第37話バーの愛と酒の匂い
俺の怪我は完治してようやく退院できた
そしてあの時ローバが言っていた地下のバーまで修道女の格好をしているラッセルが直々に案内してくれるそうだ
そして俺は病院の前で待っていたラッセルに着いて行き東の王国桜道の風景を見ながら歩く
やはり既視感がある、名前もそうだがかなり俺の前世の生まれ故郷に近い
住宅街、商店街、様々な場所を歩き続け場所は薄暗くまるでこの場所を隠しているかのような不穏な地区へやって来た
そして路地裏へ入り虫達が死んでいる街灯がある先に地下に繋がる階段があった
「ラッセル、ルーピンは?」
「彼は疑われないようこことは違う王国に行きましよ」
「俺に何か伝える事があるとか、言ってなかったか?」
「うーん、特に何も言ってなかったですね。所であなたが入院していた時に私が渡した本、覚えてますか?」
「しっかりと読んだよ」
「その…恥ずかしいのですが、どうでしたか?」
「結構面白かった、特に冒険物が」
「それはよかったです!私の好きな本なんですよ!」
そして階段を降り終わる
見た感じ下水道の空間で臭いは酷く糞尿の臭いはしないがなにやら嫌な臭いが漂う
おまけには道の端にホームレスやテロリストが蔓延っていて治安が悪い
横を通り過ぎると睨まれ目をつけられている
そんな道を歩いていると照明があり扉の前にはガードマンがいた
「あそこです」
ラッセルは後ろを振り向いて俺の耳元に近づいて来た
「絶対にここについて外部に洩らしたらダメ、それとバーでの暴力は禁止です」
「わかりましたか?」
「わかった、絶対約束は守る」
そしてラッセルの後ろに着いていきガードマンの前に立つとガードマンは俺を睨みつけラッセルの事を見るとすぐ退いて扉を開けた
「行きましょう」
俺は扉を潜ってバーに入った
バーは至って普通で中にいる人間はゴールドの首飾りを下げている冒険者、歴戦の猛者達が蔓延っていた
「かなり凄い場所だな」
「ええそうでしょう?この地下バーは限られた人でしか入れませんから」
「ラッセルはどうやって」
「ローバ様に信用されて紹介されましたよ」
「俺をここに入れた理由は?ローバとは面識があまりない」
「ローバ様がある依頼を受けて欲しいそうで、それにあなたはあの噂の魔術師殺し、出会わなくても優秀な人材ということがわかってるのでしょう」
そしてラッセルが送った目線の先にはガチガチに武装している男の後ろにローバがいるであろう部屋に通じている扉がある
「私でもあそこには行く許可を得ていません、ですからあそこからはあなた一人で行ってください。もし失礼なことをすればその時は私はあなたを助けれません」
「なんでラッセルはあの部屋に入れなくて俺は入れるんだ?」
「私とローバ様は半年間の仲ですから、まだあなたの様に実力もなくあそこに入れるほど信頼されていないんです」
「なんだか聞いてすまないな」
「いえ、平気です」
そして俺は部屋に近づく
するとラッセルが肩を掴んで引っ張って来た
「決して本当に、無礼のないように」
「わかった」
歩き出し男の前に立つと男は俺を睨み一歩前へ歩んで距離を詰めた
「テメェがエドーか?」
「エディだ」
「は?そうなのか?まあいい通れ」
男は俺の背後に回り俺は扉に手を掛けると男は俺の耳元で小さく囁いた
「ローバ様には生意気な口をするなよ、かなり怖い女性だからな」
「わかってる」
そんな事言われると緊張して顔が合わせれないじゃないか
そして扉を開けるとそこにはボックス席があり座っているのはローバと短髪白髪の屈強なおじいさん、黒髪の女性の魔術師に大鉈を背中に携えている蛇人、胸と股が鱗で覆われていてほぼ裸の鉤爪がある女戦士と最後に身軽で金髪の美少年がいた
「よく来てくれたエディ、座ってくれ」
ローバは俺の顔を見て言い俺は大剣を壁に立て掛け空いている女戦士の横に座った
「では揃った事だし自己紹介をしよう。私はローバ」
ローバは黒髪の女魔術師の方を見て女魔術師はオドオドして度々頭を下げながら言う
「わ、私は、オリヴィアです。えっと、主に回復魔法や、身体を強化する魔法を使います、一生懸命サポートするので、よろしくお願いします……」
「えーっと、次は俺だ」
「俺の名前はガリウス、冒険者歴は長くて年寄りだがかなり腕は良いと思う。気軽に話してくれ」
「僕はエルド!魔術師で重力魔法を使います!よろしく!」
「次は私だ。名前はクリスタ、冒険者狩りだ」
「ええっと、私の名前はクリス、見た通り蛇人で旅芸人をしていました。戦力にはならないと思いますがよろしくお願いします」
「俺はエディ、えっと……よろしくお願いします」
なんだかぎこちない感じで自己紹介が始まりちょっとの間沈黙が起きた後、ローバが咳き込んで話を始めた
「私が6人を呼んだ理由は私が運営している廃墟である麻薬取引場にて一人の男が忍び寄り商売が出来なくなっている。奴とは話の場を設けたがどうやらその場から退くつもりはないらしい」
「過去にも2回、この依頼を受けた者がいたが報告はなく殺されている」
「兵隊とかはその事を聞いてるだろ、動いてないのか?それともやはりバレてしまうから任せられないのか?」
俺がローバの話を遮ってローバに聞くと周りの皆んなは背筋が凍りつき怯えるように俺を見た
「麻薬を取引しているのがバレてしまうだろ?だから兵隊の活動は金で黙らせている、まあそう長くは持たないがな」
「なるほど、だから信頼している俺達をって訳か」
「そう、話を続けると私はいち早く取引場を取り返したい。でも兵隊が駆け付ければ麻薬がバレ次第私は捕まるだろう」
「そして今から言う事が最も重要だ。君達が相手にするのは"竜人族"」
「!?」
その単語が出た瞬間、皆の表情が一気に変わる
楽しそうに思う者もいれば恐怖する者もおり考え込む者もいる
「その竜人族の男の名は"暴君"。かなり名が知れているだろうな、過去にはエレーミア神聖国を壊滅まで陥れレッドアイズが収監されている刑務所を脱獄した」
「だからこそ、君達を呼び任務へ向かって欲しいんだ」
「報酬は一人当たり金貨35枚」
「一生、何をやっても使え果たせない金額だ。皆、やってくれるよな?」
皆は顔を見合わせ凶暴そうな横にいる女戦士のクリスタは楽しそうにしている
「私は別にいいけど他の5人は?」
クリスタはそう言って足を組み俺の肩に腕を回す
そして白髪の老人や他の連中を見るとかなり考え込んでいて当然自分はこれを終わらなさければ外出禁止の魔大十騎士の静香を殺せない
それにコイツらが悩む理由も確かに分かる、このローバが雇うであろう冒険者はここにいる金の首飾りを所持している者が受けている
そいつらが殺されているという事は自分の命も危ないという事だ
そして皆んなは顔を合わせて代表に白髪の男が言った
「ああ、受けよう」
「場所は南門を出てその先にある森の奥地だ、集合時間は翌日の午後4時、場所はここのバーのカウンター前で行え」
「正確な場所は後日伝える。遅れる場合は連絡するようにしろ」
「では"エディ"以外全員解散しろ」
そうして俺以外の人達は部屋を出て行き帰り際に美少年のエルドが話し掛けて来た
「その大剣、まさか噂の魔術師殺し?」
そうクスクスと笑って立ち去って行った
この場には俺とローバ、二人だけになった
「それで、何の様だ」
「剣はしっかり振れるのか?」
「そんな事聞く為に呼び止めたのかよ」
「……もう一つある、部屋を貸してやる。好きに使え」
ローバは俺にその部屋の鍵を渡して来た
「ここの上に繋がる階段を登り10階の905室だ」
「ありがとう」
そうして俺はその部屋から出て行きラッセルと別れた場所に戻って来た
そしてバーの端っこにある非常階段みたいな場所に繋がる扉を開けて階段を上がる
1階、2階、そうして上がっているうちに外の音が聞こえ始め内装もしっかりとした高級感に包まれる
そして3階に向かおうとした瞬間だった
突如コルク抜きで使うドリルを頭に押し当てられそのままくり抜かれているような激しい痛みが襲って来た
「ッ………!!!」
声にもならない程の苦痛で叫び声が代わりに搾りかすみたいな声にしかならず俺は息を荒立てて階段から落ち地面に背中を打ち付けた
皮膚が引き裂かれて頭蓋骨がジリジリと割れる
俺は気付けば気を失っていた
「傷口が開いたのか……?だったら病院に行かなくちゃだな……」
目眩もなく吐き気もない
妙だ、普通、こんな頭痛なら何か途轍もない異常が起きているはずだ
「いいや、その必要はない」
そう頭から声が聞こえる
勝手に頭に入って来た奴でこの世で最も有名だと言っても過言ではない
あの男の声だ
「お前、何しやがった!」
立ち上がり顔を上げると壁に寄り掛かっている男がいた
「お前の視覚に俺の姿を投影しようとしたら、どうやら脳にかなりのダメージを負ってしまったらしい」
「幸い、物理的な傷は………」
俺は壁に寄り掛かっている短髪の男の顔に向かって拳を振るった
ズドン!!!!!
意識をする間もなく奴は消えていて俺は壁を殴っていた
「一体!?アイツは何処に!?」
「ここだよ」
デットは俺の肩に触れ俺は振り返る
「目の前にいる俺はそこにはいない、幻覚みたいなもんだ」
目の前にいたデットは突然消えて階段の上にいる
消える瞬間は確認出来ず苛立ちと不思議な気分になる
「お前もこっちの方が対話してる感じがしていいだろ?」
「………今さっきの頭痛、かなり痛かったぞ」
「これっぽっちも我慢出来ねえのか、人類弱体化計画でも進んでるのか?」
「うるさいな、バイキンめ」
「チッ、今夜お前がラッセルとヤッてる間、クソみたいに邪魔してやるよ」
俺は無視して階段を上がりデットの体を突き通って10階にある部屋へと向かった




