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命の恩人


当たった…


なんで投げたりしたんだ!変にカッコつけるほうがダサいのに…!!!


あのまま逃げて助けを呼べば…いや、夫婦は確実に死んでた。


猟銃を持っているとはいえ、ヤツを殺せるほど正確でもないし、そもそもヤツの急所が分からない以上殺すことは不可能に近い。


でもこのままだと…俺が死ぬ。

今にもやつはこっちに走ってきている。


残り30秒ってところだ。


「無理だぁ…これ。」


諦めの言葉を口に出してしまう。


最期の言葉、何にしようかな。


あ、くる。


「楓…ごめん!ジュースは無理だ!また来世で!」


これが、最期か。


目をつむる。


俺、もうしんでんのかな。


目をあけたら、あの世かな。


そう思い。俺は目を開けた。



そこに見えた世界は、さっき見ていた光景だった。


変わっていることといえば、


ヤツの死体が、地面に転がっていた。


そして、死体の上に誰か立っている、


「最期の言葉がジュースの事かよ。もっとマトモな言葉考えてから死ね。」


両手には剣を持ち、何かのスーツを着ている。


「俺…生きてる…んですか?」


この人が助けてくれたのか。


「は?生きてなかったらここはどこだよ。この俺が死んでるって言いてぇのか?」


かなり高圧的な態度だけど、俺より背が小さいせいかあまり怖くない。


「あ、いや…すいません。でもどうやってこいつを?」


こいつの急所がわかるのか。

この人。


「まずそんなことより、命を救ってもらったんだから礼を言うのが当たり前じゃねぇか?あの学校はそんなことも習わねぇクソ学校か?」


何なんだこいつ。命を救ってもらったのは感謝するけど、こんな態度無いんじゃないか。


「なんだ?その顔。文句があるならその付いてる口で話せ。その口は飯を食うためだけについてんじゃねぇんだ。」


そんなこと知ってる。軽い冗談なんだろうが、ぜーんぜん。おもんない、


「ありがとう…ございます。俺は篠原陽介です。えっと…お名前お聞きしてもよろしいですか?」


なれない敬語を使い、話す。


「あぁ、最初からそう言いやがれ。あと、てめぇに名前を教える義理はねぇから。それじゃあ」


そう言って彼は向こう側へ歩く。


「はぁ…俺は城内 優太郎(きうち ゆうたろう)だ。覚えとけ。」


城内優太郎。

俺はその名を忘れることはないだろう。


学校へ戻ると、楓と裕泰がいた。


楓は泣いていたし。

裕泰も絶望的な顔をしていた。


「陽介…?」


鼻をすすりながら楓は言った。


「お前…生きてたのか…!!陽介!!!」


俺は血だらけだったし、傷もついていた。


その後すぐ俺は病院に行き、検査を受けた。

細かい傷はあったが、致命傷になることはなかった。奇跡が起きた。

一応、今日と明日は安静にしているように言われたので、ゆっくりする



今日は学校は早く帰ることになったらしい。


家に帰ると、母さんも父さんも泣いて抱きついてきた。


姉は学校だから、まだ帰ってきてない。弟と妹もだ。

父さんは仕事を休んで来たらしい。


わざわざそこまでしなくてもいいのに…


自分の部屋でゆったりしていると、一件のメールが届いた。

裕泰からだ。


「大丈夫か?お前人の言う事聞かないから、遊園地とかいってるんじゃないか?そんなとこ行ったら怪我悪化するぞ!wなんてな。まあ安静にして、治ったら遊園地行こう。もちろん!楓も誘ってなw」


とのこと。

まあいいけど、もちろんお前の奢りな?

と返しておいた。


もう一回。スマホにメールが届く。

次は誰だ。また裕泰がからかいのメールを送ってきたのか。


楓からだ。


「陽介大丈夫?今日はごめん。私がついていれば…あ、こんなことがあっても、私は忘れてないわよ。お願い事、一つ叶えるんだったわよね?まあジュース奢りは確定として…願い事は来週!来週の月曜!二人でどこか行きましょ!」


というものだ。

こんな時に願い事の話か…


まあ彼女なりに、元気づけようとしてくれているのが伝わった。


絶対月曜早寝しよ。


そして俺は速攻ねた。


―――――

次の日


母と父は仕事へ向かい、姉と弟は学校。

妹は…なんか振替休日?みたいなやつで休みだ。


あいにく、安静にしてるように言われているので遊んだりはできないな。


「お兄ちゃん。なんで家にいるの?普通学校じゃない?サボリなの?」


まあそんな年でもないか、もう14だもんな。


てかあれ?母さん俺が怪我してんの伝えてないのか。


「あぁ、怪我してね。安静にしてるようにって言われたんだよ。まあ明日からは行くからさ。」


「せっかく一人で優雅な時間を過ごせると思ったのに…残念。」


そんな残念そうな顔をされると、悲しくなるからやめてくれ。


ピンポーン


家のチャイムがなる。


「なに?なんか頼んだ?お兄ちゃん。」


「いや…俺は何も?父さんとかかな。」


ドアノブを捻り。ドアを開ける。


「おはよう。えっと…貴方は?」


「篠原(ゆかり)です。お兄ちゃんの友達?」


そう。きたのは木之内楓。


ではなかった。



「あなたは…?誰ですか?」


見知らぬ男 でもこの制服…どこかで?


「リビング・パーソンスクール マーサンギル校 1年担当 ラックル・バンティーノだ。」


リビング・パーソン…。

それに、マーサンギルって言ったらすげえデカい国だ。

物理的にも、権力的にも。


そんなやつが…なんでここに?


「篠原陽介だな?お前を誘いに来た。」


「何の誘い…です?」


「おま…君をリビング・パーソンスクールに入れたい。そのために俺はここまで来た。」


ぇええ!?


「リビング・パーソンってあの…」


「ああ、お前にとっての“あの”が分からんが、簡単に言えば敵と戦う集団みたいなものだ。リビング・パーソンスクールはその戦う団員を育て上げるため、設立された。」


まじか。俺にも来たのか、ヒーローになれるチャンスが!!!


「お兄ちゃん。なんかこの人胡散臭いよ。無視しよ無視。」


妹よ、すまん。俺はこのチャンスを逃すわけには行かない。


「分かりました。入ります。」


「お兄ちゃん!?え?マジで!?はぁ?意味わかんない!」


妹よ。俺はヒーローになりたい。


だから、絶対俺は入る!!


「そうか。分かった。道具は学校で支給するから。身分が証明できるものとバックを持ってきてくれ。場所はこの紙に書いてあるから、しっかり読め。」


そう言われ、俺は折りたたまれた紙を渡された。


展開が早いな。


帰ってきたら母さんに説明するとしよう。

もちろん父さんにもだ。


「お兄ちゃんってホントバカだよね。マジで頭おかしい。」


お兄ちゃん傷つくぞー。


~1時間後~


「ただいまぁ。」


「ただいま!」


この声は…


姉と弟か。


「あれ?あんたなんでいんの?」


こいつは俺の姉、篠原 碧(しのはら あお)だ。

俺の1つ上、高2だ。


「あぁ、学校で大怪我してさ。明後日からはいくよ。」


「ふーん。にしては元気そう。」


やっぱり伝えてないな。


「兄ちゃん!!大丈夫?」


俺の可愛い可愛い弟、小学四年生。


名前は篠原和泉(しのはら いずみ)という。


「うん。大丈夫だよ。痛みも引いたし。」


「よかったぁー!じゃあゲームしよ!みんなで!」


え…俺はいいけど…二人がどう言うか…


「え!うちもしたーい!」


「私も私も〜」


うちの姉妹は弟に甘い。

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