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円周率

作者: 南区茜

3.14159265358979・・・ 俺が円周率を初めて習ったのは確か小学校6年生の時だったように思う。算数の教科書のコラム的な部分にかかれていたその数字の羅列は、意味が分からないにも関わらず自然と自分たちを虜にしていた。そのころクラスでは記憶力がいいことが至上のステータスであるような風潮というか雰囲気ができていて、みんなこぞって蜘蛛の糸だとか輝夜姫だとかの昔からあるお話を空で言えるよう練習していた。おそらくこれはうちの担任が火付け役だったように思うが、そこらへんははっきりと思い出せない。まあ悪くない、むしろ子供たちの脳を活性化させる良い取り組みだとして暗記合戦は奨励され、はじめは国語の教科書に載っている分だけだったのが分野を超えてとりあえず空で言えてかっこいいものという大きな枠組みでなされるようになっていったのだった。ちょうどそんなときに算数の授業でそこを扱ったものだから、それはもう、クラス中が次の日から数字を唱えだすのも道理である。他クラスから見るときっとおかしな集団に思われただろう。なんたって、廊下を歩く時も、掃除中も、果ては外で駆け回っている時でさえ何か言ってると思い耳を澄ませてみれば、きこえてくるのは数字の羅列なのだから。かくいう俺もその数字に魅せられたうちの一人で、少しでも長く続けられるよう日々授業そっちのけで暗記に励んでいた。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 自分の小学生の時の事を思い出しました。 必死に徳川十五代将軍を暗記してました……。 何だかんだ役に立っているのが不思議(笑)。 懐かしい思いを刺激してくださるエッセイ、ありがとうございま…
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