第33話酒臭い奴
「はーあ、結局誰もエディの情報なんか持ってなかったね」
アストレアとメイデンは休憩がてら町の喫茶店でケーキを食べながら雑談をしていた
「そうね」
「唯一当てがあるのはルーピンさんとバケストラ王国にいるラッセルさんだけ」
「ラッセルさん?」
「忘れたの?修道女の人よ」
「あー、あの美人な人?あの人、なんだか強気?があって苦手なのよねー」
「武道家って言ってたからね」
「修道女であり武道家って意味わかんねー」
メイデンは紅茶を飲んで私が食べているケーキを見続ける
「その苺ケーキ、私も頼もっかな」
「お好きにどーぞ」
メイデンは手を挙げて店を回っていた店員に言う
「すみません」
「はい、ご注文でしょうか」
そう話している間にアストレアは苺ケーキの隣に置いてあるりんごジュースを飲む
ジミーみたいに魂と関連づけられたら物があればエディの件は簡単なんだけどねー
魂の関連って言ってもエディって言ったら大剣だろうし、彼が置いてった物全部試したけど……やっぱり他のもあるかな?
膝を着いてストローを口に付けて吸い上げてジュースを飲んだ
それとメイデンの"あの記憶"
兵士がやったあの事は傷と共に消し去ったけど、メイデンに伝えた方がいいのかしら
流石にあなたはレイプされてた、だなんて言えるわけないし
そうしてアストレアは空を見上げた
魔女の私って大変
俺は本当に臭いソファーの臭いで目が覚めた
目の前には椅子に座っているルーピンがいて俺が起きるのを見ると近づいて紅茶をテーブルに置いた
「ルーピン、今日だよな」
「ああ、今日が世間を震え上がらせる大事件になる最高の日だ」
「そんで計画は?」
「ラクシャルは話した通り西の町にいる、奴は十騎士の中でも評判が悪く国民からの批難が凄くて最近よくここでヤケ酒をしているんだそうだ」
「そこの酒場には奴が十騎士になる前の仲間がいて夜中までラクシャルと騒いでいるんだとか」
「計画はまずお前は酒場に入る、中にいる仲間が邪魔だろ?だから……」
ルーピンはテーブルに小瓶を置いたが俺は手で押し退けた
「俺には必要ねえよ、そんな小細工なくても今までの俺の戦いぶりで俺の強さはよく分かってるだろ」
「確かに、お前の戦いっぷりはヤバかった。でも……」
「平気だって、俺を信用しろよ」
「分かったよ」
俺は異様な雰囲気を放っている小瓶を見て気になり始めた
「ちなみにこの小瓶は?」
「超強力なバイアグラだ、粉末だから酒場でばら撒けば仲間達は理性が保てなくなる、ただしこの粉末は空気に触れて15秒もしないうちに効果はなくなる」
「それは……面白そうだな」
ルーピンは俺が押し出した小瓶を手でまた俺の前に移動させて俺は受け取った
「奴は最初の犠牲者にしうってつけだ、なんせ国民の7割は解雇されてもいいと記載されてる。それと十騎士側からも冷たい目で見られてるしな」
「コイツをぶっ殺して"魔術師殺し"の幕開けをアイツらに見せつけようぜ」
「ああ」
そうして俺は準備し始める
寒さ対策の服を手で掴み背中にある大剣を隠すように着る
当然ルーピンも現場を見る為に服の準備をする
ルーピンはタバコを口に咥えて火をつけ吸い始める
「ルーピン行くぞ」
「最後にヤッた事はヤッたし、吸うもんは吸ってるし、飲むもんは飲んだ。失敗しても何も思い残す事はねえ」
「失敗?俺が?」
「殺した後だよ、警察が捜査を始め出す。お前の顔はわかってねえが一様指名手配の身だろ、捕まったら終わりだ」
「逃げ切るのは得意にだからそこら辺は安心しろ、一年ぶりになるかも知れねえけど」
「一年ぶりって、それは少し心配だな」
そうルーピンは笑いながら言い俺の肩を叩いた
この国から西に遠く進んだ町
時刻は朝から出発して駅馬車に乗り夕方近くになっていた
そして俺とルーピンは近くの例の酒場全体を見れる場所の宿屋の部屋を借りてラクシャルが来るのをただ窓から見るだけ
「エディ、どうだ」
「ラクシャルはまだ来てない、早くこの面白そうな小瓶を地面にぶち撒けたいんだけどな」
「随分気に入ってるじゃねえか、でも、ここで落とすなよ?割れたら俺達がムラっちまう」
「落とさねえよ」
窓から外を見続けて数時間
深夜になりお目当てであるラクシャルが到着し剛石と言われている事もあってか酒場の入り口を頭を下げて潜るぐらい背や体格が大きい
極め付けは体全体が尖っている石のようでタックルなんかされたらそのまま串刺しにされて肉なんか引き裂かれそうだ
身体を活かす魔術師は今までに数人相手にしてきたがあれは格段とヤバそう
「ラクシャルを見て怖気付いたか?」
「いいや」
そうして俺は立ち上がり壁に立て掛けていた大剣を背中に下げる
「エディ、ラクシャルを殺したら俺達がこの町に入って来た逆方向に向かえ、そこにあらかじめ俺が馬車を用意してある」
「それに乗ったら大回りして東の王国に行くぞ。理由はそこに魔大十騎士の一人雷鳴の静香がいる、一週間休暇を得て故郷に帰っているらしい」
「聞いた通りじゃあその女はかなりの男好きって聞いてる。とりあえず着いてお前がやるべき事は地下にあるバーに行く事だ」
「それにいるローバと言う女性に話しかけろ、お前に協力してくれる」
「あとは俺に出来る事は何もねえ」
「はいよ」
「後の詳細は馬車で話す」
「俺はもう馬車にいるからな」
「ああ」
そうしてルーピンは部屋から出て行き俺も少し遅れて部屋から出て行った
宿を出て向かう先は目の前にある酒場
ポケットにある小瓶を掴み酒場の扉前に立った
俺は扉を開けると十何人かが俺を一斉に睨み俺は全体に充満するように小瓶を部屋の真ん中に投げた
パリン!!!
「おい!ここはもう俺らが貸し切っ……」
俺は即座に扉を閉めて小瓶が割れ数秒後、男の心臓が高鳴り猛烈に性欲を発散したくなり始め股間が膨れ上がる
「な、何が起きてんだ!?」
「お前!!酒に何か入れやがったか!?」
男達が戸惑っている中、ラクシャルも同様の効果を得ておりカウンターを叩いて破壊し酒場の店主に文句をつけた
「い、いや、私は何も……」
「オヤジ!この小瓶のせいだ!あの男が投げた小瓶だ!」
「ん?」
ラクシャルは思いっきり粉を吸い目がギンギンに開く
「おおぉ、これは良い品物だな」
15秒経ったか
俺は扉を開きラクシャルと対面する
「テメェか、俺達にふざけた真似したのは!!」
「俺は魔大十騎士の一人!剛石のラクシャルだぞ!!!高潔で!お前らみたいな農場にいる草みたいにフラフラ風に揺らいでる雑魚じゃねえんだよ!!」
そうしてラクシャルは俺に向かって突進し闘牛のような姿にまさか突進してくるとは思わず横に飛んで避けるとラクシャルはそのまま宿屋に突っ込んで行った
「………殺せ!!!」
ラクシャルの仲間達は椅子から立ち上がり俺に向かって剣を向けて歩いて近づいてくる
一人の男が遠くから酒瓶を投げ俺はキャッチして横にいた男に投げ頭に当たると酒瓶が割れて酒が地面にばら撒かれる
「こっち向け!!!!」
「オラッ!!!」
男は大斧を俺に向かって振り下ろし俺は懐に入って大剣で男の腹を突き刺した
「ぬべっ!!!!」
「はあぁぁぁあ!!!!!!」
俺は男を突き刺したまま大剣を振り回して遠心力で男を剣から抜いて吹き飛ばし男の仲間数人を巻き添えにした
「お、おい、大剣使いって事は、最近噂で聞く魔術師殺しじゃねえの?」
「馬鹿野郎!あんなん都市伝説に決まってらぁ!!」
「うし!!数人がかりで行け!!!」
男達は武器を持ち俺に向かって走ってくる
「スゥー………」
ゆっくりと息を吐き大きく息を吸うと同時に大剣を薙ぎ払った
ザンッ!!!!!!!!!
前方にいた男達数人の腹を大剣でぶった斬り上半身は宙に浮いて天井や壁に激突して垂れ落ちる
俺は全身血塗れになって口に入った血を吐き捨てる
「問題無しだ、ドンドン掛かって来い」
男達は怖気付き周囲を警戒している俺を見て壁に背中を押し潰すくらいにまで下がっていた
「コイツも魔術師かよ……」
「いや、魔物の類いだって」
「マジかよ!!に、逃げようぜ!」
男達が話していると酒場の外からドタドタと何かが走って来ている音がした
ズドォォォン!!!!!!!!!
酒場の入り口を破壊してラクシャルが俺に向かって突進して来ていて俺は咄嗟に飛び込みタックルの巻き添えを喰らわずに済んだがカウンターに寄り掛かっていた奴の仲間の男はラクシャルのタックルの餌食にされた
ラクシャルのタックルによって吹き飛ばされた仲間の男は壁に叩きつけられて脳味噌や臓物を出して蚊みたいにへばりついている
「マジかよ」
「ヌフゥー………」
ラクシャルはガダガダと激しい音を立てながら全身を覆う石を強化してより鋭くより強くより密着させ壊れにくくした
その姿はまるで凶器の鎧だった
「テメェ、さては最近よく聞く噂の魔術師殺しか」
「俺は他の魔術師みてぇに弱い奴って思ってんのか?思ってるんだろ!俺は皆んなから認められる凄い奴なんだ!俺は蔑まれる存在でもない!なのにお前らはちょっと問題を起こしただけで騒ぎやがる!!」
「ウオォォォオ!!!!!!!!」
「ムシャクシャしてきた!!殺させろ!!人を殺させろ!!!!」
ラクシャルは周りにいた仲間だった男達を向かって拳を振り回し腕に無数にある石に肉は突き刺さり引き裂き辺り一面血だらけになった
そうして周りにいる人間を破茶滅茶に無差別に殺した後、逃げ回って生き残っていた俺を見る
「ガアァァア!!!!!!!」
ラクシャルは鋭い石で生成した爪を使い腕をブンブンと振り回し壁を引き裂き俺を安易に近づけない
「ゴアァァア!!!!」
ラクシャルは地面に拳を突き刺しながら四足歩行で俺に向かって走って来た
闘牛かよ!!!!
俺は慌てて大剣を振り下ろしラクシャルの頭をカチ割ろうとしたが鋼鉄の岩にぶつかったように弾き返され俺はラクシャルにタックルされ吹き飛ばされた
そのまま酒場の木の壁を破壊して外に放り出される
「うおぉぉぉ………マジかよ………」
肋と背中が物凄く痛くそしてラクシャルの全身を覆っている尖った石の鎧のせいで胸が引き裂かれ血だらけだった
「にしても、マジでヤベェ奴だな……魔大十騎士って言う程あるよ………」
「ガアァァア!!!!!!!!」
獣のような咆哮が聞こえ俺は起き上がり酒場を見るとラクシャルは興奮剤を打たれたみたいに大暴れしていて酒場はバキバキにされてもう跡形もない
「魔術師殺し!!!!!」
そう言いながら俺に向かってヨダレを垂らしながら四足歩行で走って来た




