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2-2 都市伝説に会った後なら!

【2-2 都市伝説に会った後なら】



 元の時間に戻った俺は、ファストフード店にいた。


「夕、ぼけっとしてるけど大丈夫か? 」

俺に話しかけているのは、ええっと……

あかつき、アカツキ……赤月だった。


「ぼけっとしてた、悪い赤月」

「おうよ」


ぼんやりとした思考回路を元に戻す為に、ソフトクリームを買う事にした。


「お前は? 」


チョコ、ストロベリーもあるみたいだぞ、と赤月に声をかければ「じゃあノーマルで」とお使いを頼まれた。

いってくる、と言った俺に100円玉が渡される。


 注文の列には人が二人並んでいる。目の前はピンクの髪の


「よっす☆夕ちゃん」


不死 美依律 が立っていた。


前回どこで別れたんだっけ、公園だった、あの後5年くらいで終わったから忘れたよね、と会話する。


「じゃあ今いるのは、君にとって未来の私に会っているって訳だ」


ところで、都市くんは? と聞かれる。


「まだ会ってません」


確か、時間が止まる前に兄は来ていた筈なのだが……

そう思っていた所に「えぇ」と後ろから声をかけられる。


「兄さん! 」

「お久しぶり……でいいでしょうかね」

「そかもね☆」


無事に連れて帰ってくれてありがとう、と不死が兄にお礼を言う。とんでない、それよりも、と兄は「どうして不死さんの【都市伝説】に夕さんは巻き込まれたんでしょう」と話す。俺も思っていた事だ。


「都市くんでさえも、意識しないと私の都市伝説に割り込めないよね? 」


でさでさ、沢山考えたんだけど☆と不死はバッグから可愛らしいノートを取り出す。

そこには、


○都市くんが夕ちゃんの異能力を見込んだ説

○都市くんは夕ちゃんの異能力を知らなかった


だとか書いてあった。「さっきの発言からこれは×だねー」と見込んだ説を消していく。


「夕さん。今までは、こういった事は無かったんですよね? 」

「うん、今日が初めて」


何でなんだろうな、と言いかけてた途中に前方から呼び掛けられる。


「お客さーん注文は」

「「あっ」」


そうだ、ソフトクリーム買いたかったんだ。


二人には、赤月を待たせてるんでまた後で、と別れる事にした。夜なら時間が取れるだろう。兄さんは不死の連絡先知ってるらしいし。


「あれって不死 美依律じゃんっ」と赤月は興奮した様子で話しかけてくる。


「隣にいたのも美形の男だよなー、でもスーツ姿だからマネージャーか? 」

「いや、あれは俺の兄」


えっ、そうなの!? と赤月は驚く。俺の生まれについて話してなかったか、と聞けば、俺の話しかしたことなかった、と赤月は言った。そうかそうか


「俺は両親から幼い頃に捨てられてな」


保護施設に住んでて、と話を続けていた時、ふと思う。


あれ、俺と赤月が居たのはファミリーレストランだったよな、と。

というか、目の前にいるヤツは、赤月じゃなくて、曉だった筈だった。


 しかし、目の前にいる赤月という人物は曉と変わらない顔なのである。彼が持ってきて、机に置いたノートにも赤月と書いてある。


 結局、なんとか動揺した様子を見せずに昔の話を語り終えた所で、「急用があった」と赤月に謝り、家に帰る事にした。



「なぁ兄さん。何か世界が変わってる気がするんだけど、これも都市伝説? 」


友だちの名前が変わっていた、と主張する俺に兄は「違いますね」とバッサリ否定した。


兄の書斎には植物が置いてある。そして本も。1つの古びた本を取り出した兄は、ページをめくる。


「えぇ、何万年と時間が立っているのに本人は気付かないという都市伝説はございます。異世界から元の世界へ帰してくれるおじ様の話だとか……」


しかし、異世界から戻った後に元の世界とは変わってる事という事象は……とペラペラ喋りだした兄は「あっ」と小さな声をあげる。そして俺の足元を見だした。

彼が開いてたページを覗く。


「【異世界から戻ってきたら別世界に居たんだけど】」


いや、あるじゃん。


「ありましたね……ビックリオドロキです」


とても悔しいですという顔で兄はハンカチを握りしめる。


「これからはもっと学ぶことに励みましょう! 何せ、貴方の兄で、都市伝説販売員のサポート役ですので」


サポート役?

……どうやら、赤月だけではなく、兄の立ち位置も変わったようだ。



「という訳なんですよね」とあの時に別れかれてから起きた事を不死に話す。


 そう、時が止まった世界から連れ帰って貰った筈の俺は、またこの世界に迷い混んでしまったようだ。


「つまりー☆ 夕ちゃんは販売員になって、都市くんはそのサポート役。話聞くからには、都市くんは都市伝説自体は知っていると」

「そうだな。向こうの不死も兄が俺を見込んだみたいな事言ってたし。それはともかく、俺は都市伝説販売員としての仕事知らないんだよな」


どんなこと兄はしてたんだ? と聞けば、「貴女にピッタリの都市伝説お譲りします」と声をかけられ、そのまま紙面にハンコを押すよう言われ、そのまま押したらしい。


「悪徳感が凄いな」

「それよりも、ハンコ押したら私が何の都市伝説受け取ったのか、使い方とかも何か分かるようになったんだよね☆」


何それ怖、とつい言ってしまう。まぁ分かる☆と不死は頷いた。


「そういえば、変な種拾ったんだよね」


ほら、と彼女は手のひらを開く。

ぽつん、と手に乗っているのは、熊の形であろう小さな種。どこで拾ったのか聞けば、俺と兄が帰った後に落ちていたのだと言う。


「暇だろうし、アイドルの練習の息抜きに育ててみれば」


俺の提案に「それもそうかも☆」と不死は頷く。


誰かの忘れ物であろうスコップ片手に彼女は小さな山を作り始めた。

じゃあ早速育ててみよー☆という不死に「おー」と返す。


俺、都市伝説販売員ってどんなのか聞きに来たんだけどな……

 まぁ兄がまた迎えに来てくれるかは分からない。のんびり栽培しつつ、話を聞いてみよう。

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