第64話戦慄の竜巻ビビアン
獣人の女は生まれ付きの身体能力を活かして一気に距離を詰め風で作った鉤爪を向けて飛び掛かった
俺は頬に切り傷が付きながらも間一髪避け地面を転がり体勢を立て直して剣を構えた
いない……!?
俺に飛び掛かった獣人の女がいるはずの場所に女は居なかった
透明化出来る魔法か?それとも擬態?こんな瓦礫がまだゴチャゴチャしてる場所に隠れられたら………
頭上に妙な音がして顔を上げる
そこには風魔法を巧みに操り風の壁を作って蹴り飛んでいる獣人の女がいた
すると女は自分の頭の上に壁を作り体勢を変えてその壁を蹴り物凄いスピードで近づいて来た
「オラァァア!!!!!!」
女は声を上げ俺は大剣を構えて防御体勢に入った
ズドォォォン!!!!!!!!
大剣のおかげで鉤爪の斬撃がズレて右の鉤爪は俺の肩に刺さり左の方はすぐ俺の頭の横の瓦礫に突き刺さった
俺は獣人の女の右手首を掴むと大剣を離して脚に付けてある短剣を取り出し女の首に向かって振り翳す
獣人の女はそれを察知して俺の手を振り解き後ろに飛んで距離を取ろうとするが既に遅く俺が振り翳した短剣は女の胸を切り付けた
「ギャッ!!!!!」
女は急いで距離を取ると俺の観察しながら俺の周りを歩き始めた
俺は大剣を手に取り肩の痛みに耐えながら構える
「意外に弱いな、もっと強いかと思ってた」
「俺が殺した奴らは皆んなそうやって油断して死んだ。相手が魔術師じゃないからって舐めるなよ」
「仲間を5人殺されてるんだ、舐めてない」
獣人の女は踵に暴風を取り付け地面を思いっきり風の勢いで押しまるで瞬間移動したみたいだった
一気に俺の目の前に現れた女に俺は攻撃が出来ずただ女の攻撃を受け続けるだけ
「くっ……!!」
こんな足場の悪い場所じゃ戦えない!それに奴は空中で体勢を変えれる、足場の悪いここでも上手く戦ってくるはずだ!
そう考えていると獣人な女は妙なポーズを取ると手の平や足の甲から風を生み出し回転しながら俺の頭上に飛び鉤爪を振るって俺の背中を無数に切り付け背中から血が吹き出した
「あがっ……!!!」
獣人の女は追撃として俺の傷だらけの背中に蹴りをお見舞いし俺は吹き飛ばされ瓦礫に埋もれた
土埃が立ち込めそこに獣人の女がやって来る
「何処に行ったんだ?」
奴は魔術師じゃないから私みたいに風魔法を使って逃げれないし瓦礫に埋もれたとしたら大量の血の匂いで分かるはず……
獣人の女は周りや地面を嗅いで俺の居場所を見つけようとする
一向に分からない、血の匂いはするが少量の血
「モグラみたいに地面掘って遠くに行っちゃったのかな?」
獣人の女が頭を傾げているうちに俺は瓦礫の隙間から腕を突き上げ女の足を掴んで瓦礫の中へと引き摺り込んだ
引き摺り込まれる道中女は瓦礫の突起で全身に擦り傷や切り傷ができそして突如地中に引き摺り込まれたせいでパニックになっており瓦礫の下の空間は少し広くて空間になっていた
俺は女に向かって拳を振るい顔を殴り飛ばす
「ふぎゃっ!!!!」
二発目を喰らわせようと拳を振るったが避けられ鉤爪が俺の顔に向かっていた
ザグッ!!!!!!!
俺は鉤爪を自ら手の平で受け止め鉤爪は手の平を貫通していた
女は焦って左の鉤爪をまた突いてくるが右手の手の平を犠牲にして受け止め鉤爪は手の平を貫通した
「い、イカれてるのか!?そんな事しても拳は使えないし、魔法が使える私の方が………」
俺は額を女の鼻に向けて振り下ろした
ドスッ!!!!!!
「イタッ!!!!!」
女の鼻はひん曲がり明らかに鼻が折れているのが分かり鼻血が大量に出ている
「俺がなぜ、お前らを殺すか知ってるか!?」
ゴンッ!!!!!
「や、やめてッ!!!」
俺がガッシリと女の拳を握っているせいで鉤爪は引き抜けない
頭を振り下ろし額が女の折れた鼻にぶつかり鼻の怪我は悪化する
「ライアードって奴が俺の家族を、家族同然の人達を殺し俺を地獄へ送りつけたからだ!!!」
頭を振り下ろし女の鼻に額がぶつかり引き離すのと同時に女の鼻に噛みつき引き剥がした
「うぎゃぁあああ!!!!!!」
何度も何度も自分の肉体が弱くなっているのを否定するように、アストレア達と一緒にいるせいで自分の復讐心が薄れていっている、今まで感じてきた怒りが薄れていくのを否定するように、俺は奴に復讐心を込めて攻撃した
悲鳴と助けの声、様々な声が聞こえるがいずれか聞こえなくなった
「あああ!!!!!」
弱っているがまだ力が入っている女に鉤爪から引っこ抜いた右拳を女の顔に喰らわせた
べっちょりと血がこびりつき指に食い込み張り付いているのは女の歯だった
「ぉ、お願い……もうやめる……もう悪い事しないからぁ………!」
いつから自分は甘くなってしまったんだろう
この言葉を聞いて瞬間殺す気が少し失せた
俺は落としてしまっていた大剣を持ち上げ獣人の顔に向かって木の実を擦り潰す動物みたいに、俺は大剣を女の顔に向かって突き刺し何度も突き刺した
「………」
こうして瓦礫の下に埋まっている人達を助ける暇なんかない
俺は自分の復讐を果たさなくてはいけない
俺は大剣を背中にしまいイミシェルから隠れて立ち去りアストレアの所には戻らず去って行った
そうして数時間後、地図を確認しながら辿り着いたのは港町
バーラス島国はバケストラ王国近くの離島で船でバケストラ王国へ戻り準備を整えてローバの所に向かう
ローバは情報を持っているだろうからまた手を貸してもらおう、あんなヤツみたいのとは一生手を組みたくないがそうならないよう願っておこう
そうして俺は船に乗り込もうと切符を買って向かおうとしている時
目の前にはミアがいた
「エディ……?」
「ミア、どうしてここに!」
俺が驚き後ろに一歩下がってしまう
ミアはそんな俺に向かって抱きついて来た
「い、イミシェルが飛んで行ったからここにいるかなって思って……イミシェルは無事なの?」
「………ああ」
「よかったー、それでエディは港町に何しに?」
ミアは離れて少し崩れてしまった髪をいじり始めた
「あっ、わかった!包帯とか消毒液買いにきたんでしょー?折角こうして再会できた事だし、私が奢ってあげるよー!」
「アストレアにはしっかり怒らないと、幻術かけて来たんだよ?」
「………俺はもうアストレアとは会わない、お前ともな」
「え……なに、いきなり?じょ、冗談?」
「俺は十騎士を殺しに行く、お前らがいくら止めに行こうが俺は殺すのはやめない」
「人殺しだよ?絶対ダメだよ!死んだ皆んなもこんなこと望んでないって!私、私はもう諦めたよ……こうやって私みたいに潔く諦めれないの?」
「お前の妹がどうやって死んだか"具体的に"知ってるか?」
「……いや」
「お前の妹は犯されて死んだ、あんな幼いのに、それを聞いても復讐しようとは思わないのか」
「ッ………!!!」
初めて聞いたのだろう、アフライトの奴も悪趣味とは言わないが真実ぐらい教えてあげればよかったのに
「そ、それでも、私は……復讐はしない」
「そうか」
俺はミアの横を通り過ぎ言い残したことを思い出した
二度とミアが追ってこれなくなるように
「ミア」
「………なあに?」
「俺はお前の事が好きだ、でも答えられない。だからもう、側には立てれない」
「………うん」
俺が存分に復讐できない理由が分かった
愛する者がいるからだ、父親もきっと愛する者ができたせいで族から追い出されたのだろう
ミアの目からは涙がボロボロ溢れていて可愛らしい顔はぐしゃぐしゃになっていた
もうこれできっぱり断った
あとは楽に復讐できる
そうミアが崩れ落ち泣く後ろ姿も見ずに俺は荷物を片手に船に乗って俺はこの場から去って行った




