第22話潜入
時間は6時を過ぎた夜中になる頃
俺はジミーの仕事に着いて行く為にアストレアの家から出て行きバケストラ王国の北側に位置する夫とその浮気相手の館近くの建物の上に辿り着いた
「ほら、手貸してやるよ」
俺が建物の上に登るのに苦戦しているとジミーは上から手を差し伸べ俺はジャンプして掴み一気に引き上げてもらった
手形みたいな痕?
その時に見えたジミーの酷い腕の傷が俺には見えた
「ありがとう、てかなんでここ登ったんだ?観察しやすいからか?」
俺がそう聞くとジミーは腕を隠すように袖を引っ張る
「そうだ、それと前々から下見をしていたから今日浮気相手が来るのは予想している」
「へー、準備万端じゃん」
「……それと聞きたかったんだけどさ、ジミーが俺を引っ張り上げた時にその腕の傷が見えたんだ」
「!!」
「それ、何かあったのか?」
「今は関係ないだろ」
「いいだろ別に、見た感じ時間はまだあるみたいだからさ、話して時間潰そう」
俺がそう言うとジミーは溜息を吐いて仕方なく袖を捲り腕の傷痕を俺に見せた
その傷には俺が見た手形と鉤爪のような傷痕がある
「一体何があったんだよ、これ」
「5年前、俺が25だった頃だ。その時、俺は魔大陸いてな、ある暗殺の依頼を受けたんだ」
「その魔大陸ってここからどっち方面?」
「ここから西にずっといった場所に魔大陸という過酷な大陸がある」
「そして俺は奴らがいつもいると言われている酒場に向かい隠れながら観察していると俺は気付いたんだ」
「何に?」
「全員悪い意味で有名な奴が二人いたんだ。酒場にはそいつら含めて5人いて、男と女とその子供であろう青年、そして老人と獣人族の男だ」
「男の方の名前は分からないがゴールドの冒険者ランクの証明を持っているかなりの強者」
「女以外全員怪物だった」
珍しくジミーが怯えているのが分かる
そして傷が沢山付いてある右腕が震え始めた
「その青年と老人と獣人族の奴の詳細は?なにか分かるのか?」
「老人は分かりやすく言えばジェイクより背が高く年齢とはかけ離れている強靭な肉体をしている、俺の推測だが老人は"竜人族"だろうな」
こ、この世界には色んな種族がいるんだな
「竜人族ってのはなんだ?」
「人間より賢く強くそして無限に思える命を持っている」
「不老って事?」
「ほぼそうだ」
「老人の名前は確か………アフトス・スラッグと言ったか、600年前からいる太古の王だ」
「な、なんだか強そ………」
「そして獣人族もジェイクより大きい獅子だ、名はビースト」
「安直な名前だが恐ろしいぞ、なんせ200年前にあった百年戦争を終わらせた張本人だからな」
するとジミーはポケットから漢方薬のようなものを取り出して口に放り込んだ
「俺は奇跡的に逃れたが後遺症として時々震えが出るようになった。だからこうして時々アストレアが調合した薬を飲んでる」
あー、だからアストレアとジェイクが喧嘩した時にああ言っていたのか
「酷い話だな……もし俺がそいつら見つけたらボコボコにしてやるよ」
「面白い冗談だな、そろそろ浮気相手が来るはずだ。集中しろ」
ジミーがそう言うと目の前にある館の門前に女性が立っていた
「これ貸してやるよ」
ジミーから双眼鏡を貰い俺は双眼鏡を覗いて女性を確認すると女性は門の前にある小さな鐘を鳴らして門の前で待っているのが見えた
「エディ移動するぞ」
「ああ」
ジミーは建物の屋根に次々と飛び移り俺はジミーの後ろを着いて行く
移動し終わると俺達と女性との距離はかなり近くなっており今すぐ襲おうと思えばすぐに襲える距離だった
そして俺が念の為背中にある剣を掴んでいると門の向こうにある館の玄関から男が歩いて来て門を開けた
女性はすぐ男に抱きつき男は背中をポンポンと叩いて館の中へ二人は入って行った
「ふぅ、ジミーこの後はどうするんだ?」
「奴らはまず館に入ってから食事を楽しむ」
「男側は奥さんがいるんだろ、奥さんは何してる?」
「依頼主は旅行と嘘をついているから別の場所にいる、態々奴らに最高な時間を提供してあげてるんだ」
「ほら、また移動するぞ」
そしてジミーはまた建物の屋根を転々と飛び移って行き俺は疲れながらも後を着いて行った
そして到着したのは建物の屋根にいるここから館の屋根が近い屋根に辿り着いた
「それで?ここからどうする」
「アイツらの館の屋根に飛び移るぞ」
ジミーはそう言うとポケットから平べったい鉄の板を取り出し起動させるとブーツのような機械になり装着した
「今俺が足に付けている物は着地音や足音を無くしてくれる"魔道具"と言う物だ。表には出回っていないが裏市場では高額で取引されている」
「へー、魔道具か、早くそれ貸してくれよ」
「残念ながら金がなくてな左足しかない、俺が屋根に着地したら投げて渡してやるよ」
ジミーはそう言い飛び跳ねようとすると足の魔道具に掘られてある溝が青く光出し物凄いジャンプ力を出して屋根に着地した
確かに音はあまりしてないが物凄く近くにいるとすぐ気付かれそうだ
「ったく、なんで左足しかないんだよ」
そしてジミーは光がなくなった足の装備を脱いでジェスチャーをして俺に向かって投げた
俺はキャッチをする準備をしたが足の装備は形も相まって中々真っ直ぐ飛んでくれず、なんなら距離も足りずそのまま地面に向かって落ちて行った
ガシャン!!!!!
下を見ると左足の装備は木っ端微塵になっていた
「な、なにやってんだよあの馬鹿……!」
「すまないな、いつも一人でやっているから慣れてないんだ」
そう遠くから小さく聞こえてくる
なにが慣れてないだ、プロだろ
そしてジミーを屋根から見ているとまたジェスチャーをし始めた
双眼鏡を見ろだって?
俺は双眼鏡を覗いてジミーを見る
ジミーは時計を見せて7時半を指差していた
次は眠る動作をして指に輪っかを作りそこに指を出し入れしている
ジミーが言いたいのは7時半に二人が事をするからそれまでに寝室まで辿り着けって事か?
現在時刻は7時、30分の間にどうにかして入らないと
そしてジミーは館の屋根から窓へ入り姿を消した
「俺も早い所行かないと……」
辺りを見渡すと王国の都会と言う事もあってか街路灯がありあそこを登ってしまえば館を囲っている柵を飛び越えれそうだ
……危険だし最終手段にしよう
それにしてもジミーの奴、俺を置いてけぼりにしやがって、まさか試してるのか?
そう思いながらまた辺りを見渡す
ない、本当に街路灯以外ない
「マジかよ、ミスったら柵に突き刺しじゃねえかよ………」
俺はそう思いつつ後ろを見て落ちないように助走を付ける
まず飛び跳ねたらあの街路灯を掴んでそのままの勢いで柵を飛び越えよう
「俺なら行ける俺なら行ける」
特訓じゃあ懸垂もしてたから一様手の力も相当あるはずだ
背中の筋肉も安心しろって言ってるしあとは俺の勇気を振り絞るだけだ
深呼吸をして俺は不安を切って迷いもなく走り出し屋根から街路灯へ飛び移った
体はフワッと嫌悪感を抱いてしまう感覚に陥り不安で心が一杯になったがしっかりと街路灯を掴んだ
行ける!!!
俺は手を離して柵を飛び越え館の芝生へ着地した
ダンッ!!!!
足がジーンと痛むが気にしない、俺はそのままジミーが入って行った窓に入る為に壁をよじ登り館の二階へ入った
「エディ来れたのか、てっきり諦めたと思ったぞ……」
「お前がヘマしたんだろ……!」
俺は周りを見る
ここはどうやら図書室のようだな
そうして俺は耳を傾けて音をよく聞く
するとジミーが俺の肩を叩いて話し始めた
「寝室はここを出て右を向き真っ直ぐ向かうと辿り着く」
「奴らが事を始めて夢中になり始めたら寝室へ入り襲撃するぞ、いいな」
「わかった」
「先に女側を殺せ、夫は拘束し依頼主に引き渡すからな」
「了解」
そうして俺はまた耳を傾けて音を聞き始めた
「ちょっと落ち着いてよー!毎回こうしてるじゃない!」
「愛し合っているからいいだろ」
「ねえ、奥さんより私の方が愛してる?それならいいわよ」
「あいつなんか好きじゃない、お前だけ愛してるんだ!」
「えー?もう照れるわー!」
そうイチャイチャしながら階段を登っていて壁にぶつかる音も聞こえる
「なんで俺はあんな魔力を持たない種族と結婚してしまったんだろうな……」
「昔のあなたはおバカさんだったのよ、そうだ、いっそのこと殺しちゃえば?私達魔術師だから有利に立てるわよ?」
「はははっ!!それはいい提案だな!」
「そうだ、こうしよう!あの女は結婚詐欺師で俺の金を数年間騙し取り道中で不幸にも通り魔に合って刺し殺された」
「それか正当防衛で俺が残酷に殺害、前はやり過ぎて裁判になってしまったから今回は手加減しないとな!」
「それって裁判官を買収して裁判に勝ったんでしょ?また買収すればいいじゃない!!」
「そうだな!!!」
キスをしたり色々な音が聞こえてすぐ側の廊下を歩く音も聞こえ扉を勢いよく閉める音を最後に途絶えた
「エディ」
「わかってる、殺すのは女だけなんだろ」
ジミーは腰に下げてある短剣を掴み取り俺は背中に携えてある大剣を掴んで図書室から出て行き寝室へ向かった




