丸いかくれんぼ
五日間のテスト日程をやっと終えて家に帰る
テストの週は早く帰れるから好きなんだけど
テスト自体は嫌いなんだよなぁ
そんなことを考えて
一変して
テストの点数は今回も悪いだろうなぁとか考えていると
せっかく午前で終わったテストのおかげで空いた時間がなくなって
日がどんどん沈み
すぐに夕方になる
飯、風呂、就寝で1日が終わる
そう思っていた
いざ就寝の時になると
目の前のカーテンにうつる影が気になった
おそらく月の明かりで
何かが透過してるんだろうが
あんなもの庭にあったっけ?
そんなことを考えながらやはり
少し怖かったんだろう
部屋のドアを開ける
ドアの隙間から光が入るに従って
その影が消えていく
それでホッとし
少し気持ちを落ち着けるために
部屋の外に出て
お茶を取りに行く
取りに行く途中でも
あの奇妙な形をした影が忘れられなかった
しばらくして
落ち着いてから
部屋に戻る
ドアを閉めるとまた影が映る
頭の中ではわかっているが
やはり少し怖い
その影から逃げるように
背中を向けて布団に転がる
しばらくして気持ちが落ち着き
好奇心と恐怖心とのせめぎ合いで
好奇心が勝り
肩越しにその影を見ようとすると
それは存在しなかった
すーっはーっと深呼吸し
仰向けに寝転がる
少し背中に違和感を感じるが
そんなことを気にしている体力は
テスト終わりの僕にはもう残っていなかった
次の日
電車にのり
電車に乗っている友達に「うっす」と挨拶をして
昨日のことを思い出す
少しぼーっとしていたのか
友達に「どうしたんだよ」と聞かれ
昨日のことでも話すかと
宗教に勧誘されたと雑談するように
話していると
視線を背中に感じた
友達に話しながら
そっと後ろを見てみると
そこには少し太った中年のおじさんが立っていた
その手にはよく分からないものが
持たれており
よくみると昨日みた影の
三つに分かれ先端が丸みを帯びた
農具のようなものの先端を大きくしたようなもの
に似ていた
頭に昨日のことがよぎるが
そこまで何もされてないし
いいだろと思い友達の方に振り向こうとすると
ふと気づく
ずっとみられてるような気がする
顔をみてみる
視線を合わせる気はなかったのだが
ガッチリと視線が合う
そして 相手は視線を外すわけでもなく
ずっっとこっちを見続けている
こちらもいたたまれない気持ちになって
頭を下げて友達の方に向こうとすると
突然おじさんがニコニコしだし
見つかったという声が聞こえた
ギョッとしておじさんの方を見ると
ニコニコとして
ニッと開かれた赤い口の中にある
その歯は普通の人間ではありえないほど尖っているような気がした