第70話エレーミアス神聖国。地下牢
光の中に捕らえられ数時間して運ばれた場所はエレーミアス神聖国の地下牢であった
そこには数々の重罪人が捕えられており俺は最下層の数人の罪人が入っている牢屋に閉じ込められた
マズイ状況だ……
バストラーゼの生死は分かんねえし敵の手札も明かされていない、強いてわかるのはライアードは氷魔法、あのロン毛の光?の魔法ぐらい
それに俺がいないエルドリア王国の民衆はパニックになるだろうし一刻も早くここから出ねえと……
そう考えていると聞き覚えのある声の持ち主が話しかけて来た
その男は生意気そうな顔をしていて前のように髪はなく10円ハゲになっていて見窄らしい見た目をしている
「お前……あの時のガキか?そうだよな?」
誰だと思い後ろを振り返ると誰だかわからない、全く知らないしこんな薄汚い奴覚えてない
「?」
困惑してよくそいつの顔を見ると思い出した
この男は初めてメイデンと対峙した時、俺が逃げる最中に木にもたれていた二刀流の盗賊だ
「あっ!お、お前!!」
「そうそう!やっと思い出したかよー、メイデンさんと一緒にいた二刀流の奴!義手のおっさんにビビって逃げ出した男だよ!」
「あれから逃げ出してこの国の宝盗んだらここにぶち込まれちまってなー、いやー!懐かしい!」
「そんでお前、どうしてここに?」
俺はここに来た理由を話した、もちろん自分が魔術師殺しだと言う事も
この男の名前はバリアンテルという名前で今さっき言った通り宝を盗んでここに入れられた囚人だ
「……マジかよ、そんで?ここを早く抜け出したいのか」
「ああ」
「そんじゃいい事教えてやるよ、朝になると坑道で重労働させられる。前の奴はその時の隙を見て脱獄したんだ」
「まあそいつはこの地下牢の中で群を抜いて強かったからな、警備隊も追いつけやしなかったし歯も立たなかったらしいぜ」
「へえ、なら力自慢の俺ならいけそうだな、お前は来るのか?」
「俺はここを出るつもりはねえ、死ぬかもしれねえしな」
「それに、ここの看守を務めてる奴らはかなり強い。お前に分かりやすく言うとメイデンさんと同じくらいだ」
「だから………」
脱獄する為に情報を聞いていると突如重厚な鉄の扉が開き看守のような奴が出て来た
血で真っ赤に染めたような赤毛の男
バラス!!?
そこにいたのは看守でも俺達のような囚人でもない
十騎士の1人だった
「魔術師殺し、ここから直ちに出て来い」
俺は手を縛られ慣れないながらも立ち上がり後ろにいるあの二刀流の男の顔を見る
男はニコッと微笑み俺に勇気をくれた
「バリアンテル、少し調子に乗りすぎだ」
バリスがそう言った瞬間バリスは俺の目の前から消え強い風が俺の横を通り過ぎた
嫌な予感がした俺は後ろを振り返る
「バリアンテル!!」
そこには顔の下半分を抉り取られ地面に倒れているバリアンテルがいた
「え、エディ……」
「大声を出すな、本来、私語は一言でも発言すれば耐え難い体罰が待っている。お前は特別対応だから見逃すがな」
俺が飛びかかろうとするとバリスは一瞬の攻撃で俺の腹を殴り俺は膝から崩れ落ちた
いつの間に二撃目を………!?
喰らったのは腹のはずなのに横腹と腹が痛み始め口から胃液を吐く
「汚ねえな、こんな醜い奴がエルドリアの英雄なのかよ」
バリスは俺の鎖で縛られている手に縄を掛け強引に無理矢理引っ張り倒れてうずくまっている俺を気にもせず壁や床に叩きつけられ引きずられながら移動させられた
階段になると俺は立ち上がり攻撃をモロに喰らってフラフラな状態の俺を気にせずバリスの階段を登るスピードに合わせられる
そうして長い階段を上がった先には薄暗い一番上の地下牢に入り俺やバリスに向かって挑発や怒号が聞こえる中、ただただ冷たい廊下を裸足で歩きまた階段を上がる
「一体何処に向かってんだ……答えろ…」
「着いたら教えてやる」
まだ横腹がズキズキ痛み確実に骨にヒビが入っているのがわかる
そしてバリスに連れて来られた場所は地下牢から出て城の中にある訓練場らしい場所だった
「ここは…?」
「十騎士候補生達の訓練場だ、ほらよ」
バリスに縄を解かれ鎖や金属の手錠で拘束された俺の手を解放して投げ渡されたのはあの時腰に下げていた刀だった
「どういうつもりだ」
俺が困惑していると奥の扉が開かれそこに現れたのは十騎士のリーダー的存在であり俺が最も憎んでいる敵、ライアードだった
「ようこそ魔術師殺し、バリス、エディに話してやってくれ」
「ああ」
するとバリスは説明を始めた
「今からライアードがお前を半殺しにする、魔力を強制的に流しそれに耐えれる値を調べる為だ。ついでにお前の強さも知っておきたい」
だから"これ"を渡したのか……だとしても、俺を兵器やなんやで調べる手は沢山あるのに態々人を使って調べる所…悪さが滲み出てる
そうして俺とライアードは睨み合った
地面を蹴り上げ一気に距離を詰める、最初に仕掛けたのはライアードだった
速ッ!!!
ライアードは音速より速く動き俺は目で捉える事はできるが肉体がついて来れない
ライアードを相手に受け身を取るしか出来ずライアードの細剣の振り下ろしに刀を使ってガードした
「うっ………!!!」
当然刀は大剣に比べると小さく薄い、いつもだと防げるはずの攻撃は骨に衝撃が走り腕が震える
大剣の方が使い慣れている俺にしては刀は足枷にしか過ぎなかった
右か?
左!?
もう少しで首を刎ねられかけライアードの細剣を受け流しライアードに隙が見えた
俺はライアードの脇に向けて刀を差し込もうと構えを取るがヒビが入った骨が激しく痛み気付いた頃には既にライアードは防御体制に入っており突いた頃には完全に防がれていた
それも、あんな細い剣に、俺より筋肉がなさそうなあの体に、俺は負けてしまった
いくら身体強化魔術と魔術を応用して使ってきた敵と対峙しても俺が負けることはなかった
だが、この今、俺は剣術でも負けてしまった
そしてライアードは細剣を振り下ろし俺の肩を斬り氷の細剣は俺の鎖骨下まで入り込んだ
「ごばっ!!!!!」
肺に血が入り逆流して口から大量に吐血する
「魔術師殺しもこの程度か」
意識が薄れていく中、目の前にはデットが見えた
そして意識が朦朧としていきながら俺は連れ去られ到着した場所は研究室だった
そこには拘束台がありそこに乗せられると天井につけられてある魔力をよく通しそうな尖った魔石が見える
「下げろ」
その言葉と同時に尖った魔石が降りて行き意識を失ってしまった俺の鳩尾にずっぷりと突き刺さった
「うがぁぁああ!!!!!」
一瞬で意識が戻り頭の中が苦痛と激しい嘔吐感で一杯になりバクバクと心臓が破裂するかのように動き始めた
「魔力を流せ」
ライアードがそう言うと灰色だった魔石は青白く美しい色になり尖っている先端は血で赤く発光した
自分の体内にない物、即ち魂に何かが入ってくるような感覚がする
「結果が分かりました。身長は2メートル越え、体重100キロ以上、種族は………竜人族です……!」
「なんだと?」
意識が薄れているのか目の前には幻覚かわからないがチカチカと光る眩しい点が見えた
「あいつに目に物見せてやろうぜ、エディ」
デットの声が聞こえると俺は意識を取り戻し鳩尾に突き刺さった魔石を真っ二つに破壊して抜き取りライアードの方へ向かって行った
今まで感じた事もない怪力、ライアードが攻撃を仕掛ける動きもわかり俺はライアードの剣を振る腕を鷲掴みにして止めた
その瞬間ライアードは何かに気付き力を強めて俺の腕を振り払った
「貴様は失敗作ではない!!進化した竜人族だ!!」
俺が動いたせいで割れたガラスが地面に落ち自分の姿が目に入る
巨体で牛頭の姿をしており文字通り悪魔のような見た目をしていて腕は体毛で覆われておりその姿は一時の物で俺はまた気を失ってしまった
バリスは壁にもたれて見ておりバリスの双子である男がライアードに駆け寄った
「ライアード様!」
「はあ……はあ……はあ……」
緊迫感を味わい呼吸が乱れているライアードは元の姿に戻った裸の俺を見てニヤリと笑った
「新しい魔石を、私は自室に戻り今回の成果を書くとしよう」
そうしてライアードは研究室から出て行き双子の男は研究室や書物の片付けをし始めてバリスは裸の俺の首根っこを掴んでまた違う別室へと俺は運ばれて行った




