第71話長い年月を経て
「潜入完了、ジミーから貰った声が変わる魔道具は?」
「ちゃんとありますわ、はい」
エルドリア王国の王城にて、バーニスはジェイクに声を変える魔道具を渡した
道中の兵隊達はジミーが殺さず片付け既にジミーはこの場から逃走済み、あとはジェイク、バーニス、アストレアの3人が要件を終わらすだけだった
「情報によると一番仲が良かったらしいからな、美味しい情報をいただけるといいんだが……」
「そうね」
そうしてジェイクは口元に声を変える魔道具を当てた
カストルフォスは2年も行方が分からないエディを想いながら自分の部屋のベットに寝転がっていた
現状、エレーミア神聖国が配置したほぼ全ての拠点はエルドリアの兵士達によって壊滅させられ故郷を裏切るように拷問し続けた結果捕らえた大勢の捕虜が味方に付くことが出来た
そんな偉業を成し遂げたとしても魔術師殺しは2年も姿を見せていない、徐々に民衆は異変に気付き始めボレアスバレスやエルドリアの国王は一刻も早く微弱な魔力を出し続けているエディを助ける為の策を練っていた
「…………」
今回の作戦には必ずエディがいる……どうにかして助けるにはどうしたらいいんだろう………
それに、エディが5体満足って保証はないし、もう、どうしよう
カストルフォスがベットで天井を見ながら寝転んでいると突如ドアがノックされた
「だれ?」
「私です」
トマソン?こんな時間に一体……
カストルフォスは涙を拭いてベットから立ち上がり自室のドアを開けた
「汚いかもだけど、気にしないでね」
そこにいたのは全身を布で覆って正体が分からない男だった
カストルフォスは首を掴まれ口を塞がれるとベットに押し倒されそこにいたのは金髪で短い髪をしていて右手は妙な義手の褒め称えるぐらい顔が良い男だった
刺客!?
驚いている暇もなくカストルフォスは棚の上に置かれてある物に手を伸ばした
ネックレス!!
カストルフォスの視線の先には魔法の甲冑を発動させる為に必要なネックレスはすぐ隣の棚の上に置いてあり今の位置にいるカストルフォスの腕では絶対に届かない
すると開いていたドアが閉められそいつの仲間2人が入って来た
骨格で両方女の子だと言う事が分かりこの男に比べてかなり小さい
「叫ぼうとしても無駄だ、魔法を使ってある。そして俺の質問に答えろ、魔術師殺しは何処だ」
カストルフォスの口を覆っていた手が離されると謎の男は質問をする
「ぜ、絶対に言わない!」
「おい、闇魔術でどうにか出来ないのか」
「使ってもよろしいですけど、その子、死にますわよ」
「チッ、お前は?魔女なんだろ。どうにかしろ」
「前話した通り魔女はそういう類いの魔術は禁じられてるの」
「全く……」
すると男はカストルフォスの両手首を掴み金属で拘束した
「や、やめてッ!!」
「早く話した方がいいぞ」
「ねえ、さっきからずっと言おうと思ってたけどそうやって女の子に覆い被さってたら………」
「あ?」
「かなり下品ですわ」
「ち、違えよ!」
男は急いで離れるとベットに倒れているカストルフォスにまた問う
「そんで、魔術師殺しの居場所は?」
「…………何度も言わせないで」
「どうするよ、闇魔術師様」
冗談半分でそう言う男は左脇にいる女の子に言い女の子はカストルフォスに近づく
「なにする気?私、絶対に言わないから」
「闇魔術でいくらでもあなたに聞き出せる、隠し持ってる恥ずかしい事も……早く言わないと使いますわよ」
女の子は闇魔術で作ったであろう毒々しいナイフをカストルフォスの顔に当てる
「その可愛らしいお顔も、言わなければズタズタに引き裂いてやりますわ」
「ッ!!」
闇魔術の女の子が少しカストルフォスの心の揺らぎを感じた後、更に追い打ちをかける
「ご存じなさそうですが、闇魔術は人物の血と髪さえあれば呪い殺せますの、そしてここに………」
エディの茶色い髪の毛と瓶に入ってある保存状態がいい血があった
「エディを殺す道具が全て揃ってますの、居場所を言わなきゃ殺しますわよ」
闇魔術については権力とかであまりよく知られていない
それ以前にこの言葉はハッタリだろう、なぜなら十騎士にそれを使えば殺せるからだ
しかし、これがもし魔力を持っている者には通用せず魔力を持っていないエディに通用する魔術だったら……そう考えると抵抗はできなかった
「わ、わかりました。でも、期待には応えられないかも……」
「さっさと言え、警備隊かなんか来ちまったらどうすんだよ」
「はい、そ、その………」
「エディから発してる微弱な魔力をキャッチしてやっと居場所がわかった所で……」
「何処だ」
「エレーミア神聖国の中心部の牢獄にいます」
「……マジかよ」
謎の集団達は顔を見合わせかなり動揺している
「どうしますの?」
「………前さ、私がエディの記憶を取り戻そうと魔女の力を使った時あるでしょ、その状態でエディの微弱な魔力の流れを辿っていったら上手くいけば誘導して脱出させれるかもしれない」
「あの時のあれか、いける試しはあるのか」
「魔力のないエディがなんらかの方法で微弱な魔力を放出している……それを辿っていったら良いだけだから簡単」
カストルフォスは棚の上に置いてあるネックレスに手を近づけあとは魔力を使って磁石のように手に引きつけ掴み取ろうとしていた
あともう少し………!
「鉄の斬撃」
謎の男は攻撃態勢に入ろうとしているカストルフォスに向かって魔法を唱え作った剣をカストルフォスの首元に当てた
ピリピリと電流が伝わり手足が少し痺れる
「………!」
「さっきからチラチラネックレスばっか見てるから見破られるんだ」
カストルフォスはふらつき地面へ倒れそうになった
謎の男は剣を消しカストルフォスの腰に腕を回して軽々と受け止める
「エディを、どうするつもり」
「助ける……友達だから、それにエディには自分で脱出したって言ってもらう」
「どうして?魔術師殺しを助けたって手柄が貰えるじゃない、それが目当てじゃないの?」
「言ったろ友達だからって、だからそんなのいらねえんだよ」
「私、あなた達のこと信用できない」
「しなくていい、行動で見せてやるからな」
そうして謎の男はカストルフォスをベットに座らせると魔女と闇魔術の魔法で一瞬で3人は消えていった
この事は誰にも話せず奴らは悪い奴らなのか良い奴らなのか分からない
今はただ、エディの無事を祈っておこう
そうしてジェイク達はエディの居場所を知れた後、仲間達が集まっている家へ向かいメイデンに報告した
「アストレアが魔術を使って…ね、リスクはあるんでしょ?」
「聞いてみねえとわかんねえよ、それにアイツのことだ、頑なに言わないだろ」
「ちょっと心配」
「お前が心配か……丸くなったもんだ。これも全部、"アイツ"のおかげ、か?」
「そう……かも」
「んじゃ、俺はアストレアの状態を見なきゃいけねえ、バーニスもアストレアの寝顔見たいから来るんだけど、あいつ用事ないよな」
「ええ、それと最近ミアの事見てないんだけど、元気してる?」
「まあ……無理してるだけかもしんねえけど引きこもってる割には元気だ。それとイミシェルはジミーと稽古するみたいだから明日は仕事空けとけよ」
「わかったわ、その代わりあなたが入って、それが条件」
「………はいはい、未来ある子供の為におっさんが働くよ」
「じゃアストレアんとこ行ってくるわ」
「なにか異常があったら私のところに来て」
「ああ」
そうしてジェイクはアストレアがいる部屋に入りそこにはバーニスがアストレアと話していた
「よお」
「来てくれてよかった、また飲んだくれになってるかと思ってた」
「うっせえな、さっさと始めろ。アイツの顔面に数十発殴らねえと気が済まない」
アストレアは溜め息を吐き自分が座る周りに魔法陣をチョークのような魔石で描きそこに座ると姿勢を正して深く呼吸をし始めた
「私が泡を吹いて痙攣し始めたら止めて」
「それで止めねえ奴いねえだろ……」
「いいから、バーニス、ジェイク寝ちゃうかもしんないからちゃんと起こしてあげてね」
「わかりましたわ」
「じゃ、エディ連れてくる」
「ああ」
白い魔法陣は光りアストレアを照らし囲んだ
そしてアストレアは霊体のような、妖精のような、可愛らしい姿となりエディが放っている微弱な魔力の跡を辿っていった
一向、俺は狭く冷たい地面で寝ていた
許された外の光が見える隙間を見て今が夜だと言うことがわかる
「エディ、平気か?また変わってやるぜ」
頭の中からデットの声が聞こえる
こいつのおかげで孤独で寂しくないし、俺が耐えられなくなったらいつもこいつが変わってくれる
大丈夫、ただ、ずっと外を見てたい
「………必ず助けはくる、こんなクソみたいな養豚場から出てライアードのケツに拳ぶち込めばいい」
助けはこない、もうわかってきた
「……エディ、お前諦めちゃいねえよな」
………わからない、正直どうでもいいかもしれない。こんな苦しい思いを毎日毎日して、生きる人生に、どうでもよくなった
こんな事なら………
俺の頭の中には何もかも捨ててミアと過ごしている景色が広がった
「こんな事なら………全部捨てちゃえばよかった………!」
俺は涙を流し冷たい床に拳を何度もぶつけた
いつも拳が血だらけになり止まるまで何も言わなかったデットは突如俺に言った
「何かが近づいて来るぞ」
励ましか?やめてくれよ……
俺は許された隙間から外の景色を見た
そこにはアストレアみたいな顔をしてる妖精がいた
「やっと見つけた!」
この時、俺が外を見ていた理由がわかった
俺はずっとずっと、助けを求め続けていた




