試練だったんだ」
「チャカスもやべぇしさっさと救援呼んだ方がいいよな」
周りをキョロキョロと見渡す
あの女の格好してるおっさん何処行った?
そうして裏切り者ブルセンバルグを倒したのちチャカスの胸ポケットにあった通信機で皆を呼び掛けるとバストラーゼの方では計画通り撤退したらしく俺らも一時怪我人を連れて拠点に戻る事にした




