第50話襲来
父親との食事を終えた後、俺は家に戻り水で体を洗い流すと眠りについた
今頃ビーストが何をしているのかは知りたくないが奴がやっている子供を兵器として産む行為
奴が言っていたこの戦いが終われば我は貴様と殺し合う……
俺はアイツを殺して子供の兵器化を止めなければならない
「今は寝よ……」
これ以上考えれば眠りにつけれないと思った俺は何も考えずに目を瞑って眠るのを待った
朝方、一向メイデン達はこの島国の近くガーディアン帝国へ辿り着いていた
「うっ……吐きそう………」
メイデンは船を降りると屈んで地面を見つめる
「まさかあのメイデンが船酔いするとはな。ミア、何か薬持ってないか」
「薬ー?そんなの高くて持ってないよ」
「マジか、アストレアって薬調合したり出来る?」
「材料があったらね、ゼロから作り直す事は無理」
メイデンは涙目になりながらも俺の肩を使って立ち上がった
「メイデン、俺の肩に吐かないでくださいよ?」
「イミシェル……それはないから…安心、して……」
メイデンは俺の肩から手を離し震える脚で先頭を歩き出した
するとジミーが魔法で冷えている水が入った袋をメイデンの手に握らせる
「一回水でも飲んだらどうだ?気分が良くなると思うぞ」
「そうするわ……」
メイデンは水を一口飲みジェイクはメイデンのバックに入っている地図を取り出してメイデンの代わりに先頭を歩き出した
それにしてもここ、ガーディアン帝国は蒸し暑い
このままじゃ枯れて死んじゃうよ
「ジェイクー、どれくらいで辿り着くのー?」
「ビーストの故郷はこの帝国の外れにある島国だ、今から西に向かったら船があるからそれで行こう」
するとアストレアがジェイクの服を引っ張った
「なんだよちびっ子」
「ジェイク、ガーディアン帝国は世界屈指のぼったくり帝国よ、それだけ分かっててちょうだい」
「はいはいわかってますよ、アストレアちゃんはメイデンの体調見ててくださいね」
ジェイクは軽くあしらいジェイクの側にジミーが掛けついて地図と自分の居場所を特定し始めた
「ねえイミシェル、上手くいきそう?」
「絶対無理。俺空飛べるから方角はしっかりと理解してるけど……」
ジェイクは指を差し北へ向かって行った
「………メイデンがいなかったら今頃絶対死んでた」
「だろうね」
そして場面は変わりガーディアン帝国の外れの島国
木の上の家からビーストが出て来た
「んっ……」
腕の包帯を外し全体を確認する
中指と薬指の間からバッサリと裂かれた傷が走っておりその跡は肘にまで伸びている
しっかりと拳を作り何度確かめても傷は開かない
ビーストが向かう先はここの集落の人々が使っている武器庫
そこにある大槌を手に取り外に出てブンブンと振り回した
「いけるな」
そんな静かな朝にビーストは邪悪な気配を感じた
ビーストはその方角へ歩いて向かい集落から離れた場所に2人の男女が向かっているのがわかった
土を操る赤毛の髪を結んだ魔術師リーベルトと水を操る水色の髪色の魔術師アクア
「十騎士か!よくぞ来た!」
ビーストが大声を張るとリーベルトは驚いた表情をした
「おいおいマジかよ!!聞いてねえぞ!!」
リーベルトはアクアの一歩手前に出て両手を広げた
「これはこれは、ビースト様じゃありませんか!」
「貴様ら、我々を殺しに来たんだろう?どっちとも名前は知っている、さっさと殺し合おう」
「へ?殺し合うだ?館襲撃時に大怪我してまだ2週間も経ってねえんだぞ?馬鹿言うな!」
ビーストは走り出し一気に距離を詰めリーベルトは魔法を発動させ身体中に土の鎧を覆い顔を殴り飛ばされた
リーベルトの兜は砕け散り鼻血をドバドバと出しながら鼻を押さえる
「イッテェ!!クソ!身体魔術でも強化してんだぞ!?俺が鼻血を出すわけねえ!!」
「うるさいリーベルト、いくらアンタの硬い鎧でも効かない相手には効かないの」
「チッ!仕方ねえな、認めてやるよ。それにしても貴様の毛皮を商人に高値で売りつけるのが楽しみだ」
リーベルトは途轍もない硬度を誇る土の鎧を体内から無詠唱で作り再度体に鎧を覆った
「最強の傭兵!ホワイトライオン!!」
リーベルトは走り出し肘に硬く鋭い土のブレードを生やしてスライディングしながらビーストの膝を切り付けた
ビーストは受けた様子を見せず大槌をリーベルトに向けて振り下ろしリーベルトは避け大槌は地面を破壊しリーベルトは転がりながら体勢を立て直した
「流石猛獣の皮だ、切れやしねえ」
リーベルトが肘に生やしたブレードはポッキリ折れてしまっていた
そしてビーストは休む暇も与えず攻撃を繰り出す
「はあっ!!!!!!」
大槌を振り回す度に大きな風を切る音がして生身で当たれば一溜りもない事が実感できる
「そんなに!振り回して……」
リーベルトは大槌の攻撃を屈んで避けビーストの腹に拳をめり込ませた
「ごはっ!!!」
「体力はいつまで持つかな?」
ビーストが腹を殴られ隙がある内にリーベルトは突っ込んだ
横腹を殴り顎に向かって拳を振り上げ殴り飛ばしてビーストは後退りする
そして横脇を殴って肋骨にダメージを与えズンズンと長く続く痛みを与えた
そうやって争っている内にアクアは見えなくなり森深くに入って行った
「こんなのが最強の傭………!」
リーベルトが飛び上がり拳を合わせてハンマーのように振り落とした瞬間ビーストはリーベルトの脚を掴み何度も地面に叩きつけ最後にビーストはリーベルトの腹を踏み潰す
「げひゃっ!!!!!!!」
リーベルトが目を開けると目の前には大槌が見える
「ま、マジか………」
そして全身全霊で振り下ろした大槌はリーベルトの胸を抉りリーベルトは衝撃で跳ね上がった
「ブブゥゥウ!!!!!!!!」
口から血を噴水のように噴き出して情けとしてビーストは膝を着いて態々目線を下げてまで言う
「中々いいパンチだった、だがな」
殴られた横腹や一番痛かった脇腹の殴られた箇所を見せた
内出血しておらずなんなら見た感じ痛くもなさそうだった
「貴様はたまたま無詠唱が使えて姉が十騎士と言うだけで入団できた、ただの"ミミズ"だ」
「必死に動いて体に土を纏い強者の餌となるだけの弱者」
「我に殺される事を光栄に思え」
ビーストが手を尖らせ爪で一気にリーベルトの胸を貫こうとした
すると背後が当然光りビーストが振り向く前に避けようと横に向かって飛び上がろうのすると球体の水の檻に閉じ込められビーストは息が出来なくなってしまった
「リーベルト、平気?」
「姉ちゃん助けるの遅いって……」
アクアが唱えた魔術はビーストは為す術なくいくらもがこうが水の檻からは逃れられない
「えっと、まさかホワイトライオンが魔術師殺しだったの?」
「いいや、前に暗闇の中で見えてたが2人いた、まあ姉ちゃんの方が正しいかもしれないけど」
「まあいいや、とりあえずビーストを捕獲した事だし、一旦王国に帰って報告しよ」
「そうするか」
2人がビーストの方を見るとビーストはグッタリをしている
「出さなくてもいいの?」
「あの最強の傭兵なんだから大丈夫でしょ、逸話だったら心臓を貫かれても生きてたみたいだし」
「なら………大丈夫?」
そうして2人の十騎士はビーストを水の檻に入れたまま持ち帰り時間は夜になってしまって森の中で焚き火を起こし一夜を明けようとしていた
「私は焚き火の側で寝るから」
「見て見て姉ちゃん」
リーベルトは土を操りベットのような物を作り上げた
そしてそこには適当な雑草を敷き詰めて下敷きにして寝転がる
「魔大陸のベットみたいだけど無いよりマシだな」
「私にも作ってよ」
「えー?しゃーねーなー」
リーベルトは同じ物を作ってあげ雑草を下敷きにしてアクアは寝転がった
「うわー、本当に魔大陸のベットじゃん」
「だろ?」
そうしてリーベルトはあくびをしてアクアより先に寝てしまった
俺はアクアが寝たのを確認してからゆっくり忍び寄る
大剣では振り下ろす時に十騎士で歴戦の魔術師、些細な音で勘づかれてしまうだろうから短剣を引き抜き俺はアクアの胸に向かって短剣を振り下ろした
グサッ!!!!!!!
「キャァァアア!!!!!!」
アクアは悲鳴を上げそれに起きたリーベルトが地面の土を操り俺を殴り飛ばした
「姉ちゃん!」
リーベルトはすぐさま怪我をしているアクアに駆け寄った
「わ、私は平気…!だから早くアイツを!」
リーベルトは俺を見て全身に土の鎧を覆った
奴は無詠唱魔術師なのか!?
俺は大剣を引き抜き構え走り出した
「1人で2人を殺そうとは!なんて間抜けな奴だ!!」
バシャン!!!!!!!
するとビーストを閉じ込めていた水の檻が破裂して戦闘不能だと思っていたビーストは元気ピンピンで走って来て怪我をしているアクアを投げ飛ばすとリーベルトを無視してアクアに向かって行った
「姉ちゃん!!」
「よそ見するな!!!」
俺は大剣を振り下ろしリーベルトは避けようとするが大剣によって肩当てを斬られそのまま肩の肉を削がれてしまった
「ぐあぁぁあああ!!!!!」
俺は魔術を作る暇を与えず間合いを詰めた
「はあっ!!!!」
大剣を薙ぎ払いリーベルトは土を操って防御するが衝撃で弾き飛ばされ大木に着地し飛び跳ねて突っ込む
俺が奴と目を合わせた時には既に肩当ては修復されており目には痛みで出た涙が流れている
「姉ちゃんを、よくも!!!」
リーベルトは俺に向かって突き進みながら拳を突き出し俺はタイミングを合わせて大剣を振り下ろした




