第57話激戦の森
ルーピンの事務所みたいな汚い部屋からまた一階と上がった部屋にてアストレアが風呂に入っている間俺はホコリが被っているベットのシーツを払っていた
「ふぅ………エディ、ホコリ払うの手伝ってあげようか?」
アストレアはこの薄汚い家の風呂に入り終わったからかパジャマ姿で出て来た
「別にいいアストレア、それに…お前も長旅で疲れてるだろ。俺はこういう薄汚い生活1年間ぐらい続けてたんだ、お前は手伝わずに寝とけ」
アストレアは俺の頭を叩き腰に手を当てる
「魔女はあまり寝ないの、だからエディは気にせず私をこき使ってもいいんだよ?てかなんと言おうと私は手伝うからね」
「いきなりなんだよ、バーニスが入ってからお前なんか変だぞ」
俺は少し休憩しようと立ち上がり腰を鳴らす
ふと壁に立て掛けてある鞘に入った大剣が目に入る
俺の武器、俺の、俺のこの大剣はアイツに、竜人族に通用しなかった
「なあアストレア、風呂は今バーニスが入ってんのか?」
「多分?」
「ちょっと前に言ったが明日あの森に向かう、十騎士を相手にするんだから連携も取る必要も出て来る、だから聞きたいんだが何故バーニスを嫌うんだ」
「私がアイツを嫌う理由?そんなの決まってるわ、アイツ、だって闇魔法使いだもん」
「それがお前となんの関わりが?」
「魔法を熟練してる人はその人が主に使う魔術って言うか、そういうのが大体分かってくるの。バーニスの両親が闇魔術を使っていると言う事はバーニスも闇魔法使いって事はバーニスは異端審問者って事、私達魔女とは一生対立してる存在。だから嫌い」
「無理にとは言わねえけど連携取れるぐらいには仲良くなっておけよ、アイツも悪い奴じゃなさそうなんだから」
「考えとく」
反抗期の娘持ったみたいだ
いつも剣を握り締めて擦り剥いている手に巻かれてある包帯を変えアストレアに渡された塗り薬を塗り直しまた包帯を巻く
「エディ、お風呂が空きましたわ」
部屋に入る扉からバーニスが入って来て言った
「わかった」
俺は風呂に向かう途中でバーニスの耳元で囁いた
「誤解されてんのか俺は無知だから知らねえけどアストレアとは仲良くなっておけよ」
「お友達になりたいですけど……アストレアちゃんが……」
「アストレアにも言ってるし、あとはお前らが頑張るだけ」
「友達関係にまではならなくてもいいから話す程度にはなっとけよ」
「は、はい」
そして俺は風呂へと向かったふりをして外を出た瞬間部屋の扉に張り付いて耳を近づけ2人の会話を聞いていた
「あの……お一つだけ、お願いしてもよろしくて?」
バーニスがベットのホコリを叩き落とし終わったアストレアに言った
アストレアはバーニスの言葉を無視して俺が寝ようとしているソファーを魔女の力を使って念力のように動かす
扉のステンドガラス越しからこっそり気付かれないように覗く
ボヤけてはいるがアストレアは無視した罪悪感で数秒無視した後、バーニスの方を見た
「なに?話って」
「明日は十騎士を殺害しに行きますわよね、魔術師殺し様であるエディ君の足手纏いになってはダメですわ」
「少しお話し、いえ、お友達になりましょう」
「な、なんで異端審問者であるあなたと……!」
「私が家出をした理由はご存知で?」
「………いいや」
バーニスはアストレアに一歩近づき手を取った
「魔術師殺し様に会いたくて会いたくて仕方がなかったからですわ」
「それが……」
「魔術師殺し様を拝んでいる方々は今や異端審問対象でございますの、私の覚悟がお分かりになられましたか?」
「………どうしてそんなにエディに近づくの」
「だって、だって心からエディ君の事が愛しておりますもの」
「………まあいいけど、私もエディが死ぬ未来を見てから神経質になっちゃって、だからその……私の血筋の敵でもあるからキツく当たっちゃった」
「大丈夫ですの………エディ君が死ぬ未来?今、そうおっしゃいましたか?」
「ゲッ……!!」
俺は耳を扉から離しアストレアとバーニスの仲が深まったのを確認してから風呂へと向かった
そうして翌日の朝を迎えた
「森はここから北に向かったらすぐ分かる、アストレアさんを頼りに魔力災害の原因の場所を突き止めたら十騎士がいるはずだ」
「わかった」
俺はルーピンと別れを言った後、アストレアとバーニスと共に地下から外へと出た
どうやらアストレアは莫大な魔力量のおかげでこの魔力災害の影響を受けない、しかしバーニスは至って普通の魔力量なのでアストレアから離れるとあのように症状が出てしまうらしいから気を付けろと言われた
3人固まって行動するのは少々難だが頑張って乗り切るしかない
一様新聞では3人以上が捜索しているようだし作戦ではもし2人以上いれば奇襲を仕掛け1人はアストレアの魔法で罠にハメもう1人は俺達で囲って倒す事にした
そうして昼となり森へと辿り着いた
「雰囲気あるな」
この周辺は雨が降りやすく魔力の影響も受けているのか霧が物凄く濃くなっていた
奇襲するにはうってつけの環境だ、それにこっちには魔術師が2人もいる
十騎士とやり合うには十分過ぎる
「じゃ、私が先頭進むから……これ持ってて」
アストレアはバックから何かを取り出すとそれは至ってごく普通の手に包み込めるサイズの石だった
「なにこれ」
「私の魔力が込められてあるからもし戦ってる最中に逸れてもある程度の時間までそれが魔力災害から守ってくれるわ。込められてある魔力が無くなっていくほど石にヒビが入って割れる仕組みだから、時間には気をつけて」
「はいよ、バーニスも準備出来たか」
バーニスは咳込み注意を惹きつけた
「わたくしからも一つ」
バーニスが俺に渡して来たのはアストレアの方向を差し続ける方位磁針だった
「闇魔術ですわ、エディ君がもし逸れたとしても、それを頼りにアストレアちゃんの元に戻って来れるようになっておりますの」
「ありがとう」
方位磁針を収納できる場所に入れ石は左手に握りいつでも確認できるようにした
そしてアストレア、俺、バーニス、この順番に並んでアストレアから先頭に森へと進んで行った
アストレアの魔力を察知する力で十騎士がいる方向へ歩いて行く
そこには土を踏み締める音しか聞こえなかった
「エディ!」
アストレアが大声を上げ俺は身構えるが背後から来る雷の矢を避けれず喰らい吹き飛ばされてしまった
「エディ!」
「エディ君!」
濃い霧のせいで俺はすぐアストレア達を見失ってしまった
「アストレア!」
霧の向こうから人影が見え声を掛けるとそれはアストレアとは違う人物だった
醜い姿をしていて顔は無理矢理繋ぎ止め爛れている
「魔術師殺しィィイ!!!!!」
静香は刀を引き抜き青白い不気味な雷を纏わせ刀を振るう
「お前に!お前に全部壊されたッ!!!」
「私の顔を返せぇ!!」
俺は地面を転がって攻撃を避け距離を取り大剣を引き抜いた
「あの2人の死体を目の前で燃やしてやる!!お前が私にした恨みを!何倍、何十倍にして返してやる!!!」
静香は手元に巨大な雷で出来た大槌を作り出し俺に向けて振り下ろした
ドンッ!!!!!!!!
俺は大剣を構えてガードし受け止める
剣を通じて電気が流れて体中が熱くなり激痛が走る
今にも意識が吹き飛びそうだ……!!
俺は静香の怒りをそのまま受けているような感覚に陥った
「はあっ!!!!!」
静香は再度俺に向かって大槌を振り下ろし俺は走って攻撃を避けた
「なぜそんなに怒る、お前が今まで俺達みたいな人間にしてきた事よりか、何百倍もマシだ」
「お前らみたいな下等生物を……私達のような力の持ち主と同じ土俵に立たせるのか!!?」
静香は雷を操り大槌を鎮めそのエネルギーを俺に放出した
「ぐあっ!!!!」
雷は俺の全身をしつこく絡むように纏わりつき鎧を通り抜け肉体に火傷を負わせた
「ぐあぁぁああ!!!!!!!」
全身から湯気が出て俺を強く苦しめる
静香も疲れて来たのか息切れを起こし膝を着いて雷の攻撃をやめた
俺は空を見上げ視界が揺らいでいるのがわかる
意識が一瞬飛びそうになり俺は地面に向かって倒れ震える足腰を大剣を杖代わりにして無理矢理立ち上がった
「死ねぇえ!!!!」
静香は俺の顔に向かって拳を振るい殴り飛ばした
流石魔術師、身体能力を強化しているおかげで体重が倍以上ある俺を軽々と持ち上げ地面に叩きつけた
そして静香は雷の電撃を俺に浴びせた
「生きたまま!!!焼き死ねッ!!!!!」
もう力が出ない
「死ぬ前に教えてあげるわ!お前みたいな人間がなぜ生かされるのか!」
「私達の金やおもちゃになる為!"お前の両親もさぞ間抜けな死に方をしたに違いない!!!"」
「お前は復讐をする為に私達を殺してるんでしょ?そんなの、殺された人達に何になるの?現実を見なさい!!!!」
「ああああああ!!!!!!!」
俺は静香に飛びつき口の中に拳を突っ込み前方の歯を殴り歯は衝撃で抜け血が溢れ出す
静香が後退りをしてショックを受けているうちに俺は静香の首を締め馬乗りになって地面に押さえつけた
「確かに俺は負け犬だ………そんな俺に負けるのはどんな気分だ?」
「俺みたいな弱い"下等生物"をこうやって苦しめてきたんだろ!!」
静香は拳に雷を纏わせ俺の横脇を殴りどうにかして首から手を離させようと抵抗する
「ぅぅぅぅ…………!!!」
静香の攻撃が弱くなってくる
俺は返事を返すように締める力を強め静香の顔はどんどん紫になっていく
「楽しかったんだろ!!!」
静香の手が垂れ落ち白目を向いて舌を外に出しぐったりとした
俺はトドメを刺す為に静香の顔に拳を何度も振り下ろし鼻と口部分が陥没し血が吹き出す
「今度こそ、お前は死んだ」
そして俺は手放してしまった大剣を掴み渡された方位磁針を使ってアストレアがいる方向へ歩き出した




