第28話地獄の巨人
応援に来たマジフルガの連中を全員殺して気絶する前にアストレアの館へ辿り着こうとなんとか腹の傷を抑えて走って向かっていた
いつも通りの道に進み前を見るとアストレアの館が見える
やっとだ………
そして俺は最後の力を振り絞って走り出しアストレアの館の玄関を開けた
「あら、意外に早かっ……どうしたの!!!」
血だらけの俺を見た瞬間アストレアは駆けつけ俺は緊張が解けたせいで玄関で倒れそうになってしまいアストレアに肩を貸してもらう
「ご、ごめん、服汚しちゃって……」
「そんなのどうでもいいから!何があったの!?」
「ジミーが連れてかれたんだ、だから俺、知らせようと頑張って来たんだ……」
俺がそう言うとアストレアは俺を椅子に座らせてゆっくり玄関を開けて外を確認していた
「何してるんだ……?」
「追手は来てないのね」
「全員殺したから、そりゃ来ないよ………」
「ぜ、全員殺した………?」
「アストレア、そんなことより早く傷を治して……頼れるのはアストレアしかいないんだ……」
すると俺の腹の傷からバシャバシャとバカみたいに血が吹き出し家の床やカーペットが汚れてしまう
やばい、体は寒いし、この感覚、全身の血液が流れて行ってるのを感じる
あれだ、前世後頭部をぶつけた時と同じ感じだ
「あ、あああ……」
アストレアはショックを受けたのか体を震わせながら俺の腹の傷に手を翳す
「おねがいだから治って、もう誰も死ぬ所見たくないよ………」
アストレアは怯えていて手から緑色の優しい光が出て俺の傷は癒やされた
「治った…?良かった、今から私、ジミーの場所を特定するから安心して」
「出来るのか?」
「ジミーとの関わりが深い物はジミーの魂と結びついてる。だからそれを魔力で可視化させるの、これも魔女の技術」
アストレアはジミーがよく服用している漢方の素材を取り出して魔力を流し込み素材は宙に浮き始める
素材は徐々に形を変えて小さなジミーの人形となった
「それで、分かるのか?」
「うん、手に持ってるだけで磁石みたいに引きつけられるのが分かるのよ。じゃあ今から私はジミーを助けに行くから………」
「俺も行く」
そう言うとアストレアは血相を変えて俺の顔を引っ叩いた
「無茶言わないでよ!!」
「こ、これ以上!何かしたら……死んじゃうよ……!!!」
「足手纏いって言いたいのかよ」
俺はアストレアの言い方にイラッとしてしまった
そしてアストレアの肩を強く握り締める
「俺が、足手纏いって、そう言いたいんだろ」
「俺はここに来るまで何十人も殺して来た。この剣で、何人も」
「感触も残ってる、内臓も脂肪の断面も筋肉の断面も、今日で何度も何度も見て来た」
「アストレアだけじゃ、死ぬぞ」
「………分かった。私に着いて来て」
俺は肩から手を離して玄関を出た
そしてアストレアは手をヒョイとすると箒を自分の前に移動させて宙に浮かせた
「私、こう見ても魔女の中だと才能ある方なの」
アストレアは箒に跨って宙に浮き俺に手を差し伸べ俺は手を掴む
俺は引っ張り上げてもらいアストレアの背中にしっかりとしがみついた
「行くよ」
アストレアが言い初速からぶっ飛ばす
そうして3時間移動した後、俺達はジミーを攫った奴らがいる場所へ辿り着き岩に隠れた
アストレアの手の中にある人形は燃え尽き、それはここにジミーがいると言うこと
「アストレア、どうやってあそこに忍び込むんだ?」
「私が正面突破するからエディは裏からコッソリ行って」
「それ大丈夫なのか?」
「私は魔女よ、人間が禁じてる力を使えるんだから、それに私が使うこの魔法は防御力特化の優れ物なんだから」
「分かった。じゃあアストレアから始めてくれ」
そう言うとアストレアは岩から出て正門から堂々と歩き出す
「おい、なんが子供が来たぞ」
「は?なんでこんな所に」
「難民じゃねえの?ここらで紛争起きてるし仕方がねえ、俺達が避難所まで案内してやろうぜ」
見張りをしている兵士はアストレアに近づき目線を合わせる為に屈んだ
「お嬢ちゃん、この先は避難所じゃない。俺達が案内してやるから……」
兵士がそう言い掛けた瞬間アストレアはボソボソと呪文を唱え始めた
「人を脅かす戦の力よ、我のマナとなり、人を殺める者を地獄へと陥れ、怯える弱き者を守れ」
「ハデス!!!」
するとアストレアの内から溶岩が出てきてアストレアを飲み込み5メートル程の巨体と大きい鎖鎌を持つゴツい鎧を着たスケルトロンのような見た目になった
アストレアが出しているとは思えないが大きな声を出して鎖を振り下ろし近づいて来た二人の兵士を縛り付け戦闘不能とした
そして鎖を回して鎌を投げ門に引っ掛け引っ張る
「うお、すげぇ暴れ具合」
俺も岩から出て裏門に忍び寄ろうと壁に張り付き上にある兵士に見つけられないようにコソコソと移動する
その間アストレアは門をこじ開けようとしていた
「ハアァァア!!!!!!!!」
壁の上からは大砲の砲丸や矢を喰らうが魔女の力を使ったアストレアにはあまり効き目がない
ミシミシミシッ!!!!!!!!
「お、おい!門が破壊されるぞ!」
兵士達が立っている壁はまるで抜けかけの歯のようにグラグラとバランスが取れないほど揺れる
「崩れるぞ!!!逃げろ!!!」
そうすると壁の上にいた兵士達は一斉に焦って梯子を渡って落ちる奴や蹴落として先に逃げようとする奴までもが現れる
ズドォォォン!!!!!!!!!
アストレアの怪力で門は引っ張られて破壊し同時に壁までもが崩壊した
すると砂埃で見えない門の場所から雷の閃光が走りアストレアをぶっ飛ばした
アストレアは近くの岩にぶつかり地面を引きずりながら止まる
「雷神よ、天から神をも超える武器を我に授けたまえ」
バンッ!!!!!!!
空は黒くなって怪しくなり男魔術師の頭に雷が降るとその男魔術師の腕には先程までにはなかったハンマーがあった
「ライトニングハンマー」
そのハンマーは神々しく金色で出来ており常に電流が走っている
相手に魔術師がいるだなんて、結構時間掛かりそうね
その男魔術師の首には金色の冒険者ランクが降ろされておりかなりの強者
「雷の閃光よ、敵の目を封じ、隙を与えたまえ」
「ライライト!!」
そう唱えるとアストレアとその男魔術師の間の空間に雷が降り宙で渦巻いて爆発した
その爆発は威力などはないがアストレアの視界を奪い目を焼き切るほどにまで発光する
「うがぁぁあ!!!!!!!!」
「フンッ!!!」
男魔術師は身体能力を魔力で強化して地面を蹴り上げアストレアの上からハンマーを叩き落とした
ズドン!!!!!!!
ハンマーはアストレアの頭を叩き男魔術師は頭を蹴って後ろに下がりアストレアとの距離を取った
「骨の癖に砕けないのか、いいだろう」
「雷の閃光、巨大樹をも貫き、それを我が力とせよ!!」
「ライトニングスペア!!!!!」
空にある黒い雲はゴロゴロと雷が鳴り始め雲が一点に密集し始めた
そしてアストレアに向かって強烈な雷を落としアストレアの分厚い鎧に当たる
だが雷はアストレアの鎧を貫通していない
「強いな」
男魔術師は地面に着陸すると身体能力強化をして走るスピードを上げアストレアとの距離を詰める
ジャラジャラジャラジャラ!!!!!!!
アストレアは鎖を降り回し男魔術師の右脚を巻き込み捕えることに成功した
男魔術師は腰に下げてある剣を左手で引き抜き右脚をザクザクと肉を引き裂きハンマーで叩いて骨を砕いて鎖から逃れた
「い、イカれてる!」
地面に着地した男魔術師は地面に向かってハンマーを振り下ろし回転し空高く飛んだ
「はあぁぁあ!!!!!!」
男魔術師はハンマーに電流を走らせ威力を上げながらアストレアに向かって振り下ろす
「大人しく捕まって!!」
アストレアは鎖を振り回し上にいる男魔術師に向かって投げるがハンマーで叩き落とされた
「強引だけど、治しちゃえばいいもんね」
そうしてアストレアは鎖を振り回し勢いをつけて鎌を振り上げた
鎌は軌道を描きながら突き進み男魔術師は叩き落とそうとハンマを薙ぎ払う
アストレアは鎖の動きを上手く使い鎌は妙な動きをしてハンマーを避け男魔術師の背中を貫いた
「がはっ!!!!!」
そして引っ張られてアストレアの手の中で傷は治療され男魔術師は鎖で縛られて捕まえられた
「じゃんじゃん行くよ!!」
アストレアは正門を突き進み中にいる兵士達を鎖で次々へと縛り付け戦闘不能にさせていく
そうして残り数十人となり捕まえ続けようとした時だった
「地獄の巨人、憑依するような形で近くの悪のマナを使いそれを自らの力とする。私の予想だと貴様は魔女か」
「誰!!?」
するとアストレアは上から頭を掴まれて地面に叩きつけられ胸を蹴られて壁に衝突した
「空から観察した。後ろから奇襲をしようとしているエディがいる」
「そ、その言い方だと狙ってるのはエディ?」
アストレアは言いながら立ち上がる
「そうだ」
「じゃあなんで私を狙うの?」
「エディより貴様の方が厄介だからな、当たり前の事だ」
「へえ………」
そうして仮面の男は拳を握りアストレアに近づいた




