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第20話 背中を押す手

「馬鹿みたい」


 翼は、ほのかの話を聞いて一刀両断した。

「馬鹿……だよね。私」

 言い返すこともできず、ほのかはへこむ。

「綾もだよ」

「なんで?」

 ほのかが不思議そうな顔をすると翼はやれやれと首を振る。

 翼のまっすぐなストレートの髪が揺れた。

「つか、あの女たらし!」

 涼子さんといい、髪は綺麗でうらやましいと関係ことを考えていたほのかは翼の怒声に驚く。

「女たらしって近藤先輩のこと?」

「そうよ!その近藤とやらよ!」

 もはや呼び捨て。

「だって先輩は関係ないよ。私が勝手に……その……好きになったから」

 最後のほうはほとんど聞こえないほど小声になる。

「あんな顔だけ男に振り回されて、友達やめるなんて馬鹿みたいって言ってるの!」

「え……」

「大体、その先輩について何知ってるの?」

 そう言われて戸惑う。

 

 私、先輩について何にも知らない。


「……こんなこと言いたかないけど、もしかしたら近藤には彼女がいるかもしれないじゃない」

「……」

「そんな恋愛感情なんてあやふやなものでお互いいがみ合うなんて馬鹿みたい。近藤にそれほどの価値があると思えない」

 しゅんと項垂れたほのかに翼も言いすぎたと思ったのだろう。

「ごめん。言いすぎた」

「ううん、私のほうこそごめん。翼ちゃん綾とも喧嘩することになっちゃったし」

「あー……あれは別にいいよ。昔から喧嘩なんてしょっちゅうだし」

「なんだかうらやましな」

「うらやましいって何が?」

「喧嘩しても、それでも二人ともなんだかんだ言って仲いいから。綾のこと心配してああ言ったんでしょ?」

「うー……」 

 翼が顔を背けたが耳が赤い。

 それにほのかがくすりと笑う。

「私のことよりほのかと綾のことでしょ!」

 翼が照れ隠しなのか乱暴に言った。

「うん……でも、謝っても許してもらえなかったし……」

「なんで謝んのさ」

「え?だって……」

「悪いのはあの女たらしの近藤でしょ!?綾もほのかも別に同じ人を好きになろうとしたわけじゃないんだからしょうがないじゃない」

「そう……なのかな?」

「ほのかは綾とこのままでいいの?」

「よくない?」

「じゃ、もう一度よく話してみたら?」

「でも、きっと綾は私となんて話したくないよ」

 翼がほのかの両頬を掴んでのばす。

「いひゃいよ~ちゅばしゃ~」

「そういうことはやってから言いなよ。綾だって仲直りのきっかけ探してるのかもしれないじゃん!」

 赤くなった頬をおさえながらほのかが呟く。

「そうかな?」

「そうだよ!」

「……もう一度綾と話してみる」

「おう!じゃあお守りにこのつとむくんを……」

「うん……それはいいや」

「なんで~ブー」

 ほのかは膨らんだほっぺたをつついて言った。


「ありがとう」




翼はお弁当なかまの中で一番友達思いかもしれません……。

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