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魔術師殺しの転生者  作者: とまてるの
第一章旅立ち編
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第3話見えない希望

朝になり俺は目が覚めた

昨日起きた出来事は必ず悪夢だ

そう思っていたのにミアを襲っていた兵士からの打撲傷を見るとそうではないと否定された

手には微かに血の匂いが残っていてハッキリと血が付いているように幻覚が見えた


「ッ!!!!」


俺は再度事実を確認する

人を殺めてしまった事実

その事実は避けられずにはいられず俺の脳裏にビッシリと貼り付いた


「最悪だ……」


でも俺は決めたんだ

今日あそこに戻って父さんと母さんを探すって

俺はベットから立ち上がり震える足で部屋を出る扉に向かう

「逃げろ」

父親の言葉が何度も俺の頭によぎり恐怖で完全に動けなくなってしまった

父さんや母さんが死んでいるかもしれない

2人のことを考えていると頭がおかしくなりそうだ


「ミア」


咄嗟にその言葉が出た

俺はなに怖がってんだよ落ち着け

もし母さんや父さんが死んでいたとしてもずっと気に病んでいたら前に進めないだろうが!

ミアも俺が手助けしなきゃいけないんだ俺がここで挫けてどうする

俺は心の中で自分に言い聞かせ克服はしていないが受け入れた

ドアノブに手を掛け部屋の外に出る


「うおっ」


「あ、アフライト?どうして部屋の前に」


「あ、ああ、気にしなくていい。朝食が出来たから起こそうと思ってな」


「それとお連れの女の子も目覚めたようだ」


「ミアが?大丈夫なんですか?」


「命に別状はないしお前の存在が大きいか

らなのか思ったより元気だ」


「本当に色々とありがとうございます」


俺は深々と頭を下げてお礼を言った

マジで一生この人に着いて行こう


「こ、子供が頭を下げないでくれ、俺がまるでヤバい大人みたいじゃないか」


「アフライトさん」


「ん?」


「出来ればでいいんですけど、あとで馬を貸してくれませんか」


「どうしてだ?食材とかの買い物なら……」


「なにかお手伝いさせてください」


「……仕方ないな、じゃあ卵でも買って来てくれ」


「わかりました!」


これであの村に戻る手段を得た

アフライトさんには悪いな嘘ついてしまって

でもアフライトさんなら理由を言えば絶対に許可を下してくれなさそうだもんな

俺はただ事実を確認したいだけ別に悪い事をしにいくわけじゃないんだ

そうして俺は朝食を食べに食卓へ向かう

するとそこにはミアが座っていた


「ミア?体調はどう」


「え、エディ!」


ミアは嬉しそうに俺の方を見るがすぐ顔を真っ赤にしてご飯を食べ始めた

そういえば俺、ミアに言っちゃったんだっけか

今思えばかなり恥ずかしい……

俺も顔を少し赤くしながらミアが座っている椅子の横に座った

向こう側にはアフライトが座っていて食卓に置かれてある紅茶とサクサクのパンを食べている


俺も朝でお腹が空いているということもありアフライトに甘えて朝ご飯に口をつけた

パンに齧り付くとやはりいつも思う

この時代にしては美味しい

魔力というものがあるおかげなのか?それとも単なるこの世界の食べ物は美味しいだけなのか

いつか町とかに行ける機会があれば本とか買おう

そうしてパンを食べ紅茶を飲み朝食を済ました


「エディ、今から馬を用意するから準備が出来たら呼びに行く」


「わかりました」


アフライトは家を出て行き横にいたミアが俺の裾を掴んでチョンチョンと引っ張って来た


「ん?」


「……エディさ、何処かに行っちゃうの?」


「いいや?村に戻って状況を確かめに……」


「あいつらに襲われたらどうするの?」


「襲われやしないさ、もし残ってるんだったら家を壊そうとしないだろ?」


「そうだけど……」


「安心してよ」


「襲われたりしないでよね?」


「ああ」


俺はこの朝久しぶりにミアと話し合った

こうやって1日ぐらいで気まずくなるとは思わなかったが同時にすぐ慣れるとも思わなかった

そして時は来た


「エディ、準備が出来た。今すぐ外に来い」


「はい」


「エディ気を付けてね」


「うん」


俺はミアに背を向けアフライトの家から出て目の前にある馬のすぐ横に立った

手綱を掴み馬に跨る


「随分慣れてるな」


「父さんが昔教えてくれて」


「通りで」


「じゃあ買い物に行って来ます」


「ああ」


そうして俺は手綱で馬を叩いて走らせた

俺はあのトラウマの場所に自ら向かわなければ行けない

途中で方向を変え卵や適当に牛乳でも買ってこようかとも思った

けれど俺は勇気がなかった

自分が決意した事を今更裏切ろうだなんて俺には出来なかった

そして馬を走らせしばらくすると見覚えのある場所へ辿り着く

雨宿りした木の下だ

俺は心の準備をしてあの日霧と雨の中を走ったあの道を戻り始めた


「………」


しばらく走っているとありえない光景を目にする

あまりの光景に言葉が詰まり冷や汗が出てくる

俺の村があった場所には想像も絶する途轍もなく大きい氷の大岩が地面に突き刺さって一部の村を潰しその周りには人1人分の大きさの尖った岩が複数地面に刺さっていて村全体が壊滅状態になっていた


「だ、誰かいるはずだ」


「せめて何かあるはず……」


俺はそんな希望抱いて馬を歩かせ前へ進む

だが進むのと同時に現実が見えてくる

この道はミアの家に続いてる道だよな

馬を歩かせていると見覚えのある道に辿り着いた

俺は馬を降り何かが地面に落ちているのを発見する

2人の生首だ


「うっ………!!」


生々しいその絵面に俺は思わず嘔吐してしまう

落ち着いた後、俺はその生首が誰なのか確認する為に近づいた


「ぁあ……!」


その生首の顔はミアの両親の顔だった


「そ、そんな」


「そうだミアの妹は?」


こっちの方向に行けばミアの家があるはずだ

そう俺はミアの家に向かって走って向かう

ミアが安心出来るように家族の1人さえ生きていれば!

そしてミアの家に辿り着いた

玄関から扉をガチャガチャとしても開かない

仕方なく俺は脚を引き突き出した

俺は家の玄関を蹴り破ろうと何度も蹴る

子供の力のせいか全然壊れない


「壊れろ、よ!!!」


ドンッ!!!!!!!


ようやく扉は開き俺は中に入る

何の音もしない敵が居ないと分かった俺はミアの妹であるミラの名前を呼ぶことにした


「ミラ!」


俺はミラがいつもいるリビングへと向かう

リビングでは剣で切り付けられたのかキッチンの壁や食卓のテーブルに飛び立った血が付着している


「ミラ!」


俺はもう一度彼女の名前を叫び2階に行く為に階段を駆け上がった

頼むから無事であってくれ!

ミラが!ミラがあの子の最後の希望なんだ!

そして俺はミアとミラの共通の部屋の扉に手を掛ける

ギギギとなにかザラザラしてる物が引っかかっていて少し強く捻ると簡単に開いた

扉の隙間からはパラパラと粉状の赤黒い砂が落ちて来て俺はそれを指ですくった


「なんだ……これ」


「ミラ?いるのか?」


胸騒ぎがしつつ俺は扉を開けた

ブワッと嫌な匂いと瞬時に判断出来るほど酷い臭いと熱気が俺の体を覆った

この臭いは硫黄だ

そして俺は恐る恐る扉を開ける


「あぁぁぁああ!!!!!!」


目の前に広がっていたのは頭が無く四肢を切断されているいわゆるダルマ状態の少女の遺体があった

そして男からなる体液の臭いも感じる

そう、ここでミラは男達に………


「な、んでこんな事に……」


俺は怒りを感じながらも涙を流し始めた

感情がごちゃごちゃになり俺は目の前の光景に打ちのめされる


「お、俺の家族は……?」


俺は自分だけでもと最低な事を思って家を飛び出し自分の家へ走り出した

この走ってる景色ちょっと前と変わらないな

まるで家で待っている家族の元に帰るみたいだ

そうして家から数メートル離れている位置で俺は立ち止まった

目の前には見せびらかすように立てられてある長槍がある

そして槍先には数々の生首があった

その中にはぐちゃぐちゃで何もかも分からない父親と金髪に近い髪をしている母親

そしてミラやミアの両親の体が家に針塚にされている

自分と仲良くしてくれた近所の人やおばさんの生首が晒されてあった


「なんでだよ……」


俺はただクソだった前世とは違う良い人生を生きたかった


「なんでだよ!!!!!」


俺は泣き崩れ地面に丸くなる

それでも俺は家に向かおうと足を動かした

情けない声を出しながらも鼻水や涙を流して走り続ける

そうして辿り着いた我が家には大きな氷の岩がぶつかり跡形もなかった


「ああぁぁぁあ!!!!!!」


俺は期待していた

村には死んじゃっている人もいるけど怪我で済んでいる人が大勢いて両親やミアの家族も全員無事だって

俺はそう希望を胸に抱いていた


「全員ぶっ殺してやるッ!!!!!!」


「ぶっ殺してやる!!!!!!!」


怒りが頂点に達して俺は地面に向かって叫びながら疲れ果てるまで泣き続けた

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