第5話ゴブリンの巣
時刻はお昼より少し前となり俺は肝心な卵を買い忘れてアフライトの家へ帰って来た
そして男から貰った手紙はポケットに隠してアフライトの家の玄関を開ける
「ただいまー」
「おお、おかえりエディ。卵は買って来たのか?」
「近くの町に寄ったけど主婦の人達が集まってて……」
「そうか、それは災難だったな!」
アフライトは笑いながら俺の肩を叩き言う
「エディもうお昼だ、飯にしよう」
「いただいていいんですか?」
「当たり前だろ。お前とあの子はもう俺の孫みてぇなもんだからな」
「アフライトさん……!」
俺一生アフライトの兄貴についていきます!
兄貴じゃなくておじいちゃんか?
「ほんじゃあ俺は飯の支度するからミアを呼びに行っててくれ」
「はい!」
まあ一生着いて行くって言ったって俺はあの男の人についていかなきゃいけないんだよな
どうやって訳を話そう……
なんだか何を話しても誤魔化し切れない気がする
とは言っても本当のこと伝えても断られそうだな
いや、無理でも俺の本気を見せればいけるはずだ
前世の時だって俺が親に土下座して家に長い間住まわしてくれたんだ、アフライトも両親と同じくらい弱いわけないがいけるだろう
そうして俺はミアがいる部屋へ向かう
向かう道中俺はポケットにしまってあった手紙を取り出し廊下を歩きながら読んだ
なんて書かれてあんだろ
俺は期待を高めて手紙を開けた
そこにはバケストラ王国と場所が書かれてあり共に住所番号らしきものも書かれていた
「ここに行けって?遠そうだし、あとで地図の本でも見ておくか」
俺はこう見えて無鉄砲じゃない計画的にやりたい性格なんだ、曖昧だけど
ミアを呼んで昼飯を食べたらまた出掛けよう
理由は本を借りに行く
それで許可が降りるはずだからそうしたら地図を見る
そんでバケストラとかなんとかに行くとするか
食費だとか馬だとか大変かもなー
そうして俺はミアがいる部屋の扉にノックをしようとした
待てよ?俺はまだ10歳だ、到底アフライトが許可を出すとは思えない
それにあの暗殺者の男、本当に信用出来るのか?あいつが暗殺者ってのは俺が知ってる
まさか殺す為に誘導しているのか?
そう考えると何もかも疑わしくなってきた
ああ!もう!!
どうせなにもしてなくても復讐は出来ない!そんなら死んだ方がマシだ!!
さっさと行動に移そう!
コンコンコン
「ミア、昼飯だぞー」
「はーい」
中から女の子の声が聞こえこちらに歩いてくる音が聞こえた
俺は廊下を歩き食卓の椅子へ座って待つ
しばらく待っていると横にミアが座って話しかけてき、またしばらく喋っているとアフライトが昼飯を持って食卓へやって来た
肉と野菜とスープとパン
俺の家庭にも出てたやつだな
『いただきます』
手を合わせて俺はフォークを使い肉に齧り付いた
そして食事をしながらアフライトが昔の冒険話をしながら笑い合う
俺が出て行ったらここは当然2人になり寂しくなるだろう
それは俺も同じだ
なんだ、いきなり行きたくなくなってきたな
「エディ、魔物って知ってるか?」
「……」
「エディ?どうしたの、具合でも悪い?」
「ん?あ、いや、ちょっとボーッとしてて」
「何の話だっけ」
「魔物だ、エディ知ってるか?」
「魔物なんか御伽話を聞かされたくらいで、存在してるんですか?」
「エディのお父さん冒険者なのに魔物について何も言わなかったんだろうね」
「確かに」
「まあそう良い思い出はないからな、父さんはお前には冒険者にならないで欲しかったんだろう」
「そうなんですかね」
「それでアフライトおじさんはなんでそれを私達に聞いたの?」
「実はここら辺にゴブリンの巣が出来てな、お前らが冒険者になるって言うんだったら手本を見せてやろうと思ってな」
ご、ゴブリンの巣だって?
こっちには女の子もいるんだし、ミア!絶対に断ってくれよ!?
「私、将来冒険者になりたいの!」
「じゃあ決まりだな、エディは?」
「折角の機会なので……」
ミア……
ゴブリン退治は今日の昼3時に行われる事となった
そして昼飯を食べ終わり3時近くとなる
俺とミアはアフライトに連れられて家近くの倉庫へやって来た
「いいか、ゴブリンの巣は洞窟だ。無駄にデケェ剣を振おうとすると壁にぶつかっちまう」
「だからこの片手剣を使うんだ。魔法の場合はまだ未発見の洞窟だとガスで爆発するかもしれないからな、それ以外でも洞窟探検する時は魔法は大体使われていない」
「私、お父さんの付き添いしたことあるから知ってるよ」
「エディは?」
「俺は一回もない」
「そんじゃあエディはミアに技を教えてもらえ」
アフライトがそう言い何故か俺に近づき膝を着いて耳元で囁いて来た
「今のうち、死体を見慣れておけ。それとお前の父さん、本当にお前に世界を見せたくなかったみたいだな」
アフライトは俺の肩をポンと叩いて立ち上がった
そうして俺達はゴブリンの巣である洞窟へ向かう事となった
アフライトの家は山に位置していてアフライトは長年ここにいるおかげか洞窟の場所はほぼ全て把握しているんだと
そして洞窟に向かっている途中草をかき分ける
その時にアフライトが持っている武器に目がいった
金槌のようだが尖っている
あれは戦鎚っていうやつか?アフライトのやつ、優しそうな見た目に反して物騒そうな武器を使うもんだ
そうして3人で草をかき分け進んでいるとアフライトが目指していたであろう洞窟に辿り着いた
洞窟の入り口付近には松明があって夜には目印になっているんだろう
それに岩の壁には看板も付けられている
"この先魔物あり"
そう書かれていて洞窟内は如何にも雰囲気醸し出していた
「アフライト、本当にここ入るんですか?」
俺は震え声でアフライトに言いミアは少し煽り口調で言う
「エディまさかビビってるの?ここで待っててもいいんだよー?」
「……ビビってねーし」
ミアの言い方に調子が出てきてる
こうして皆んなで魔物狩りをしているのが少し前を思い出させてるのかな
この調子で立ち直って欲しい
そう思っているとアフライトが笑って俺に言った
「エディ心配すんな!俺は一様シルバー冒険者だからな」
「ん?なにそれ」
「エディ知らないの?冒険者の階級よ」
アフライトは首から下げている軍人のドッグタグのようなペンダントを2枚見せた
銀色に輝いていて男心がくすぐられるな、かっこいい
確か2枚ある理由は1枚は遺体にそのまま、もう1枚は遺族に持って帰る為だっけか
するとミアは冒険者について知識を自慢げに披露してきた
「冒険者のランクは銅、銀、金、鋼に分けられてるの」
「このペンダントには所属しているギルド名か、所属していなかったら直々に言い渡される座右の銘が書かれてるの」
「へえ……待って、銀は下から2番目なんだろ?じゃあアフライトはあまり大したことないんじゃないのか?」
「銀の壁って言われてるほど銅から銀への昇格は難しいのよ!?」
「そうなんだ、じゃあアフライトは見た目に反して結構凄いんだな」
「見た目に反してってな、お前……」
「アフライト!さっさと洞窟に入りましょ!」
「……そうだな」
そしてミアは洞窟の入り口内に一歩踏み出した
それと同時にアフライトは俺の肩を掴み言った
「何故鋼が一番か知ってるか?」
「いいや」
「文字通り"鋼のメンタル"だ。この世界を全て知り尽くし全てのあらゆる差別に打ち勝って来た」
「持っているのは世界でも指の本数だけ」
「思ったんだけど、それって認識表なの?」
「これは軍隊みたいに認識表じゃなくてその冒険者の実力を表していて実力表って言われてる」
「このタグにはしっかりと鉱石が使われているからな、高く売れるんだ」
「高く売れるって?それってどういう……まさか!?」
「お前は大人みたいな頭してるからな、物凄く話しやすくて助かるよ」
「さあさあゴブリンを倒しに行こうじゃないか」
アフライトは最後まで言わなかったが多分あの実力表であるあのペンダントを殺して奪う盗賊がいるってことか
金の為や快楽の為に人を殺す………
ジミジミと心の底から怒りが湧き出しながら俺はゴブリン洞窟へ一歩踏み出した




