第80話国王親衛隊
エレーミア神聖国の国王は2年前に起きた亡国事件にて十騎士の実質的なリーダーであり全世界でも人気を誇り尊敬されるライアードは国王の寝室に忍び寄り氷魔法を使って寝ている国王を凍死させた
その後の朝、悲鳴と共に召使に発見され老衰と判断されるとエルドリアから攻撃を受けているという事もありライアードが一時的な国王、2年の時を経て完全に認められた国王陛下となった
そして国王には親衛隊がいる
ライアードは十騎士の中から親衛隊を選び4人の親衛隊の戦士が決まった
赤拳のバリスとその双子、青拳のマリア
重力魔法を操り魔力の塊を放つチョコ
そして新たに穴埋めで十騎士に加入し即座に実績が認められ新たに親衛隊に加入したのはコルテーチョという名の気さくな男だった
そしてそのチョコを除く親衛隊達はライアードが待ち構える王の座から離れた王城の大扉前にて奴らが攻めてくるのをただ待ち続けていた
「…………」
コルテーチョはバチバチとしているこの空気に耐えきれず目を泳がせながらどうにかしてこの雰囲気を変えたいと口を開いた
「もっとよォ?気楽に行こうぜ?マジでこの雰囲気耐えられねぇって言うかさ……緊張感持ちすぎなんじゃないの?」
「新参者がでしゃばるな、この戦争に負ければ我ら十騎士の時代が終わりを迎える事になってしまう」
「コルテーチョ、新人のお前が緊張で落ち着かないのは分かるぜ?俺もそうだった。だから落ち着いて考えてみろ、ライアードが"計画"を終わらせるまで俺達は時間を稼げばいいだけさ」
「でもよォ………学院でもまあまあの俺が急に十騎士になって団子が下り坂から転がるみてぇに親衛隊になっちまった。決められた日からずっと心臓は落ち着かねぇし………」
「適材適所って言葉知ってるか?ライアードが珍しくチョコみたいにお前の才能を認めて親衛隊にまで入れた、お前はここがお似合いって事だ」
「そうだといいんだけどな………」
「私語を慎め、馬鹿共」
マリアの言葉にコルテーチョは悲鳴を上げながら縮こまりバリスはあくびをして壁外にいる魔力を探知しながら現状を把握していた
相変わらず短期な野郎だぜ……
それにしても俺達を含んだ十騎士は残り7名、3人やられちまったらチョコは引き下がると思うしやっぱ国内でやり合う感じなのか?
バリスの脳内で一番最大に感じているのはある人物の魔術
東洋から伝えられここの大陸ではあまり知られていない東洋ならではの魔術の使い方
「リューク・アソウ、あの戦場じゃあ一番厄介だろ、アイツ」
リュークは着物のみ、鎧はなしで拠点から少し様子見してから最前線へと走り劣勢している箇所へ単独でやって来た
「ぐあっ!!!!」
味方の胸が切り裂かれ血を吹き出し地面に倒れ込む
リュークはそこへ刀を引き抜き詠唱する
「炎よ、我が刀身に宿れ」
「炎撃」
刀の刀身に炎が宿りゆっくりと数十が集まっている敵の塊に突っ込んで行った
そこに不審に思った男が歩いて近づき剣を引き抜き振り翳そうと力を入れ言った
「なにやってんだ?ジジイ」
「間合いに入ったな、小僧」
リュークは刀を振り男の喉には当たらず空振りをしてリュークは男を無視して先に進む
「は?おーい!当たってねぇぞー!」
男は馬鹿にするように言うが次の瞬間男の喉はパックリと引き裂かれた
「ゴボッ………」
小さくそう言うと男は倒れリュークは味方の死体を避けながら進み敵は只者じゃない老人を見て味方の顔を見合わせ連携して襲い掛かった
リュークは剣を弾き脇を刺して引き抜きもう1人の男の背後に入り背中を斬る
「炎の魔法がなぜ恐れられ禁じられているか……知っておるか?」
「な、なんだコイツ……だ、誰か攻めろよ」
「攻めろって言われてもな……」
リュークは腰が引けて敵が目の前にいても動けない敵を次々と葬り去って行き本当に隙がない
自分から攻めようが攻めずに待っていようがどちらにしても死ぬ
そしてリュークの背後にはリュークが斬り殺したはずの敵の残骸が命を吹き返し立ち上がる
「禁じられている理由は一つ、道徳に反しているからじゃ」
「そしてこの力は東洋から伝えられている、無知であるお前らが知る余地はなかろう」
命を吹き返した者達は意味もないのに魂に喰らいつこうと同胞達を襲い始め首を引きちぎり剣で刺し殺し鈍器で殴り、同胞はかつての仲間の顔で剣が振れず逃げ帰って行く
「やめてくれぇぇえ!!!!!」
「イダイイダイッ!!たすげで母さぁぁあん!!!!」
「ァァアア!!!!!」
血が宙に吹き出し敵味方関係なく斬り殺していくこの光景はまさに芝居の演劇のようだった
そして斬られても尚立ち続け剣を振るう死骸は同胞を殺し尽くしリュークの元へゆっくりと歩いて来る
リュークは刀を鞘にしまい手でパンッと叩いた
「俺の故郷に伝わる技は恐ろしいじゃろ、強敵には通じんが雑魚にはうってつけ、そんじゃあ………」
「"お終いお終い"」
この合図と共に斬られた死骸は一瞬で消え元々いなかったみたいにそこら辺は倒れている敵の死骸か味方の死骸しか映らなくなった
バストラーゼは雑兵を対処しながら適切に数を減らして行きトマソンは自在に変化する武器を使いながら仲間と共に敵軍と交戦中
ボレアスバレスはチョコに運ばれ建物の中で意識を失っておりリュークは戦闘続行
そしてサボり魔で有名であるチャカスは対峙している壁外の空中にて魔法で作った雲みたいな乗り物に乗って下を見ながら詠唱して放った水魔法で下にいる敵兵を始末していく
「バカやな、こいつら集中しすぎて上におんの全然気付かへんやん」
チャカスが見下しながらバカにし強力な水魔法を放ち敵兵は流され楽々と敵を処理して行った
その時、槍がチャカスに向かって投げられチャカスは間一髪で避けるが頬に傷を負ってしまった
「この野郎……」
チャカスは水魔法で作った雲みたいな乗り物から飛び降りると槍を投げた場所に向けて巨大な水魔法を放ち地面にぶつかると物凄いスピードで散らばりその水の弾丸が周囲の人間の体を貫いていった
そしてその中で唯一生き残っている女がいた
「誰やお前、普通の兵士やないやろ」
「私は十騎士の中の1人……キャサリン・マルカルトス」
「平伏しなさい!地に頭をつけ私の奴隷となるがいいわ!!」
「きっしょ、さっさと殺したるわ」
するとそこに見覚えのある人間がやって来た
「私も参加してもいいかい?」
「ブルセンバルク、ええ所に来たな、共闘するか?」
「勿論だ」
「私も参加していいかしら!?」
ブルセンバルグとチャカスの下に影ができ2人は上を見ると筋骨隆々でサラサラのロングヘアーの男が降り落ちて来た
2人は飛び上がり男の落下から逃れると男は地面に綺麗に着地して軽々とクルクルと宙を回りながらキャサリンの横まで下がった
「私は十騎士の1人!チュチュカッチョイ……」
「1対2は流石に酷くなあい?」
一向、バストラーゼが雑兵を蹴散らしている間リュークは十騎士の1人であるナトルカと戦っていた
「小娘………やりよるな……」
「そう?ありがと、おじちゃん」
ナトルカが腕に纏っている雷は通常の魔術ではなく特質していて生まれ持った才能でしか開花できない
その魔法は雷砲天下と言われており触れただけで触った部位から通じて脳にダメージを与え3秒にも満たず死ぬ程の攻撃力を持っている
「おじーちゃーん、鼻血出てるよ〜?」
「うるさい奴じゃな……少しは黙れ」
「貴様が使う雷砲天下は触れただけじゃなく周囲にも常に影響を与えている、そうじゃろ」
「なんだ、知ってるんだ
「経験豊富な老耄を馬鹿にするではない」
ナトルカは猫のような体勢を取ると腕に纏わせている雷を全身へと移動させ雷は地面に伝わり離れているリュークからでも電気が感じ取れる
「行くよ!おじちゃん!」
雷の如く駆け抜け一瞬でリュークの目の前に現れるとナトルカはリュークの足を蹴り払いバランスを崩そうとするがリュークはそれをまるで知っていたかのように飛び上がり蹴りを躱すとナトルカの顔を踏みつけリュークはそのまま飛び上がった勢いで後ろの方へ距離を取った
「テメェ!よくもレディの顔を……!!」
「俺は知っているぞ、雷砲天下は速度、肉体が強化される。だが反射神経は強化されない」
「それがわかれば大した事はない」
「大口叩いちゃって、後悔するよ」
ナトルカは体に再度雷を纏わせて火力を上げた




