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魔術師殺しの転生者  作者: とまてるの
第一章旅立ち編
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第2話悲しみと決意

「はあっ!!はあっ!!!」


俺とミアは息を切らしながら地図に書かれてある場所へ走り続ける

2人共薄着で来たせいか寒くて体力も奪われ遂に走ることさえ出来なくなってしまった


「エディ!」


ミアは疲れたのか手を離して手を膝に付く


「ミア!休憩してる暇なんか……」


「エディ先に行ってて」


「私、後で追いかけてくるから」


その目は虚で何もかも諦めている目だ

昔何度も見たことある目

未来なんかに希望が生み出せない俺の目だ

俺はあの時自分を救えなかった

だから同じ状況に陥っているミアを手放すわけにはいかなかった


「ミア行こう」


「だから…私は……」


「俺はミアが好きだ」


「だから着いて来て欲しい」


俺はなんとか引き止めようと頭の中で思い浮かんだのがこの言葉であった

ミアは顔を真っ赤にして俯く


「……わかった」


そして俺はまたミアと共に走り出す

それとは裏腹に雰囲気は暗くなり始める

雨が降りより寒くなり2人の年齢を考えれば到底生きれそうにない状況

案の定俺達はあまり距離を進むことなく体を震わせて雨宿りになってくれている木の下で止むことを待つ

俺とミアは体を温めようと体を寄せ合う


………

俺も希望が見えない

あれから父さんや母さんが無事は保証できていない

そして彼女の家族の無事も

魔力を持っている者は絶対という事をこの日俺の人生の中で最も知らしめられた出来事であった


「ミア」


俺は彼女の名前を呼び横にいるミアの顔を見る


「ミア!」


ミアの顔は青白く唇が紫で弱い息を吐いていた

俺は何度も何度も彼女の名前を呼び掛けるが応答はない


「だ……」


誰かに助けてもらうと声を出そうとするが近くに魔術師がいるかもしれない

そう思うと俺は声が出せず彼女を腕に抱いて静かに呼び掛け動かす


「ミアッ!!!!」 


俺は絶対に諦めまいと必死に呼び掛ける


「そこに誰かいるんか」


すると雨で出来た霧の向こうから老人の声が聞こえた

マズイ!バレた!

俺は出来るだけ音を立てずにミアを担いで木の裏へと隠れた

見られた!?いや、見られていないはずだ!

それにしてもミアを担いでどうやって逃げよう!?

このままじゃあ………!!


「ここで何しとる」


そう考えているうちに老人に距離を詰められ肩をポンと叩かれた


「うわぁぁぁああ!!!!!!!」


「ど、どうしたんだ!」


俺はミアを担いで逃げようと立とうとする

しかし恐怖に包まれているせいで妙に足腰に力が入らない


「落ち着け少年!」


「一体なにがあったんだ!?」


老人は俺の肩を両手で掴み必死に揺らす

俺は本気で殺されると思っていたが老人の会話を聞く限り敵ではなさそうだ


「はあ………はあ………」


俺は呼吸を整え老人の顔を見る


「もう一回聞くぞ、一体なにがあってそんなに怯えているんだ」


「魔術師に襲われて………」


「そうか。辛かっただろうな、家族は?」


「家族が生きてるかどうかは分からない」


「そこの女の子酷いな。お前らぐらいだったらいけるかな」


「どういう……」


すると老人の後ろから心配してやって来たのか屈強な馬がやって来て老人は手綱を掴んで馬に跨った


「ほら、乗りな」


老人は俺に手を差し伸べミアを先に乗せてから俺が乗る事となった


「はあっ!!」


老人は手綱で馬を叩き馬は走り出す

俺は倒れないようにミアを支えつつ体の寒さに耐えていた


「坊主!寒いだろう!」


老人はポケットからなにかを取り出して絶対に入らないであろうサイズの毛布を取り出した


「これは魔法の毛布だ」


「その女の子と一緒に使うといい」


老人は後ろに手を伸ばし俺は毛布を掴んだ

俺はミアに毛布を掛けてあげ魔法の毛布という事もあってかかなり暖かい

そして少しの間馬は走り続け視界が悪い中突然馬は止まった


「着いたぞ」


老人は馬から降りミアを担いで老人の家の中に入って行った

俺はその後を追うように急いで馬を降りて家の中に入った


「あ、あの………」


「その地図アドルフさんからのか」


「父さんを知ってるんですか?」


「ああ、昔の知り合いだ」


老人は暖炉に火をつけその側にミアを寝かせる


「今から風呂を沸かしてくる。君の名前は?」


「お、俺はエディ」


「あの女の子は?」


「ミア。おじさんは?」


「俺はアフライト、お前の父親の腐れ縁みたいな感じさ」


「お前の父親はもしもの為に書いてあったんだろうな」


「父さんは今頃どうなってるんですか?昔からの縁なら実力は把握してますよね」


「ああ、奴はかなりの腕がたつ冒険者だったからな」


「魔術師相手じゃどうにもならん、死んでいるだろう」


「そ、そんな……」


そうして老人は風呂場があるであろう部屋に入って行った

俺は酷く絶望したが父の知り合いで安心できる人に出会えて本当に良かった

俺は暖炉の前にいるミアの顔を見ると顔色は良くなり震えていた体の動きは治っていた

そして俺は両手で抱えている鞘にしまってある剣を暖炉の横に置く


「本当に良かった………」


俺はじまじまと涙を流して静かに泣く

こんなにも安心したのは初めてだろうか

自分もこんな感情になるだなんて思いもしなかった

俺は涙を拭き前向きに決心した

明日あの村に戻って父さんや母さんを探そう

もしかして生き残ってるかもしれないし亡くなってしまっていても遺品は回収出来るだろう

その後はゆっくり立ち直っていけばいい

やっと希望が見えてきた

俺がそう安堵していると部屋の向こうからアフライトが歩いて来てキッチンに入り何かを取り出した


「風呂が沸くまで1時間程度だ。魔道具が使われてあるから便利だと思うぞ」


「魔道具?どんな?」


「追い焚きとかな、湯を足したりできるんだ」


前世にあった現代らしいのもあるんだな

銃火器とかそこら辺あるのかもしれないな


「あの、キッチンでなにしてるんですか?」


「ん?今日のあまりもんがあるから温めてやってんだよ」


「いいんですか?」


「こんな老耄が腹空かしてもなんとも思わねえが子供が腹空かしてんだ」


「大人の俺はこうするしかねえんだよ」


そしてしばらくした後温かいシチューとパンが机に置かれた

シチューはじゃがいもやにんじんが入っていて見ているだけでもお腹いっぱいになりそうだ

パンを千切ってシチューに入れ口に放り込む


「美味しいです!」


「それはよかった」


「ミアにも食べさせてあげたいなー」


「もうそろそろ風呂が沸く頃だ。着替えは俺の息子の分があるからそれを着ろ」


「はい!」


そして俺がご飯を食べ終わりミアの様子を見てから風呂に入ることになった

時間は淡々と過ぎていきアフライトの息子が使っていた部屋を借りてそこのベットで寝る事にした


「……」


もし両親共生きていてなにもかも無事だったらいいな

俺は希望を胸一杯にして眠りについた

家族の夢を見ながら朝を迎えた

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