第69話決戦の初日
作戦当日、エレーミアス神聖国とエルドリア王国を挟む敵国の砦を潰す為攻めることとなった
前々回話した通り作戦は俺含むバストラーゼと言う女騎士長が率いる部隊が道中はボレアスバレスと同行、後に真正面から突っ切りボレアスバレス達は森から川を渡り裏を取って砦にいる敵を殲滅、補給通路を確保するのが今回の作戦
十騎士の1人が出て来る可能性もあり相手もかなり慎重だそうだ、そしてなにより砦内にいる敵が一流の魔術師や戦士だらけで死ぬ確率も高く下手したら俺はライアードに会う前に死ぬかもしれない
他の砦も同様、同じ作戦でそのように攻め落とすのだとか
そして俺はエルドリアの北門から出て森の中に入り女騎士長であるバストラーゼが指示を出すまで馬で歩く事となった
「エディ、同じ部隊でよかったねー!」
隣からトコトコと馬で歩いて来たのはカストルフォスだった
偶然にも俺が所属している部隊に配属されており本当に相変わらず元気でうるさい
この子、今回の作戦で死ぬかもしれないのに能天気な奴だ
女騎士であるバストラーゼは魔法戦士であり主に火の魔法を使うらしい
火の魔法は最近になって扱いが難しい魔法のせいで制限がかけられてしまいほんの一握りの人物でしか使えない
そしてこの部隊の副隊長、名前は忘れたが特殊な魔法使いらしく魔物を従え数々の戦争で大虐殺を行なって来たエレーミアス神聖国の王国の地下牢から抜け出し、復讐しに来たのだとか
俺は純粋無垢なカストルフォスを見て疑問を抱く
こんな子が戦争に出て怖くないのか、無理矢理やらされてないのか、そう考えた俺は恐る恐る聞く事にした
「………お前、怖くねえのか」
「え?」
カストルフォスは子供が戦争に参加するのが普通だと思っているのか何も疑問に思ってなさそうだった
「その……お前まだ子供だろ?死ぬかもしれねえのによ」
カストルフォスは俺の質問に笑顔で答える
殺し合いをする前に見るような笑顔じゃない、いっぱい見てきたがどうせなら王国内でその笑顔を見たかった
「怖くないよ、死んだらお父ちゃんに会えるから」
「まさか、それがお前が戦争に出ても怖くない理由か?」
「そうだよ、私が怖くない理由はそれ」
「そうか、親父さん……亡くなっちまって残念だ。嫌ならいいがどうして亡くなったんだ?」
「十騎士に殺されちゃったんだ、名前はバリス。お母さんは私が生まれた時に死んじゃったらしいから知らない」
「辛いな……」
「全然?今が楽しいもん」
異常なまでのポジティブ精神、この子の両親はさぞいい人だったのだろう
「なら今回の戦でケリつけれるな」
「私が負けちゃったらケリつけれないけどね」
この事に関しては自信がないのか顔が少し曇ってしまった
「………そん時は、そうだな…俺がお前の代わりにそいつぶっ倒してやるよ、いいだろ?」
「うん!エディ以外は嫌だけど、エディは優しいし強いからいいよ!」
「出会ってから一週間程度しか経ってねえだろ?まあ確かに、その期間はずっといたけどよ……そんな気に入ったのか?俺の事」
「気に入った!だけどトマソンはエディと比べたら嫌い」
「どうして?お前結構話しかけてたじゃん」
「だってあの人、悪そうな人だもん」
あの顔と雰囲気だけみたら確かに敵に見えそうだしな、無理もない
俺も最初は威圧感を感じていたし子供のカストルフォスからしたら敵みたいと思ってしまっていても仕方がないだろう
「確かにわかるけどいい奴だから」
「それはわかってるんだけどね、でもやっぱり怪しい……」
「怪しい?どうしてだ」
「だって………」
そうしてカストルフォスと話していると突然馬の進行が止まり俺はデカいおかげで少し体を伸ばすだけで先頭が見えた
バストラーゼとボレアスバレスがなにか話してる
するとバストラーゼを置いてボレアスバレスは先へ行きバストラーゼは後ろを向いて行った
「皆の衆、これより作戦に入る」
「死ぬ覚悟はいいか」
皆は仲間達の顔を見て決死の覚悟をしたのを確認し全員が頷いた
そして俺達を率いるバストラーゼが森の外に出る左の方へと進行して行き徐々にスピードが上がって行った
この胸の高鳴り……来る
「カストルフォス」
「わかってる、そろそろだね」
そうして森の暗闇が消えていき目の前には太陽の光が差し込んできた
森の外に出るとそこはだだっ広い草原で遠い先には数々の障害物が置かれてある砦があった
俺達は馬を使って全力疾走、陣を崩さず向かって行く
来るのは矢か?それとも魔法か?
俺がそう警戒し手で太陽を遮りながら空を見た
上空には激しく燃える太陽が二つあった
「は?」
もう一つの小さな太陽は魔法で作られた巨大な炎の塊だった
「盾を張れ!!!!!」
隊長であるバストラーゼが大声を出すと魔法を使える人達は空に向かって水魔法で出来た大きなシールドを作り出し炎の塊はシールドにぶつかると爆発した
「大地よ!その怒りを槍に変えろ!!」
「断罪の鉄槍!!!」
バストラーゼは前方に巨大な岩の槍を放出し木の防御壁や投石兵器、前線で迎え撃とうとしている敵を木っ端微塵にしてその巨大な岩の槍は地面を抉り砦の門を貫き破壊した
「進めぇ!!!!!」
バストラーゼは背中に背負う大槍を前に突き出し生き残りを馬上から突き殺して進む
この女が敵だったらどうなっていたらどうしようもないな……
そう思いながら門に近づいて行きバストラーゼや砦内に入れる兵士達、カストルフォスは突破された門を馬で潜りって行き砦内に入った俺は馬から飛び上がって下にいる兵士を縦に一刀両断した
「はあっ!!!!!」
俺は後ろに向かって大剣を振り後ろから切り掛かる兵士の腕諸共剣を吹っ飛ばし兵士の腹を蹴って地面に倒す
「く、クソッ……!!」
倒れた兵士に向かって大剣を突き刺し次の敵を見つけようと周囲を見渡した時だった
ドォォォォン!!!!!!!!!
突如空から降りて来た3人の十騎士が俺の周りを包囲し最後の1人の誰かが俺を地面に抑えつける
辛うじて俺は抑えつけてくる男の顔を見れた
その男の目は氷のように冷たく無慈悲で残酷な男
次の瞬間には俺の顔の横に氷の細剣が突き刺され俺は1秒にも満たずにそれが誰かなのかが分かった
「ライアード……!!!」
俺の下半身は氷の霧で凍らされ身動きが取れず目の前には大剣が落ちている
あれに手が届さえすれば抵抗できたかもしれないのに
そう悔しい思いをぶつけられず俺は世界で一番憎む相手に抑えつけられた
すると俺の右横にいる赤髪の氷の右腕の男が言う
「あいつのおかげで詳しい位置が知れた、あとで礼をしないとな。なあ?ライアード」
「ライアード様に口を開くなバリス」
バリスだと!?
カストルフォスの仇である男に瓜二つの男がバリスに言い口論になりそうな所、もう1人の男が話を遮った
「ライアードさっさと行っちまおうぜ」
「そうだな」
ライアード達が俺を連れてその場を離れようとした時、分厚く大きい鎧を着たカストルフォスが4人の背後から拳を振り下ろしながら現れた
「エディを離せ!!!」
カストルフォスが振り下ろした拳はもう1人の十騎士の手の平で受け止められた
「子供が戦ってんのか、可哀想に……どっちが悪い奴らなんか分かんねえな」
「なに!?」
カストルフォスが下がる暇なく一発の拳で兜を割られ地面に叩きつけられた
その拳は装甲だけを壊すだけでカストルフォスの顔には傷一つない
「エディ!!今助けるぞ!」
そこにバストラーゼが参戦しライアード以外の3人に魔法を放って吹き飛ばし陣形を崩すとバストラーゼは馬上から大槍を突き上げようと大槍を動かした
カストルフォスを倒した男は無詠唱で謎の魔法で放ち大槍にヒビが入ると一瞬で粉々になりライアードが俺を離して一瞬の間で馬の脚と首を切り落とすと馬は崩れ落ちライアードはバストラーゼに向けて拳を突いた
俺はその間に動こうとするがバリスに足で地面に押しつけられた
ザスッ!!!!!!
「ごばっ!!!!!」
バストラーゼの腹にライアードの拳が突き刺さりライアードは一瞬でバストラーゼを凍らせる
「殺す価値もない」
「バストラーゼさん!!」
カストルフォスは怒りを露わにしてライアードに向かって拳を振るうがライアードが放つ氷の弾丸で頭を狙われカストルフォスは腰に力が入らなくなった
「う、うぐっ………」
「ライアード、この子はまだ子供だ。殺さないでおこう」
「………念には念を、という言葉を知ってるか」
ライアードは崩れ落ちたカストルフォスに向けて氷の細剣を見せ腕を引いて突こうとした
すると謎も魔法を放つ男はライアードの腕を掴みライアードを睨みつけた
「やめろ」
「………戻るぞ」
ライアードがそう言うと謎の魔法を放つ男は魔法を使い俺を含めた5人は光に包まれ空を飛び宙を飛んで何処かへ向かって行った
俺は氷で腕を凍らされその光の中で座らされる
「お前が魔術師殺し、エディと言ったか」
「俺の名前を言うんじゃねえ、俺がお前をどれほど憎んでここまで来たか………」
「なら殺そうとしてみろ」
そう言われると拘束は解かれ俺は立ち上がり腰に下げた刀で切り掛かった
ライアードは俺の横にいた
あの一瞬で、今さっきまで目の前にいたはずなのに、もう俺の横にいた
「お前が殺した他の6人、奴らは雑魚だ」
「何故なら我ら4人は500年に渡ってずっと維持し続けているからだ。あの時、デットの時でも痛手を喰らわされたがお前程じゃない」
「じゃあなぜあの場で殺さなかった」
「強いからだ、貴様に魔力を流し強制的に魔術師にさせる。そしてこの世を作り変える、お前の思想に腐った民衆を」
数時間後
窮地の最中、ボレアスバレス達が裏から攻め砦は奪う事ができ拠点となった、しかし他の砦とは比べ物にならない程犠牲者が多数出た
バストラーゼは度重なる回復魔法で無事復活し歩ける程度になり数日すれば復帰できるのだとか
だが魔術師殺しを失った今、民衆の支えとなる魔術師殺しが失われたと伝えられずどうするか議論になっていた




