第31話二度と戻れない
「エディ、何をしてるのか分かってるの?どうしてこうなったの?私にゆっくりでいいから教えて」
俺だってこんな事をしたくない
けれど、俺は悪人を生かして罪を償わせるだなんて、生かせるだなんて。悪人は俺の手で、俺の目でしっかりと殺しておきたい
でもコイツらはそんな俺を止めに来る
出来れば傷つけさせずにコイツらから嫌われて離れたい
そして俺はアストレアに想いをぶつけた
「一年前、ジェイクは形見を取られ逆上し、盗んだ輩を半殺しにした。それも死ぬのより生きるのが辛くなる程にな」
「ジェイク、答えろよ、人を殺さないって言ってた癖になんであんな酷い事が出来るんだ」
「メイデンもだ。散々オーク共を殺しておいて、やっぱり皆んな悪人は殺すしかないって思ってるんじゃないのか」
「ここまで陥れたジェイクにも最初は殺そうとしてた」
「当然悪人で前まで俺と同じ考えをしていたメイデンは図星だろうな、今更正義ぶったってお前が殺し奪った物や人は戻らないとも思ってる」
「ジェイクも本当は分かってるんじゃないのか?悪人は殺すしかないって事」
「そんなわけないだろう!!」
「ジミーは?」
「俺は………」
「暗殺者だもんな、無駄な犠牲を避けてる癖に"悪人"であるターゲットは容赦なく殺す。これは殺していいぞ、あれは殺したらダメだ、でもこういう時は仕方がない」
「お前、人を殺す快楽を得たいから暗殺者やってるんじゃないのか」
「エディ、お前……!!」
「金の為。って言うんだろ、もうそういう言い訳は聞き飽きた」
「ほら、聞いたろアストレア。皆んなは殺すのに俺の時は殺すのはダメって言うだろ」
「俺は誰にも邪魔されず悪人を殺す、だから俺は邪魔する皆んなを傷つける」
「そうやって相手から離れさせようとしてるのね」
「俺は殺されそうになったのにお前らは殺すなだとかなんとかだとかいつもぬかしやがるだろ」
「お前らは俺がコイツが悪人だからと殺してもいいっていう自己中だと思ってる。でもお前らも自己中心的だろ?自分達のその価値観を人に押し付けてる」
「悪人には裁きを下し死んだ償ってもらうんだ」
「それにアストレアだって、ジェイクの仲間を殺しただろ」
「ええ、でもそれは間違いだってジェイクが気付かさせてくれたの」
「だからこうして人を殺めない為に兵士達を拘束してた。だけどそれをあなたがめちゃくちゃにした」
「お前、あの時俺を助けなかった方が良かったって思ってんだろ」
「いいえ」
「エディ、お前は復讐に縛られてる」
「俺はお前の師匠で一年間一緒に居たから分かる。お前に復讐は似合わない、こうやって前を向くのが似合ってる」
「……エディ、復讐なんて…やっても気は晴れない……だからもう無闇に傷つけるのはやめて………?」
そんな訳がない
あんな目にあったメイデンは俺の為に無理していて歩み寄ろうとしてくる姿を見て苛つき俺は挙げ句の果てにはメイデンを刺した
それに邪魔してくる友のジェイクでさえ俺は怪我をさせた
師匠であるジミーにも俺は酷い事をした
俺はここまで酷い事をしたのに、なんでアストレアは、皆んなはここまで……
「嘘つくな!!俺はお前らを信用できない!」
魔女と言っても魔術師だ
今考えればジェイクもメイデンもそう
俺は魔術師を恨んでいる
兄貴みたいなジェイクも元はメイデンをあそこまで陥れているしアストレアが人を殺しているのもあんなに優しいメイデンでさえも環境のせいとはいえ人を殺している
もしかしたら、コイツらは俺を油断させて俺を騙して殺そうとしてるんじゃないのか?
もう、誰を信用していいのか分からなくてなってきた
でも皆んなはああ言ってくれて、仲間のメイデンを傷つけてもまだ許そうとしてくれる程優しい
だけど、だけど………
「……いいか、俺は悪人を捕まえる気はない。殺して一生罪を償ってもらう」
「エディ!人の命をなんだと……!」
「邪魔するならお前らは死ぬだけだ!!!」
俺は走り出しアストレアに向かって大剣を振り下ろした
アストレアはまた俺を魔女の力で吹き飛ばすが俺は知っている
ジェイクやメイデンの側で見ていたから分かるが魔術師には決定的な致命傷がある
それは魔術師は魔法を使い過ぎると脳にダメージが負うと言う事だ
どういう原理かは知らないが相当な負担が掛かり時々鼻血が出ている
俺はアストレアに吹き飛ばされた後、着地した瞬間またアストレアの方に走り出した
「うっ………!!!」
「がはっ!!!!!」
するとアストレアは口から大量に血を吐き出し地面には小さな水溜りが出来た
「アストレア!」
ジェイクは駆け付けアストレアは苦しそうに俺の方を見る
「しっかりしろよ、アストレア!」
そしてジェイクは時間稼ぎの為に俺の前に立ち塞がり剣を振るう
俺は攻撃を受け止め瞬時にジェイクの腹に蹴りを入れる
少し力が弱まったのを感じ一気に押し込めるとジェイクは地面に滑りながら後ろに下がっていく
「お前は!もう、俺に勝てない!!」
俺はジェイクに二度と邪魔されないように剣を押し込み上に受け流した
ジェイクの腕は上に真っ直ぐ上がる
俺はその腕目掛け思いっきり剣を薙ぎ払った
ザンッ!!!!!!!!!
「あがぁぁあ!!!!!!」
ジェイクは腕を抑えて地面に横たわる
俺はジェイクの腕の断面を踏み潰してアストレアの治癒魔法やジェイクの治癒魔法でも簡単には治せないようにした
「あああああ!!!!!!」
ジェイクが叫ぶ中アストレアは口からまだ血をタラタラと流している
「魔女の力を使い過ぎたせいかしら……それともあのおじさんを相手にした時の反動かな………?」
アストレアの側にはジミーがいて俺が近づいているのを見るとジェイクから渡されたあの不格好の金属の剣を向けた
「戦意喪失したんじゃなかったのか、ジミー」
「頼む、俺はお前とは戦いたくないんだ」
「もう一度、手合わせしてくれよ師匠」
そして俺は大剣をジミーに向かって叩きつけた
ジミーは涙を流しながら俺の攻撃を受け止め避けるばかりで攻撃しようともしない
「なんで攻撃しないんだ!」
「お、お前に、俺の手で怪我なんかさせたくない!」
「兵士達は確かに悪い事をし過ぎた!メイデンを見ればアイツらがどれだけ最低な奴らか分かる!」
「俺は暗殺者で依頼の為なら殺しをする!そんな俺に言われても納得出来ないと思うが、殺しだけでは罪は償えないんだ!」
「お前も俺といたから分かるだろ、依頼内容は大抵が恨みを持ち復讐の為だって!」
「でも皆んな言う!感謝はするが気は晴れないって!!」
そう言われると俺の心がズキズキと痛み始める
メイデンにした事やジェイクにした事が後悔となるが俺は思う
コイツらといたら復讐という自分の夢を忘れてしまう
だから俺は皆んなから、仲間達から離れて家族や村の人達の復讐をしなければならない
俺は大剣を薙ぎ払いジミーの胸を切り裂いた
「エディ……!!」
アストレアは弱った体で俺を止めようと近づいてくる
俺はもう後戻り出来ない
しない覚悟でやった
コイツらといたら復讐なんかしなくてもいいと、楽しくて離れたくないと思ってしまう
けれど俺は魔術師に復讐しなくてはいけない
「………じゃあなアストレア」
俺は歩み寄ろうとしてするアストレアから離れて皆んなから背を向け崩壊した門へと向かって行った
この後、俺がする事は一つ
魔大十騎士を全員殺し、世の中を変える




